魔法少女花騎士☆マギカ   作:繭浮

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 はい、朝までにギリ描き終えられなかったので、17時27分になりました。本当に申し訳ない。


いろは カトレアの 神浜ウワサファイル 2-6

「そのご様子からして、残り時間は1時間を切っているようですね」

「大人しく諦めて、静かにウチらがする事を見守ってろって感じだよね」

「ねー」

「まぁ巻き込まれた娘に同情しなくもないけど。ウワサの守護はウチらにとって、与えられた大事な任務だから!」

「ここで足を止めていただき、どうぞご不幸になられて辛酸をお舐め下さいませ。それが、魔法少女解放の一助になりますゆえ」

「ねー」

 

 ……随分と息の合ったやり取りね。「アウンの呼吸」、だっけ? 微妙に間違ってる気がするけど……聞こえた声質とか背格好からして、双子なのかしらね。

 

「人の不幸が何で「魔法少女の解放」に繋がるのか、わたしにはサッパリだけど! そんなので成り立つ解放なんて、わたしはいらないよ!」

 

 もうあまり意味がないと認識阻害魔法を解除した途端、ツルノが前に出て腕を組んで仁王立ちしてそう啖呵を切った。

 

「……無知蒙昧な方には、容易には理解出来ない事でございます」

「大人しくウチらがする事を見守って、むしろ解放に協力してって感じだよね」

「ねー」

「誰が見守るかってんだ。こちとらあたしだけならともかく、身内が被害者なんだ。降りかかるって分かってる火の粉を払わないなんて、あたしは出来ないタチでね」

「へへっオレもそう思ってたところだ! オレだけならともかく、ポーチュラカを不幸になんてさせねぇぜ!」

「キョーコ、カッコイイ……!」

「よく言ったあ! 不幸になるなんて笑えないから、私もフェリシアちゃんに大賛成なんだよ!」

 

 さらには、好戦的な2人がツルノと並んで双子の白羽根に立ちはだかり、2人の大の仲良しから黄色い声が上がる。

 

「私としては、ういの事を聞き出しときたいけれど……今はウワサ討伐を優先しましょう?」

「……、はい」

 

 何か言いたそうないろはにそう促して、私達も臨戦態勢に入る。

 

「この数に勝てるとお思いですか? そちらこそ、諦めて道を開けていただけるなら不要な怪我を負う事もなくなりますよ」

「そうね。どうせローブで姿を隠してコソコソ暗躍してる連中よ。大した実力もないのでしょうし、大人しく降伏するのをお勧めするわ」

「……戦いは数、とでも言いたいの?」

「戦う前から相手を格下と見なすとは、ベテラン魔法少女も地に落ちたものでございますね」

 

 デンドロビウムとやちよのギリ少女(?)の2人の煽りにイラついたのか、2人同時に白ローブをバサリと脱ぎ捨て姿を晒す。

 

「マギウスの翼、白羽根。「天音月咲(あまねつかさ)」だよ」

「マギウスの翼、白羽根。「天音月夜(あまねつくよ)」にございます」

「ウチらを黒い連中と一緒にして欲しくないよ」

「どうぞ、私達の奏でる音色に酔いしれて下さいませ」

 

 そう言い、着物風の魔法少女衣装の懐からスッと笛を同時に取り出す2人。

 

「笛が武器、それにこの開けた空間――カトレアさん!」

 

 一瞬何の事か分からなかったけど、すぐに気付く。笛、すなわち音を武器にするなら、音がよく響くこの空間は彼女たちの有利なフィールド。

 

 すぐに気付けはしたけど、その一瞬が相手の行動を阻害するのを遅らせた。

 

 ――ピーヒョロー!

 

「ひゃっあぁう!?」

「ぐっこれは、頭の中から揺さぶられるような……!」

 

 綺麗な音色の演奏とは裏腹に、やちよやデンドロビウムのベテラン勢含め味方のほぼ全員が頭を抱えて跪く。気力でギリギリ地に膝を着けていないのは、デンドロビウムだけね。流石だわ。

 

 それと。

 

「……楽器系は厄介ね」

「ウチらの演奏が、効いてない……?」

「咄嗟に防音結界を張ったのよ。まあ、咄嗟だったから、自分1人にしか張れなかったけど」

 

 ダメージ0なのは、ギリギリ防げた私だけね。更紗帆奈戦様に造っといたのが、また役に立つとはね。

 

 とはいえ、これで数の優位はほとんどなくなった。こうなったら、効かない私で2人の足止めをするか――

 

「やはり、花の騎士様に出し惜しみは命取りのようでございますね」

「うん! 月夜ちゃん、アレを使うよ!」

「ええ! 備えあれば憂なしとは正にこの事!」

 

――と、僅かに考え込んでいる間に、何やら奥の手を使われる予感。正直、侮っていたかも。むしろ相手側がそれだけ守りを固めていたのを評価するべきかしら。

 

「月咲ちゃん、この方々に見せて差し上げましょう」

「神浜が「魔法少女の解放の場である証拠」をね!」

 

 2人のソウルジェムは、私達と相対する前にすでに限界近くまで穢れで濁っていたのだ。そして、それが意図的ならば。

 

「まさか、環さんがあの時出したアイツを……?」

「出す気ね、フィルスフラグを。それにあの自信の具合からして、アレを自在に制御出来ると考えた方が良いわ……カトレア、私達も奥の手を準備しときましょ」

《ん、了解》

 

 カトレアに軽く促しつつ、私も防音結界の範囲と強度を増すためにイメージを広げて魔力を溜める。

 

「ええ!? カトレアちゃんでも倒せなかったウワサをアッサリ倒したっていうアレを? はっそうだいろはちゃん、対抗して出しちゃえ!」

「そ、そんな急に言われても――」

「――却下っ却下よ! ていうか出来てもやるんじゃないわよいろは!」

「わひゃ! はっはい! というか今そこまでソウルジェム濁ってませんし、多分出せません!」

 

 ツルノの危険な発案に、つい大声で注意しちゃったわ。うーん、私も意外と繊細なとこあるのね――っと、考え込んでる暇は無い。

 

「ふーん、意味はよく分からないけど、あなたはそう呼んでるんだね」

「強い魔力の高まりを感じますが――残念ですが、手遅れでございます」

 

 ――ズァッ!!

 

 いろはの時のように2人のソウルジェムから穢れが噴出し、2人に纏わり付くように具現化していく。

 

「これは解放の証であり、感情の映し。私達自身の内なる感情を解き放ち具現化したもの」

「それ故にウチ達は、もう1人の自分として、これを「ドッペル」って呼ぶんだよ」

《ドッペル……なるほど、もう1人の自分、ドッペルゲンガーが由来か》

 

 感心した様にトウコが呟く。正式名称がすでにあったとはね。

 

 2人のフィルスフラグ、もといドッペルの見た目は、双子だけあってか酷似していた。ガラスの月を半分にして、金のリングが囲う様に周囲を覆っている。

 

 ただ、ハッキリとした違いもあるからどっちがどっちかの見分けは付く。

 

 お嬢様口調の方のは、ガラスの内と外には冒涜的なデザインの植物らしきモノがあり、内側の黒いリングからブランコが吊り下がっていてそれに座っている。どことなく、テラリウムを想起させた。

 

 フランク口調の方は、中が水のようなモノで満たされていて極彩色の海藻的なモノが生えていて、中心に一本のポール――いや、槍かしら? それが突き抜ける様に通っていて、足でしがみ付いて逆さ状態でこちらを見据えている。こっちはアクアリウム、かしら。

 

「環さんのとはかなり見た目が違うわね。どんな攻撃をするか予測が付かないわ、最大限に警戒を!」

『了解!!』

 

 リーダーシップを発揮したやちよのお陰でみんなの戦意が向上し、それぞれ魔力を高めて武器を構える。

 

 それよりも。さっきまで笛での音魔法だったから防音結界を強化して味方全員に張り伸ばすつもりだったけど、テラリウムの方は笛をしまっちゃうしアクアリウムの方は笛を放り出しちゃうしで、繰り出して来るのは明らかに音攻撃じゃない。

 

《ど、どうする女王様!》

《……結界は予定通り張るわ、ただし物理防御に変更よ》

《了解!》

 

 急遽性質を変えるから、若干強度に不安が出るけど仕方ない。これでも極限級害虫の攻撃1、2発くらいまでなら耐えられるはず!

 

「やるわよカトレア!」

《デュアルコネクト!》

 

 カトレアから送られてきた魔力を込めて、広範囲防御結界を張ると同時、

 

「あはは!」

「ふふっ!」

 

 テラリウムの方が巨大な赤い果実のようなモノを連続で投げ付け、アクアリウムの方が巨大な渦潮を発生させる!

 

「ぐっ……この程度! って何これ!?」

 

 少しヒビが入ったけど、結界はまだまだ――と思っていたら、投げ付けられた謎果実から見たこともない植物のようなナニカが生えて結界を侵食し、渦潮が晴れたかと思ったら地面からゼリー状の触手の用なナニカが生え出て結界を突き破ろうとして来た。

 さらにヒビが広がったところで、

 

「女王様!」

「――!!」

「やぁぁあ!」

「はああぁ!」

 

 ゴオッッ――!!

 

ガラスの半月に搭乗したまま、笛姉妹が突進して来た!

 

(――これ、拙いかも)

 

 そう弱気な思考が過ぎるけど、自分の魔法と仲間を信じて魔力を送り続ける!

 

 バリイイィン――!!

 

「きゃああっ!」

 

 派手にガラスが割れたかのような破砕音と共に結界が砕け散り、衝撃で吹き飛ばされ、

 

 ガシッ

 

「怪我はありませんか?」

 

待ち構えていたデンドロビウムに抱き止められた。

 

「え、ええ、かすり傷よ。他のみんなは?」

「同じく衝撃で吹き飛ばされた方々は何名かいますが、大怪我を負った方はいなさそうです。位置が悪かったのか、このみさんとカレンさんは気を失っていますが……まぁ、ソウルジェムは無事なので大丈夫でしょう」

「……そう、よかった」

 

 一見情けなく見えるけど、このみは固有魔法「花を添える」で私達の魔法を強化してくれたおかげで結界強度を増してくれていた。お陰で大惨事にはならなかったのだから、名誉の負傷ね。

 

 カレンはまぁ……後でデンドロビウムに「弛んでいますね?」って言われて鍛え直されそうね。ご愁傷様。

 

「渾身の攻撃だったのにー!」

「まさかのダメージ軽微、ですか。流石は花の騎士様、神浜最強格と言うことでしょうか。ですが――」

「まだウチ達のバトルフェイズは終了してないんだよ!」

 

 笛姉妹の方は、先程の攻撃でドッペル顕現の時間制限?が尽きたのか、今は先程のように笛を口元に構えて、

 

 ――ピーヒョロー!

 

『くあああ!!』

 

再度の音撃に、他の仲間から悲鳴が上がる。

 

「あ、あれ? さっきより効いてる人が少ない?」

「……一度見た攻撃よ。世界に愛されてる私が何も対応出来ないとでも?」

 

 ドッペルを出した事で、体力的に多少疲弊していても魔力が回復してるだろう事は、いろはの時ので知っている。すぐに音撃が再開されるのは容易に想像出来たから、こちらも再び防音結界を準備していたのだ。

 

 ただ、それでも近くにいた娘にしか張れなかったけど……

 

《結界内にいたのは、私達と私達を抱えてたデンドロビウム。それと杏子とゆまちゃん、フェリシアちゃんにポーチュラカよ》

 

 私の感情から意図を察したのか、私が目視確認する前にカトレアが守れたメンバーを教えてくれる。流石もう1人の私、頼りになるわ……よし。

 

《今の音撃を回避出来たメンバーにお願いするわ。時間は多分30分を切ってるだろうから、貴女達が先行してミザリーウォーターのウワサを倒してきてくれないかしら?》

《役割分担か。だが――》

《大丈夫よ、女王様と私を信じて》

《……何か良い魔法でもあるのか?》

《まぁね。端的に言って、音には音よ》

《へえ、なるほどね。んじゃ任せたよ、女王様にカトレア》

《ぜったい、悪いウワサを倒して来るからね!》

《おうっどんなウワサだろーとオレの一撃でドカンだ!》

《土管を壊す勢いでね!》

 

 私達の意を汲んで口々に作戦を了承してくれる先行メンバー。ただ1人、正確には2人、渋ってる感じのが入るけど。

 

《大丈夫、なんですね?》

《ふふん、私を誰だと思ってるのよ? 世界に愛された花騎士魔法少女よ》

《……相手は恐らくベテランだ。油断すんじゃねえぞ》

《重々承知よ》

 

 そう念話で会話し、渋々ながら私から離れるデンドロビウム&トウコ。

 

《それじゃ、防音結界解除と同時にダッシュね。その際かなりうるさいだろうけど、我慢してね》

《 《了解!》 》

 

 さって。近づいて来る別格の魔力反応が来る前に!

 

《結界解除!》

 

 念話での一言の通りに防音結界を消して、次の魔法の発動準備をしておく。

 

「っ! 結界を消したね!」

「通行止めと言ったはずです!」

 

 奥へと急行するメンバーを阻もうと音撃を飛ばそうとする笛姉妹、

 

「させるわけないでしょ!」

 

に用意しておいた魔法を解き放つ。こちらの世界に来る前に造った単純な魔法だし、最近使ったからアレンジは容易に出来たわ。

 

「コーッケコー〜〜コォッ!!」

「「うるさあぁあい!?!?」」

 

 目には目、歯に歯、音には音。頭の中に鳴り響く目覚まし魔法を実際に音として出るように急遽改造……やっぱりやかまし過ぎるわねコレ! 自分で造ったんだけども!

 

「意図は理解出来るけどっ。こっちにもダメージ来てるわよっ」

《……ごめんなさいやちよ、急造だし爆音を至近距離で受けちゃったしで、耳がよく聞こえないのよ》

 

 キーンって鳴ってる両耳に両手を当てて治癒魔法で治しつつ、念話で返す。こういう時便利ねー、念話。

 

《やちよさんのセリフを意訳すると、「マップ兵器使うなら事前に言って」、かしら。まぁそんな余裕なかったけど》

 

 やちよからの返答より先に、カトレアが答えてくれた。ていうか平然と答えてるから、目覚まし魔法使った瞬間外界の情報シャットアウトしてたわね、この娘。ちゃっかりしてるんだから。

 

 後でイジる。

 

「こ、これは……ニワトリみたいな大声が聞こえたかと思ったら……広範囲自爆攻撃でもされたんですか?」

「ご、ごめんなさいみふゆさん。まさかあんな力技で対抗されるとは思わなくて……」

「回避しようがございませんでした……うぅ、まだ耳が……」

 

 ……耳を治すのに気を割いている内に、笛姉妹の仲間、それもさらに上司っぽい魔法少女がすでに来ていた。高い魔力持ち魔法少女が近付いてきていたのは気付いてたけど……

 

《みふゆさん、ね。確かやちよさんと一緒に西の顔役をやっていたのが、梓みふゆって魔法少女らしいけど》

《トウコがそんなこと言ってたわね……なるほど、別格なはずだわ》

「みふゆ……? みふゆなの!? 今度は偽物じゃない、わよね?」

 

 完全に治った耳が、やちよのそんな呟きを拾う。その声は再会出来た感動で、というより、不安感で震えているように聞こえた。

 

 けれど。彼女がまず気遣ったのは、笛姉妹の方。それはつまり――

 

「数ヶ月ぶりね、やっちゃん。その口ぶりだと、口寄せ神社で偽物のワタシに会ったんですね。噂に縋ってまで思ってくれて、とっても嬉しいです」

「みふゆ? 何を言って――」

「でも――マチビト馬のウワサを倒しちゃったのも、やっちゃんかお友達の誰かでしょう? 同日に絶交階段も潰されちゃってましたし……羽根のみなさん大混乱したんですよ。落ち着かせるのに本当に苦労したんですからね!」

 

 つまり。かつて西の顔役の片割れと言われた彼女は現在。

 

「みなさん申し遅れました。ワタシの名前は梓みふゆ。少し前までは神浜の西の顔役、なんて呼ばれたりもしていましたが――今のワタシは、マギウスの翼のまとめ役。つまり、ウワサを潰そうとするあなた達は、ワタシの敵です」




 今月中にミザリーウォーターのお話を投稿し切りたいので、時間は11月17日(木)投稿予定です。頑張って描きます。
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