魔法少女花騎士☆マギカ   作:繭浮

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 はい、今回も遅くなりまして、午後7時27分投稿です……描きたい内容はある程度決まっているのになかなか執筆が進まないの、なんなんでしょうね。やはり夏バテかな……まあ、筆が乗って来ると一気に書き上げられるんですけど。


いろは カトレアの 神浜ウワサファイル 2-2

 その日の放課後。いろはちゃんには大事を取って自宅療養にして貰ったから、今日は神浜には来ない事になっている。まあ、いろはちゃんの身体が万全でも、どちらにしろ今日は一緒出来ないのだけど。

 理由は、今日は本来手伝いの日ではなかったけど、昨晩連絡なしに深夜近くに帰宅した罰としてブロッサムの手伝いをする事になったから。まあ、罰というテイだけど、いつも通り働いた分だけお小遣いはキチンとくれるらしいので特に文句はない。

 

 とはいえ、月曜は平均して来客数が少なめで、今日も例によって暇だ。こういう時はこのみさんや華恋と念話で雑談して暇潰しをするのだけど……華恋は施設の院長さんに急用を頼まれたとかで急遽休み、このみさんは花束の特別配達サービスで参京区に行ってしまっているので、今店にいるの魔法少女は、私(と女王様)だけで……あー暇だわー……

 

 と、私の退屈に感じる気持ちが伝わって来たのか、

 

《いろはが出した魔女のようなナニカ……その表現もなんか長ったらしいわよねぇ。はい、というわけで、なんかイイカンジの呼称考えといて》

《ん、りょーかい》

 

また唐突に無茶振りをされた。それにテキトーな声で返す……女王様の無茶振りにも慣れて来たわねー私。まあそれ程理不尽な無茶振りはされないし、私も若干気になってたからいいんだけど。

 

 さて、また名前かあ。今回はどうしようかしら……

 

《感じた魔力的にあれは、何らかの力が作用してソウルジェムをグリーフシードへと変質させずに穢れだけ放出させて、それが具現化したモノ。つまりは、いろはちゃんの魔女のなり損ない。不完全体に孵化した、穢れだけで形成さられた魔女の断片的なモノ。だから放出した穢れを使い切った途端、消失した……》

《ふむふむ》

《んー……いろはちゃんはまだ魔女の真実には気付いてないだろうから、それを匂わせる表現はなしとして……穢れ、不浄なるもの……魔女の一時的、部分的具現化、魔女の断片……》

 

 不浄、断片……英語にすると確か……フィルス、フラグメント……それを組み合わせて、略して……

 

《……フィルスフラグ、でどうかしら。意味合いとしては、不浄なるモノの断片ね》

《ふむ……悪くないんじゃない? 読みやすいし。採用》

 

 どうやら女王様のお気に召したらしい。ふぅ……成し遂げたわ。

 

《名前はフィルスフラグとして。今後どう動くべきかしらねー》

《まあ、ういちゃん探索は当然続けるとして。ウワサの化け物がやっぱり厄介よね》

《そうね。魔女と違って力技だけで倒せないのがねぇ》

 

 と念話雑談していると。

 

「ただいま戻りましたー!」

 

出前?から帰ってきたこのみさんと、

 

「ようカトレア。今日は急遽店の手伝いに入ってるってこのみに聞いたんで、あたしの方から来たぞー」

「ゆまもいるよー!」

「あら、こんにち……っと。いらっしゃいませ〜」

《結局、私から昨晩の事言わないとダメなのね……めんど》

 

杏子とゆまちゃんの仲良し姉妹(?)も続いて入って来た……あら。

 

「杏子、その髪の毛のは……ナデシコの花ね」

「あ、ああ……あたしには似合わないって言ってんのに、お礼だからってこのみが無理矢理髪に挿してきてな……」

「そんなことないよ! キョーコとってもカワイイ!」

「だよねー」

「……2人してそう押してくるもんだから、断りきれなくてさ……」

 

 顔を合わせて楽しそうに杏子を褒めちぎるこのみさんとゆまちゃんに、頬を赤らめ否定しつつも満更でもなさそうな杏子……可愛い、尊い。

 

「そ、それよりだ! あたしら参京区をうろついてる時にたまたまこのみと会って、ちょいと大変そうにでっかい花束を運んでたから手伝ったんだけどさ!」

 

 このむず痒くなるような雰囲気に耐えられなくなったのか、杏子が無理矢理気味に話題転換を図った。

 

「その帰りに、自転車の移動販売……無料だからボランティアか? それがあってな。名前は、えーと……なんだったっけかな……」

「フクロウ印の給水屋さんだよ、キョーコ!」

「ああ、それそれ。疲れた人のために無料で水を提供中とか言ってたんで、帰りがけにもらったんだけどさ」

「タダの水なのにジュースみたいにゴクゴク飲めて、とってもおいしかったんだよー!」

「そうだったねー! 数に限りがあるらしくて、ひとり1日一杯しかくれなかったのは残念だったけど。また飲みたいね、ゆまちゃん」

「ねー♪」

 

 このみさんもゆまちゃんも、随分とご機嫌だった。それだけ美味しかったらしい。

 

「まぁ一杯だけとはいえ、あんだけ美味い上に無料なんだ。そんなルール決めでもしないとあっという間になくなっちゃってただろうし、しゃあないさ」

「……ふーん……3人してそこまで絶賛するなら、今度燈湖も連れて行ってみましょ」

《……そうね》

 

 ……なんだろう。その話を聞いてから、直感的にだけど、なんだか嫌な予感がする。女王様もなんか不穏げな気配発してるし。

 

(2人から、魔女の魔力の残滓は感じられない。つまり、このみさん達は魔女と遭遇したり戦闘したりはしていない。けどなんか……もしかして、その給水屋――)

 

 ――風に舞う花〜びら〜♪

 

 謎の違和感への答えが出る前に、電話がかかって来た。相手は……いろはちゃんだ。時間的に、家に帰宅中か自室からかしら……んー。

 

 ここにいるメンバー、もとい友人件魔法少女は、このみさん以外いろはちゃんと面識がある。出来ればスピーカーモードにして会話したいけど……取り敢えず出ましょ。

 

「もしもし。今朝ぶりね、いろはちゃん」

『はいっこんにちは、カトレアさん!』

 

 ふむ。声色からして、昨日の疲れはほぼなさそう……いえ、むしろなんか機嫌良さげね?

 

「いろはちゃん、今ちょうど杏子達もいるしお客さんもいないから、スピーカーモードにしてもいいかしら?」

『あ、はい。私は構いませんけど……』

 

 そう言いつつお母さんに視線を移すと、指でマルを作ってから休憩室の方を指差す。それに甘えて、お母さんを残して4人で休憩室に行ってからスピーカーモードに切り替える。

 

『改めて、こんにちは。杏子さん、ゆまちゃん』

「おう。昨日の夜はなんか大変だったらしいけど、元気そうでなによりだよ」

「イロハお姉さん、こんにちはー」

「私は初めまして、だよね。カトレアちゃんの友達の、春名このみです!」

『初めまして! カトレアさんと女王様から、お話は伺ってます。お花が大好きな魔法少女だって』

 

 それぞれ挨拶と自己紹介が終わったので、雑談が始まる前に要件を聞き出す。

 

「それで、突然どうしたの?」

『あっはい! 実は私、今度神浜に引っ越す事になったんです!』

「えっ本当!?」

 

 思わず大きめの声量で喜びの声を出しちゃって、なんかちょっとハズい。3人からは微笑ましいものを見る視線を向けられるし、女王様がニマニマ笑ってる気配を出してるし……うぅ〜。

 

「け、けれど、唐突ね。家族全員でこっちに来るの?」

『いえ、そうじゃなくて。突然お父さんの海外出張が決まって、お母さんもサポートしたいから着いていくって言い出して。けど、せっかく神浜でお友達が出来たんだし、いきなり引き離したくないから学生寮のある神浜の学校に引っ越しさせよう、てなったんです』

「ふーん……うん? 学生寮って言えば、確か私が通ってる学校にも……」

『ふふっ、はい! 神浜市立大附属の寮に引っ越す事になったんです』

「本当に!? それじゃあ近い内に、いろはちゃんとお昼とか一緒出来るようになるのね! やったわ!」

 

 お昼に描いていた希望が突然叶って、また喜びで大声出しちゃったけど、嬉しすぎて恥ずかしさとかどうでもよくなって来た。

 

 ただ、いろはちゃんの話は嬉しいだけでは終わらなかった。

 

『でもですね。今日学校から帰ってきたら突然、寮の部屋に空きがないって連絡が来て……手違いで、空き部屋があるって勘違いしていたみたいで……』

「ありゃ……そりゃ災難だな。じゃあしばらく宿なしかい?」

『いえ、流石にそれはないです。お父さんとお母さんが海外に行くのは来週なので、一応まだ余裕はあるんです……けど次の日曜までには、引っ越し先を決めないといけなくなっちゃっいました……』

「大して余裕ないじゃない……それじゃあ――」

《――カトレア、上から微弱な魔力反応を感じたわ》

「え?」

 

 下宿先が決まるまでウチに泊まって、と言おうとしたのだけど、女王様に遮られた。と同時、突然ひらりと足元に紙が2枚落ちてきた。

 

「うん? ゆま、頭になんか乗っかってるぞ」

「ふえ? あ、ほんとだー。なんだろこれ」

 

 どうやら2枚ではなく3枚だったみたいで、丁度ゆまちゃんの頭に1枚乗っかっていた。杏子が取ってあげて、ゆまちゃんに見せるために広げる。

 

「……なんだこりゃ、数字だけ?」

 

 杏子が不思議そうにそう呟くのを聴きながら、私とこのみさんとで床に落ちた紙を1枚づつ拾う。そこに書かれていたのも数字だけ。ただし、3枚の紙に書かれていた数字は同じ数字で――

 

  24

 

――だ。それ以外は特に何の変哲もない……いや、ほんのわずかに魔力の残滓を感じるような?

 

《ほんとにわずかにだけど、魔力の残滓を感じるわ。でも、魔女由来の不快な感じはないわね》

「「「「うーん……」」」」

 

 4人して、意味のわからない紙に唸り声を上げて悩む。

 

『あの……何かあったんですか?』

 

 おっと、唐突な珍事についいろはちゃんを放置しちゃってたわ。

 

 せっかくなので、いろはちゃんにも今起きた事を伝えて情報共有しておく。

 

『カトレアさんと女王様が魔力を感じ取ったのなら、単なるイタズラじゃなさそうですけど……意味はさっぱりですね』

「よね……ただ、単なる魔法少女によるイタズラの線もあるにはあるわよね」

「だとしても、数字だけ書かれてるだけでイタズラにしても意味不明すぎだろ」

「だねー。24かぁ……24時間、とかかなぁ」

「24ですぐ思い付くのって、やっぱりそれだよね」

 

 ……これが本当に、魔法少女による突発的なイタズラなら問題はない、けれど……私は、さっき給水屋の話を聞いた時の嫌な予感を思い出していた。

 

 そして、その時ちょうどいろはちゃんから電話がかかって来て言いそびれていた事。

 

「……ねえ3人とも。例の給水屋で水を飲んだのって、時間はいつ頃?」

「ん? あー、何時だったかな……そんなに前じゃないよ」

「おいしかったから、また飲みたいねー。時間はわかんない」

「一応、今から大体1時間くらい前だったと思うよ。それがどうしたの?」

 

 ……給水屋で水を飲んでから、約1時間後に、魔力の残滓を感じる「24」と書かれた紙が何もない頭上から降って来た。

 

《1時間後に24、か》

《……はぁ、またぞろ面倒事がやって来たわね》

 

 ……まだ、直感と推測の段階だけど。

 

「杏子、ゆまちゃん、このみさん。あなた達、神浜のウワサに巻き込まれた可能性があるわよ」

「「「えっ」」」

 

 思わずこぼれたハモり声に、私は苦笑を浮かべた。

 

《……口寄せ神社の時ほど面倒な化け物でないといいけど》

《ん、同意ね》




 次回投稿予定は、9月27日(火)の予定です。
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