ウワサ討伐から一夜明けて翌朝、日曜。私達はみかづき荘の前にいた。十分に睡眠を取ったので、ストレスの多かった今回のウワサ討伐だけど、ほぼ回復している。
(……のは、私の方だけだけど)
女王様は昨日出ずっぱりだったからか精神疲労が抜けてないとかで、昨晩夕食後に「明日の事はカトレアに全部任せるからか」と言って勝手にソウルジェムの方に引きこもり、起きてる感覚はあるけど出てくる気配はない。まあ、引き篭もってるのは別の理由もあるけど。
(改めてお疲れ様、女王様)
という訳で。今日一日の用事――名無しの人工知能のウワサに関しての諸々の事後処理を任された。
まずは、一番近場のみかづき荘から……距離的には私の家からみかづき荘・雷電家までの距離は大体同じくらいなのだけど。案の定燈湖が省エネモードに入っているので、雷電家での用事は今日の最後だ。
ピンポーン
「おはようございます、カトレアでーす」
マイクだけでカメラの付いていない旧型のインターホンのボタンを押して、少しだけ大声で朝の挨拶の言葉を響かせる。みかづき荘から隣の家まで少し離れているから多少なら大きな声でも問題ない。
パタパタ……
スリッパを履いた小走りの音が聞こえてきて、ガチャリと扉が開き、家主のやちよさんが出迎えてくれた。
「いらっしゃい、カトレアさん。ごめんなさいね、日曜の朝早くなのに」
「いえ、気にしないで下さい。予定はそれぞれですから」
やちよさん、今日は午前中に雑誌のモデルの仕事が入っているらしく、朝一しかチームみかづき荘のメンバー全員は集まれないらしい。ので、こうして朝早くにチームフラワーナイトの代表として私が来たって訳ね。
「おっ! おはよーカトレアちゃん!」
「耳元で大声出すなよぉ……ふぁ、ねみぃ……」
「おはよ、鶴乃ちゃん。まだ7時前なのに元気ね」
玄関扉をくぐると、ちょうど鶴乃ちゃんがフェリシアちゃんを脇の下に腕を入れてられて抱き上げられて伸びた猫状態で運んでいた。可愛い。
フェリシアちゃんには、本当に眠そうだからあえて声をかけない。朝早いとこを無理矢理連れ出したようなものだし。
(……そういえば、キク科の花にフェリシアってあったわよね。花騎士としてはまだ未実装だけど、もしかしたらフェリシアちゃんも、場合によっては花騎士魔法少女になってた可能性も……ないか。フェリシアの花色や花言葉とか的に、実装されたら青髪のお淑やかな少女になりそうだし。性格も髪色も違いすぎるものね)
そんな事を考えつつ、2人と一緒にやちよさんの後に続いて居間に入ると、卵を焼く良い音と匂いがキッチンから届く。そちらに顔を向けると、
「あっカトレアさん! おはようございます!」
エプロン姿で朝食を作っていたいろはちゃんが、私に気付いて満面の笑顔を向けてくれる。とっても可愛い、頭が冴えて来た。
「お、おはようございます……!」
「ええ、さなちゃんもおはよう。料理のお手伝い?」
「は、はい!」
隣りには、同じくエプロン姿のさなちゃん。朝食作りの手伝いをしていたらしい。2人は早速仲良しね。
「もうすぐ出来上がるので、少し待っていて下さい。さなちゃん、テーブル拭いてきてくれる?」
「はい、わかりました!」
現在時刻は午前6時50分位。やちよさんは8時中には家を出たいらしいから、この時間帯にお邪魔した。それに、やちよさんに「それならうちで朝食食べなさいよ。明日の朝の当番はいろはよ」と誘われていたので、家で食べずに来たのだ。
……さっきまでは小腹が空いた程度だったけど、美味しそうな匂いに反応して一気に空腹感が強まった。いろはちゃんの優しい味の料理、最初食べた時はイマイチに感じていたけど、今は好きな味付けだったりする。
「げ、朝メシはいろはの味なし料理かよ……」
調理の音と匂いで目が覚めて来たのか、キッチンに立ついろはちゃんを確認してゲンナリ顔になるフェリシアちゃん。
「塩分控えめなヘルシー料理、私は好きよ。素材の味を存分に味わえるもの。ま、お子様舌なフェリシアちゃんには良さが分からなくても仕方ないわよねぇ」
「……べっ別に、嫌いな訳じゃねぇし。鶴乃んちの50点な味濃すぎ料理よりはマシだしな」
「おっ言ったなー! フェリシアの癖に味を語るなんてナマイキなー!」
「万々歳が濃い味で50点なのは間違いないじゃない」
「やちよまで!?」
「まぁまぁ、燈湖的には安上がりでお腹いっぱい食べられてお気に入りらしいから……」
「んまぁ、そこはトーコ師匠に同意だな!」
「おお! さっすが燈湖ししょー、分かってるぅー!」
「……味に関しては、燈湖も50点だって言ってたけど」
「シッショ〜〜!?」
「……ふふっ、賑やかで良いですねっ」
テーブルを拭きながら、私達の漫才を見て楽しげに微笑むさな。
(……うん。さなちゃんに関しては、みかづき荘のみんなに任せておけば問題なさそうね)
そう考えつつ、昨晩解散する直前のいろはちゃんとやちよさんとの会話を思い返す。
☆
女王様に「疲れたから後は任せたわ」と一方的に交代されてから。元々家に居場所がなく透明人間扱いされていて、魔法少女になって本当に透明人間になってしまったさなちゃんの今後について短く話し合いがあった。
「双葉さん。もしも家に居場所がないなら、うちに住むのはどうかしら」
「え……!? い、いいんですか……?」
「ええ。うちは大きめの一軒家で下宿屋をしているから。部屋ならまだあるし、あなたが良ければだけどね」
「私も、やちよさんのみかづき荘に住まわせて貰ってるの。だから、これから一緒にマギウスの翼と戦うなら都合もいいと思うし、どうかな? それに、一緒に住めば、もっとさなちゃんと仲良しになれるかなって思うから」
「そう、ですね…………はい。それじゃあその……よっよろしくお願いします……!」
さなちゃんが結論を出すのは早かった。よほど、透明人間状態から抜け出したかったのでしょうね。半分は、いろはちゃんの優しさに絆されたカタチだろうけど。
……ちょっとだけ嫉妬したのは内緒だ。
「良かったですねぇ、さなさん! これでまなかは、さなさんの家族からの処遇についての愚痴を聞かずに済むようになります!」
「も、もう〜、まなかさん酷いですっ」
☆
……とまあそんなこんながあり、さなちゃんも今日から(正確には昨晩からだけど)みかづき荘の住人になったのだった。
「……さて。お喋りも楽しくて良いけれど、そろそろ情報交換タイムにしましょうか」
雑談をしながら朝食タイムを楽しんでいたけれど、気が付いたら時間は8時近くになっていた。ほんと、楽しい時間はあっという間だわ。
「そうですね。とりあえず、重要なのは後に回すとして……まずは、見滝原組の事からね」
言った通り、見滝原組(一応ポーチュラカ含む)について。
見滝原組の3人は、解散後は全員莧家、つまりはポーチュラカの家に泊まったらしい。というか、そもそも莧家に泊まる予定だったから、そのまま予定通りになったってだけだ。
で。見滝原組の目的は陽友花ちゃんに会う事と、神浜へ行くと言い残して行方知れず状態の巴マミを探すためだ。朝来ていたおタエさんからのメールによると、マギウスの1人であるアリナ曰く「邪魔されて追い払ったけど、その後は知らない」との事。つまり、一戦交えただけで、現在地は知らないらしい。
ただ、アリナと付き合いが長いおタエさんの勘では、どこかはぐらかしたような印象だったらしく、引き続きお説教兼情報引き出しをするとの事。ので、今晩花騎士魔法少女の定例会を開くから、おタエさんにはアリナを引き連れて来てもらって、その時追加情報を話して貰う予定だ。
そんな訳で今日ポーチュラカは見滝原組を連れ立って神浜市内観光案内をしつつ、巴マミを探す予定らしい。
「で、次はアリナ・グレイの処遇についてだけど」
アリナは、しばらくおタエさんが神浜で借りているアパートに居候する事になった。要するに、監視を兼ねた軟禁モドキ?である。
「……何でモドキなのかしら?」
「アリナもまだ学生なのだから、他のマギウスとかマギウスの翼への接触以外は基本自由に行動出来るようにさせたい、らしいわ。門限だとかで多少の行動制限はするけれど、学園に通ったりおタエさんのお店に行ったりとか、普通の女学生がする行動程度はさせてあげたいんですって」
「アリナさん、言動が結構危ないというか、エキセントリックな人ですけど……大丈夫なんでしょうか?」
「ですよね……あの人怖いです……」
いろはちゃんとさなちゃんの不安はもっともだ。いろはちゃんはオブラートに包んだ表現をしたけど、アリナは十分「狂人」の類の思考回路をしていると言っていい。
だから私も――私達も、他の対策は予定済みだ。
「私もそう思って、女王様と燈湖達に相談したんだけど。結論として、女王様の魔法でアリナの行動に制約を付けさせる事になったわ。具体的には、アリナには女王様謹製の魔法を付与した監視アイテムを常に身につけて貰う事になったわ」
アリナには今晩会った時に、女王様印の特別な魔法が付与された銀のブレスレットを両腕に付けさせるつもりだ。それによって、神浜市内にいる状態なら、アリナが予定外の行動や怪しい行動を取ったらすぐに感知出来るようになるらしい。魔法版GPSみたいなものね。
何で銀なのか聞いたら、どうも魔法というものは銀と親和性が高いらしく、魔法を付与しやすいかららしい。銀の純度が高い程効果を高められるらしいけど……この後アクセサリーショップとかで探す予定だけど、純度の程はお小遣いと要相談だ。
ちなみに、合金はNGらしく、完全純銀でないといけないらしい。財布に大ダメージを受けるのは間違いないわね……はぁ。
「今夜って事は、アリナとかいうヤツ、しばらくタエばあちゃん1人で捕まえとくんだろ? ばあちゃんが強いのは知ってっけどよ、ソイツ悪い奴らの大幹部なんだろ? オレ、タエばあちゃんが怪我しねえか心配だよ……」
「だよねー。タエちゃんの隙を見て逃げ出されちゃわないかな?」
「とは言ってもね。肝心の魔法付与アイテムの素材はまだ買えてないし、付与する魔法も今女王様が造ってる最中だから、どうしても最速で今晩なのよねぇ……」
そう、引き篭もってるのは疲労回復のためが半分。後の半分は、新魔法の制作に集中するためだ。女王様なら、精神疲労がなければ昼にでも造り上げちゃいそうだけど、あまり無理はさせたくないし素材探しもしないとだから、致し方ない。
それに……おタエさん曰く、ではあるけど。
「でも、今日明日くらいまでなら多分大丈夫よ。アリナ、おタエさんの事大好きだから、彼女に本気でお説教されると数日はマナーモードに入るらしいわ」
「マナーモードって、スマホじゃないんだから……でもまあ、何となく言いたい事は理解はしたわ」
「んー? どういう事だよ?」
イマイチ理解出来ていないフェリシアちゃん他数名のために、もう少し詳しく説明する。
「おタエさんの話では、普段おタエさんが側にいる時は大体まとも……とまでは言えないけど、割と真人間に近い精神状態らしいのよ。それだけ、今のアリナはおタエさんに芸術家としてご執心って事ね。だから、叩きのめされて説教受けた現状なら、数日はマナーモード状態だから無害らしいわ」
「ほえー、そーなのかー」
「さっすがタエちゃん! 普通の魔法少女には出来ない事を笑顔でやってのけるっ!」
「ところで、さっき言っていた魔法付与ブレスレット、GPS機能だけなのかしら。怪しい行動を感知しても、すぐに抑えられないと意味がないわ」
お、流石はやちよさん、アリナ相手に監視だけじゃ不十分って理解してるわね。
「勿論、もう一つ機能を付けるわ。市外に出ようとしたり怪しい行動をしようとしたってブレスレットが感知したら、魔法の蔦がブレスレットから出て全身を拘束した上に、簡易の魔力封印が出来るようにする予定よ」
「へぇ……凄いわね。まぁ確かに、彼女に対してならそれくらいしないと、自由行動なんてさせられないものね。けど、簡単に言ってるけど、それって結構高度な魔法な気がするのだけど……今日中に完成するの?」
「世界に愛されてる女王様だもの……多分大丈夫よ」
「……そこは最後まで自信を持って言って貰いたかったけど。まぁ、言った通りのアイテムが今日明日中に造れるなら、それで十分でしょう」
その贅沢な魔法付与されたアイテムは、私の資金力と純度高めの銀腕輪が見つかるかで効果がかなり変わるのよね……ほんと、色んな意味で贅沢なモノになりそうだわ。
「最後に。敵の最高幹部のマギウスの1人が現れて、ついでに捕獲まで出来た訳だけど……いろはちゃんはもう勘付いてるだろうけど、アリナからも聞き出せたわ。マギウスは、アリナ含めて全員で3人いるらしいわ」
「3人……じゃあやっぱり、後の2人は……」
「確かいろはさん、アイちゃんを直接暴走させただろう女の子に、名前で呼びかけてましたよね……」
そう。いろはは確かに、女王様ですら魔力感知出来なかった声に対して、確信の籠った声で名前で呼びかけていた。「ねむちゃん」と。
残るマギウスは2人。内1人がねむちゃん――探していた柊ねむならば、もう1人は必然的に。
「柊ねむ――里見灯花。いろはちゃんの妹分2人が、マギウスの正体で間違いないわ」
「信じたくないけど……私も、そう思います」
いろはちゃんの悲痛そうな声に、こちらも胸が締め付けられる思いがした。
大切な親友が、妹分が、一般人を害する計画の主導者になっている。その苦しみの程は、多分いろはちゃんにしか分からない。
それでも。
「2人がどれだけの悪巧みを計画してるか、まだ分からないけど。止めてあげましょ、いろはちゃん。世界に愛されている私が――私達が味方なんだもの、不可能なんて言葉、消し飛ばしてあげる」
「ふふっ、そうね」
私のセリフに、はっとしたように顔をあげて、不敵に笑う私を見て――優しげな顔で同意するように頷くみかづき荘のみんなを見て。
「はいっ! 頼らせていただきます! 絶対にマギウスを止めましょう!」
決意を固めた良い瞳で、そう宣言した。
みかづき荘での用事を終えた私は、早速銀のブレスレット探しに栄区のアクセサリーショップやブランドショップを巡っていた。その頃には女王様も起き出して、一緒に品定めをしていた、のだけど……
《……アクセショップはダメね、品質が低いわ。やっぱりブランド物ね》
《ブランド、ブランドかあ》
確かに高品質なヤツが高確率で置いてあるけど……高い出費になるのは確定ね……はぁ。
そうして何軒かブランドショップをハシゴして、女王様が目を付けたブツがこれである。
《うんうん、純度、サイズからしてこれが1番ね。これ以上を探すのは時間が勿体無いし、これで決まりね!》
念の為に多めに下ろして置いたから、一応現金一括払い出来たけど……20万の諭吉さんがひらりした……
《純銀って、こんなにするのね……まあ、サイズやらデザインやらブランド価格やらと、色々積み上がってこんな高額なんだろうけど……うぅ、今月はもうあんまり花騎士に課金出来ないわ……》
《それでも課金を止めないあたり、花騎士にどハマりしてるわねー》
《だってみんな可愛いんだもの! 最低でも追加キャラガチャのデイリー1連は回したいのよ!》
《はいはい》
まあ、
「うむ? 何やら浮かない顔をしておるが……何かあったかの?」
「アンウェルなカンジ? 気をつけてよネ、カトレアのボディはエルダーガールに次ぐ芸術品なんだカラ」
「あら、こんなところで奇遇ね、おタエさんにアリナ。身体は大丈夫よ、主に一時的な精神ダメージだから」
予想外の所で予想外の2人に出会った。なんでこんな所……ああ、アリナが今着てる制服、栄区にある栄総合学園のだわ。
「アリナは日曜なのに、学校に用事?」
「ん、ちょっとネ。最近部室に顔出してなくて、フールガールが来いってうるさかったカラ」
通ってる学校まではメールに書いてなかったから、こんな所で会うとは思わなかったけど。ふむ、部員への面倒見は割と良いみたいね。あだ名は酷いけど。
ちなみに、最初は「さん」付けだったけど。敵だったのを知ったのと、アリナは高1、つまりは私と同学年だったのを知ったのとで、今日からは呼び捨てにする事にした。
その後は、ちょうど昼時だったんで、おタエさんおススメのイタリアンレストランでお昼を一緒してからおタエさんのアパートにお邪魔して夜までの時間を潰した。
「こんばんは、カトレアさんにシロタエギクさん。アリナさんも、ようこそ」
「うむ、こんばんは、デンドロビウム殿」
「ハロー、マスターガール。アナタの筋肉美も好みだから、気が向いたらモデルになってヨネ〜」
時間になり雷電家を訪れると、出迎えてくれたのはデンドロビウムの方だった。デンドロビウムの精神疲労はほぼ抜けてる感じね……ていうか何よマスターガールって。
「こんばんは〜。で、燈湖はどんな感じ?」
《こんな感じですよ、カトレア》
「あー、だいたい理解したわ」
まぁまぁ回復してるけど、デンドロビウム感が抜けてないから完治は早くて明後日辺りね。
▲ ▽
「じゃ、定例会の前に例のアレ、始めるわよ」
ライデン家で夕食をいただいた後。花騎士魔法少女達全員がシェルター道場に集まったのを確認してすぐ、新魔法付与アイテムの公開作成と実践を始めた。
《また突然交代……まぁ頑張ってね、女王様》
カトレアが相変わらず文句を言ってくるけど気にしない。
という訳で。準備は万端、後はみんなの前で純銀ブレスレット×2に魔法を付与してアリナに付けさせて、許可していない状態で固有魔法を使わせる。
「んー……最初は普段通りいくケド……んっエクスプレッションする寸前で、カトレアの魔力でイレイズするカンジ? で、魔力の蔦でバインドされる、と……んっコレっ身体だけじゃなくて魔力も縛られてるヨネ? アハッアメイジンーグ!」
縛られて何で嬉しそうにしてるのかしら……これだから芸術家は。
まぁともかく!
「検証成功、付与も魔法も大成功! ふふっさっすが、世界に愛されてる私ね!」
「わーパチパチパチ〜」
「おめでとうございます。パチパチですよ」
ノリの良いハツユキとエノテラが拍手と賛辞をくれる。一応、拍手だけなら他数名もしてくれてるけど。
その後は特に目立ったイベントも報告もなく(普段の司会進行役のトウコがダウンしてるのもあるけど)、雑談&軽食会が始まった。まぁ、いつもの流れね、アリナっていう花騎士全然関係ない娘がいる以外は。
「ショウちゃんのぷにぷには、順調に成長中だった……ふふ」
「あっそうだりつさん! このあいだ、スターフルーツっていう果物を知ったんです! それを使ったお菓子、作ってくれませんか?」
「今日お寺で、お坊さんが呆然と坊主頭の少年を見ていたんだよ! 思わず私はこう言っ――」
「ストップ、ストーップです陽友花さん! 最近冷え込んで来て辛いのに、あったかい室内で凍えたくないんですよぅ!」
「最近ユキにオススメされたアニメを見てね。古い漫画原作の再アニメ化らしいんだけど、少年勇者とその仲間達が魅力的で――」
「私のオススメは、銀髪エルフが主人公の漫画ですね。なんとこの作品、かつての旅仲間の勇者が序盤も序盤で老衰――」
「為次郎さんに、これには安物のキャンディーが合うと一緒に出されたんです。彼がボリボリ噛み砕いていたので真似したら、歯が欠けるかと思いました。あの人の歯、オカシイです」
「それは昔から鍛えているからですよ。歯を鍛える、と言ってもピンと来ないかもしれませんが――」
「そういえば、基本男のボディには美を感じないんだけど。マスターガールの父親のボディは鬼がかってて良いネ」
「そうじゃの。為次郎殿の筋肉は確かに芸術と言って良い付き方じゃな」
「でもあの肉体で、筋トレとかで手に入れた訳じゃないらしいわよ。何でも若い頃、戦場を駆け巡った事で――」
……こんな感じに、それぞれ思い思いの相手と雑談していたのだけど。
ピロン
「ん、ちょっと失礼……いろはからか……っ!」
『 みかづき壮に、みふゆさんが来ました 』
《……女王様》
《そうね、カトレア》
――そのメッセを見て、私達は直感的に思った。
舞台は、次のステージに移りつつあるのだと――
ちなみに、カラスウリと華恋が話している作品は、カラスウリ(とハツユキ)の中の人繋がり的な何かです。
次回投稿は、11月27日(月)の予定です。次回から、新たな章に入る感じになります。
※身内の不幸が重なり執筆意欲が皆無状態ゆえ、申し訳ありませんが次回投稿は遅れます。なんとか12月中には次話は上げたいです。気長にお待ち下さい。