魔法少女花騎士☆マギカ   作:繭浮

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 もう10分程早く投稿したかったのですが、無理でした。締切の近い私用は粗方片付いたので、次回は早めに投稿出来る……といいなぁ。

 なんにしても、お待たせしました。


いろは カトレアの 神浜ウワサファイル 2-3

『ウワサって、昨晩みたいな化け物が出たんですか!? わ、私も応援に!』

「落ち着いていろはちゃん、まだ「かもしれない」の段階だから」

『あ、そ、そうですよね……うぅ、慌てちゃって恥ずかしい……』

 

 ……わざわざ口に出さなくても良いのに。可愛い。

 

「まぁ慌てる気持ちはわかってるけど。今朝の私達(友達)との約束、破るつもり?」

『むぅ、その言い方はズルいです……はい、家で大人しくしてます』

「うん、よろしい」

 

 今朝環家へと向かう飛行中に、念話で《学校終わったら、今日は大事を取ってまっすぐ家に帰って安静にしてなさいね》と強めに言い聞かせて約束を結んだから、今日は来させるつもりはない。無理にでも来るようなら、燈湖に捕獲してもらってシェルター道場でモチョと戯らせるつもりだ。

 

 まぁそれはともかく。

 

「……新情報が入り次第、出来るだけ早めに電話するわ。いろはちゃんに今日は出禁って言った手前ね」

『はいっありがとうございます!』

 

 ……昨日の口寄せ神社のウワサにて。いろはちゃんも絵馬に書いた通りの「会いたい人」、環ういちゃん――の偽物に会ったらしい。のだけど……私達ややちよさんが会った偽物が「それぞれの記憶や想いを参照してコピーしたモノ」の言動をしていたのに対し、いろはちゃんが会った偽ういちゃんは、かなり毛色が違った。

 

 

「運命を変えたいなら神浜市に来て。この町で……魔法少女は救われるから」

 

 

 どう語りかけても、偽ういちゃんからは電波な返答……もとい、レコーダーのようにこの台詞を淡々と口にするだけだったらしい。なのでいろはちゃんは「これは見た目がういなだけな人形」と判断し、そうそうに語りかけるのをやめて倒したらしい。私より初雪の待つ絵馬掛け前に早く戻ったのは、そう言った理由らしい。

 

 ただ、それがキッカケでいろはは強く決意したらしい。「ウワサを生み出す大元にういが関わっているか、囚われているのかもしれない。なら、ウワサを追う事が、うい探索の1番の近道なんだ」と。

 

 実際のところは私達も、燈湖ですらわかっていないけど。普段のいろはちゃんはいい子ちゃんではあるけど、「一度強く決心した事は、余程の事でもない限り梃子でも意見を曲げない」というかなり頑固なところがある。ので、ウワサを調査し続けると決意したいろはちゃんは簡単には止まらない、止まれない……危なっかしくて目が離せない親友なのだった。

 

「ま、そんな訳だから。今から調査を始めるから、何か分かり次第伝えるわね。いろはちゃんは明日の放課後に燈湖の家に集合して、モチョと合流してから私と一緒に行きましょ」

『はい、わかりました』

「それじゃあ、名残惜しいけど切るわね。早速電話確認しないと」

『……すでに心当たりがあるんですか?』

「ないからこそ、神浜のうわさに1番詳しいだろう人に聞いてみるのよ」

『神浜のうわさに詳しい人……あっやちよさんですね!』

「そう言う事」

 

 

 

 

『……残念だけど、私の「神浜うわさファイル」には書いてないわね』

「「……」」

 

 まさかの空振り。1番期待してただけに、肩透かし感がハンパない。杏子も残念な人を見るような顔をしている。

 

 ちなみにこのみさんは、お客さんが来てしまったので店内に戻ってしまったので、今はいない。ゆまちゃんは、休憩室にあったお菓子を頬張るのに夢中で話を聞いてない。

 

『……何よ、その沈黙は。私だっていつでも暇してる訳じゃないし、流石に広い神浜の噂話全部の収集は無理よ。最近生まれたうわさとかなら尚更ね』

「そりゃあそうだけどさ」

「ま、切り替えていきましょ。やちよさんが知らないなら、次は燈湖――」

 

 ――ピロピロピロピロ ゴーウィゴーウィ――♪

 

「ん、あたしのスマホか……おっ。噂をすれば、だな」

 

 杏子に掛けてきたのは、燈湖だった。ウワサの話題の途中で噂をしたら掛けてきた……こう言う場合、運命の流れだか何故だか知らないけど、話が繋がる事が割とよくあるもので。

 

『いきなりだが、聞きたいことがある。今日参京区辺りで、「フクロウ印の給水屋」の水を飲んだヤツを知っているか?』

「ほらやっぱり」

『……いるみたいだな』

 

 ちなみに燈湖、最初は私に掛けたけど通話中だったから、何となく私の近くにいる気がしたから杏子に掛けたらしい。

 

 

 

 

『給水屋、ね……参京区にそんなのがあるなんて聞いたこともないし、出来たばかりのうわさなら情報がなくても当然ね』

 

 やちよさんと電話を繋いだまま、スピーカーモードにしたスマホをお互い掲げて4人+お菓子をお茶で流し込んでいるゆまちゃんとで話し合う。

 

「それで? 燈湖がそんなアヤシイ店のをホイホイ飲むとは思えないし。被害者は誰かしら」

『フェリシアとポーチュラカだ。2人で参京区らへんで遊んだ帰りに見つけて飲んだらしい。で、飲んでからだいたい1時間くらい経過後、頭上から数字だけが書かれた紙が突然落ちてきたらしい』

「24、だろ?」

『あぁそうだ。やっぱりまったく同じ現象のようだな』

 

 ふーむ、被害者?はあの2人か……記憶喪失、もとい陽友花ちゃんの中身が入れ替わっちゃったけど、2人の仲は今のところ良好なようね。

 

「にしても、あの金髪の騒がしいのとダジャレの騒がしいののコンビか」

「深月フェリシアちゃんとポーチュラカ――日本名は莧陽友花ね。ポーチュラカはともかく、杏子ってフェリシアちゃんと知り合いだったのね」

「まぁね。一応あたしも傭兵みたいなもんだし、フェリシアは燈湖を師匠扱いしてるから、たまに雷電家に来るんだよ」

「金髪の子からは、キョーコは赤いねーちゃんって呼ばれてるよ!」

「ふむ。まぁ不仲じゃないなら何よりよ」

 

 ポーチュラカはともかく、フェリシアちゃんは気難しい娘だからちょっと安心。

 

『とりあえず、現状の被害?としては、数字が書かれた紙が落ちて来たくらいかしら?』

「お……来たぜ、ヒラリと」

 

 また微かに魔力を感じたところで、杏子は落ちて来た2枚の紙をキャッチ。

 

『あっまた!? あ、いえいえ大丈夫です、大声出してしまって申し訳ありません!』

 

 ……店内の方からこのみさんの驚きの声が聞こえたから、あっちにも降って来たらしい。まだ店内にお客さんがいるみたいだからそっちは今は置いといて。

 

「23、か。飲んでからだいたい2時間だから、やっぱ残り時間のカウントダウンか?」

「かもね……これがウワサなら1、もしくは0になった時に何かが起きる、またはウワサの化け物に襲われる、とかかしらね」

 

 2枚の紙、杏子とゆまちゃんの頭上辺りから現れて落ちて来た紙には、両方共に同じ数字。

 

『ふむ……こっちにも今側にフェリチュラカコンビはいるが、紙はまだ落ちて来てないな。そっちの方が先に飲んだからか?』

『かしらね。情報が少な過ぎるから、ハッキリとした事は言えないけれど』

 

 やちよさんが言った通り、情報が少な過ぎるわね……

 

《……あ、そういえばカトレア。口寄せ神社でマチビト馬が現れる直前の声、覚えてるでしょう?》

《うん? あー、なんか聞こえて来たわね。それが?》

《私の推測なんだけど……》

 

 燈湖とやちよさんに、あの時聞こえて来た声に関しての女王様の予想を私の口から話す。

 

「一応あの声に関しては、燈湖には伝えたけれど……あの声の主が、ウワサの内容を広めるウワサの使い魔的な奴なんじゃないかって女王様が予測してるわ」

 

 あの謎の声が伝えたマチビト馬に関する情報は、直前にも程があったけど……絶交ルールのウワサも口寄せ神社のウワサも、そのウワサの化け物の使い魔的な存在が広めたのかもしれない。

 

『今んとこ、ウワサの化け物が出現するタイプの噂話が広がった経緯は不明だったが……そう言う使い魔的なのが神出鬼没的に、それも特定の地域だけに現れていたとしたら、今まで見つけられなかったのも納得だな』

『それに厄介なのは、ウワサの噂話は一般人にも広まっている事ね。多分、その使い魔的なのがうわさを吹聴していても、普通の人間には友人か誰かが噂話を広めているとしか認識出来ないんじゃないかしら。私達魔法少女にしか、魔女や使い魔、キュゥべえを認識出来ないのと似た感じで』

『だとすると、その使い魔的な……女王様達の聞いた話し声の雰囲気から、仮に「ウワサさん」と呼ぶか。ウワサさんの姿が魔法少女にしか人間じゃあないと認識出来ないなら、拡散防止したいなら魔法少女による人海戦術しか現状手はないな』

《人海戦術ねぇ……はぁ、面倒……》

「けど、あたしはともかくゆま、とついでにこのみと騒がしコンビも巻き込まれちまってる。このカウントダウンが1時間毎なら、猶予はあと22時間か21時間しかねえ。ゆまを雷電家に預け次第、あたしは調査を開始するよ」

「よね。あとこのみさんをついで扱いしないで頂戴」

《ツッコむとこそこ? まあ気持ちはわからなくもないけど》

 

 杏子が苛立ちを滲ませた声でそう宣言すると、燈湖から待ったがかかる。

 

『気持ちが逸るのはわかるが落ち着け。もう日も暮れて来た、やるなとは言わないが、今からじゃあちょいと非効率的だぜ? うわさを広めるなら人が活動的になってる時間帯が効果的だから、ウワサさんを今から探しても見つからない確率の方が高いぞ』

『それはありそうね。となると、ウワサさんが活発化するのは、朝夕の登下校、出勤ラッシュの時間あたりかもね』

「あー、それはありそうだな……ちっ後手後手だな」

『……だな』

 

 あら……燈湖の声にも珍しく苛立ちが混じってるわね。常に先手を取って優位を取りたがる性格だし、仕方ないか。

 

『つーわけで、今からゆまを送り届けてから探し始めても、ウワサさんは多分捕まえられねぇし、何より単独でのうわさの調査はリスキーだ。最低でもツーマンセルで動くべきだ。杏子はゆまと一緒にウワサさんの行方を探して、暗くなっても見つからなかったら帰って来る事。いいな?』

「……ま、確かにそれがベターか。はいよ、燈湖の提案通りに動くとするよ」

「するんだよー。キョーコは目を離すと危なっかしいもん!」

『……どっちが保護者かわからなくなるわね』

「どっちも、じゃないかしら」

『ふふ、言い得て妙ね』

 

 という訳で、そういう事になった。まあ私はまだブロッサムの手伝いしなきゃだから、今すぐウワサさん探しには参加出来ないけど。いろはちゃんにこの事を伝え次第、店内に戻るとしましょ。

 

 

 ☆

 

 

 翌朝。連日の早起きに怠さと面倒臭さを感じつつも、なんとか布団から這い出し準備を始める。学生が通学し始める前から私達自身の登校時間ギリギリまでだからあまり時間はないけれど、こっちはこのみさんの時間がないから一分一秒が惜しい。

 

「あーまた紙……はぁ、10かぁ……」

 

 ……今はこのみさんと一緒に登校しつつウワサさん探しをしているのだけど。またこのみさんの上から紙が落ちてきた。

 

《着実に数字、減っていってるわね……》

 

 ちなみにこのみさん(杏子とゆまちゃん、フェリシアちゃんとポーチュラカもだけど)、朝起きたら顔の近くに何枚もこの紙が散らばっていて軽く悲鳴をあげたらしく、朝から憂鬱そうな顔をしていた。まぁ起きたらそんな状態だったら私も驚く。

 

《予想通り何かの残り時間なら、今から約10時間後……午後5時半くらいがタイムリミットなのかしらね》

「うー、一体何が起こるんだろー……不安だよーカトレアちゃん、女王様ぁ……」

「んもう、まだ数時間も時間があるんだから、今からそんな情けない声出さないで下さい」

 

 ……そんな顔も可愛らしいと思ってしまっている私は、案外Sっ気あるのかしら? ま、まあ今はそれは置いといて。

 

 

 

「……まさか見つかるとはね」

「うん、びっくりだね。でも……」

 

 魔力を纏う等身大のヒトガタが、道ゆく学生相手に一方的に語りかけているのを見つけた。多分あれが「ウワサさん」の正体なんだろうけど……

 

 

――アラもう聞いた?ダレから聞いた? 幸せスズランのそのウワサ ――

 

――キリサキさんがキリサキ終えて 無くしたものを見つけたら 咲き誇るのは鈴の花 ――

 

――寂しいあなたに 幸せな香りのおすそわけ――

 

――花の香りに身を任せれば あの子もこの子も巻き込んで 理想の世界の出来上がり――!

 

――邪魔するその子はいやぁ~な現実へさようなら! 幸せなあなたは現実とさようなら――!

 

――ハマると戻ってこれないって 屋上のお寝坊さんたちの間ではもっぱらのウワサ――!

 

――イイカオリー――!

 

 

「鈴の花……スズランだよね」

「「幸せスズランのウワサ」、ね。まぁ内容からして、お目当ての給水屋に関するウワサではないわね」

「うん、ハズレだね」

 

 一応内容をメモしておいて、と。後でやちよさんのうわさファイルに載せてあげましょ。

 

 ……それと、スズランと言われると、どうしてもあのヤンデレ花騎士を思い出すわね……まあ、あの娘が団長を放って異世界に来るなんてありえないから、このウワサとは全くの無関係だろう。

 

 ちなみに話しかけられた学生さんは、友人に対するように相槌を打ってはいたけど、ウワサさんが離れると同時に不思議そうにキョロキョロと辺りを見回した後、何事もなかったかのように登校を再開した。やはり、魔法少女でないとアレは人外だと認識出来ないみたいね。

 

 それと、燈湖は駅前で張り込みしてウワサさんを探していて、杏子とゆまちゃんは給水屋に遭遇した参京区の学校――参京院教育学園付近で張り込んでいる。どっちかで当たりが引ければ良いのだけど……

 

 

 

 

 結局、私達はさっきの一体を見つけた以外では収穫なし。燈湖の方はウワサさん自体を見つけられず、登校時間ギリギリまで粘ってから、私達の学校の校門内側の邪魔にならない位置で集合した。

 

 と、ちょうど燈湖が来た所で、私のスマホに杏子から着信。これはもしや――

 

『ようカトレア。ウワサさんっぽいの見つけて話を聞きだせたよ。まぁ、1人で勝手に話し出したんだけどな』

『メモも取ったよー! えっとねー』

 

 途中でゆまちゃんに代わり、聞き出した内容を読み上げ始める。

 

 

――アラもう聞いた?誰から聞いた?ミザリーウォーターのそのウワサ――

 

――むかし懐かしママチャリの、荷台に乗った保冷箱 ――

 

――おじちゃん1杯くださいなって 貰った水を飲んだなら ゴクゴクプハーッって気分は爽快!元気も一杯――!

 

――けれどだけども、それはまやかし 飲んだ水はヤバイ水――!!

 

――24時間経っちゃうと 水に溶けた不幸が災いを引き起こすって 参京区の学生の間ではもっぱらのウワサ――!!

 

――モーヒサーン――!

 

 

「ビンゴね」

「でかした、杏子にゆま!」

「やったね、みんな!」

《これで一歩前進、かしらね?》

《まだ、24時間後に何らかの災厄が降りかかるとわかった程度ですけれどね。何にしても、災厄の内容までは不明な以上、探し出してウワサの発生源を潰す以外には現状手立てがありません》

「よね……よしっ! という訳で!」

「ということで?」

「あと数時間しか猶予がないのだから――」

「ああ。今日は学校をふけるぜ」

「えぇ……」

 

 困惑するこのみさんを今回は無視して手を引きつつ、認識阻害の魔法をかけてから堂々と校門から出て、杏子達との待ち合わせ場所へと向かった。




 次回投稿は、10月7日(金)の予定です。
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