タマミツネが好きでたまらない20代男性がタマミツネになった模様   作:syuya

1 / 7
書きたいから書く。
読んでくれたら嬉しいな。チラ





プロローグ

 

 

 

 

 

 

『モンスターハンター』

 

 言わずと知れた大人気ゲーム。そんな名作を20代が今更始める。理由は567による自粛時間を潰すため。

初めの作品に選んだのはモンスターハンタークロス。何故クロスなのか。それは3DSのモンハンで唯一知ってる作品だったからだ。あいにく3DSしかハード持ってないし。本音を言えばアイスボーンとかやりたかった。

 

初めてプレイした日はこれがモンハンかと感動しながら遊んでいた。グラフィックは綺麗だし、モンスターに様々な細かい設定がある。とにかくすごい。語彙力が無くなるくらい感動したのを覚えている。

 

 後に調べてわかったことだが、周りの評価は過去作の方が面白かった……という声が多かった。モンスターハンターを知らなかった俺からすれば、これで十分過ぎるくらいだった。

友人に過去作のことを聞くと、G級クエストという難関クエストがあるらしい。

 

 クリアできるかんなもん。こちとら村クエで精一杯じゃ。集会所クエとか下位ですら苦戦してんのに。

 

 協力プレイをしようにも、モンハン上級者にけられた。まじで悲しいあれ。

 

 1回けられただけで心が折れた初心者には、村クエを頑張る他なかったわけだが、1年もやってればそれなりに慣れてくるものだ。一応村クエはほとんどクリアしたし。

初めて2頭以上倒した時はそれはもう嬉しかった。やればできる子なんや。それからはようやく狩りが楽しくなってきた。

 

 

 

 とくにタマミツネ。なんと言ってもかわいい。装備もかわいい。和風好きな俺の好みどストライク。何度挑んでも飽きない。怒ってヒレを赤くするのも、疲れて自分の泡で転ぶのも、ドジっ子っぽくて愛おしい。気づけば仕事疲れをタマミツネを見る(狩る)事で癒しを感じ始めるレベル。そのくらいにタマミツネが大好きだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だからなのかは知らんが、寝て起きたらタマミツネになってましたって。

 

 

 そんなことある?

 

 

 いや、ありえない。なんで急に?

 何らかの理由で死んで転生したとかならまだわかるけども。まだピンピンしてたのにいきなり人間卒業させるのはちょっと酷すぎませんかね。

 

 誰に怒るわけでもなく空を仰いだ。何年もの月日をかけて育っただろう巨大樹の間から、月の光が射し込む。それが自分の鱗に反射し、それはもう煌めいて綺麗で、近くの水面に妖しく映る。幻想的で、現実離れした景色を眺めながら、どこか他人事のように思える。

 

 いつのまにか作り出された無数の泡が身体にまとわりついた。これは泡風呂に浸かったような不思議な感触。気持ちいい。

巨大樹の根元に小さく丸くなるとあくびがでる。尻尾は紫色のふわふわした毛に硬く煌めく鱗。ほんとに綺麗だ。

 

 

 

 きっとこれは夢なんだろう。タマミツネが好きすぎるあまりに見た夢だと。そう信じたい

 

 

 

 今はこのまま泡に身を任せて眠ろう。きっと仕事しすぎたんだ。疲れてんだわ俺。そう、明日からまた仕事だ。仕事から帰ったらモンハンやって、ご飯食べて、お風呂入って、寝て。いつものような日常が待ってる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 閉じた瞼に日が当たる。なんだ、もう朝か。身体がやけに重たい。でも出勤しなきゃ。まず顔を洗って……。

 

戻ってない。夢じゃなかった。試しに鋭い爪を顔に当ててみる。やばい、めっちゃチクッてするやん。え、いたぁ。

 

 俺がほんとにタマミツネになったなら、これからハンターに狩られる可能性があるわけで。え、嫌すぎるんだけど。絶対痛い。爪でツンってつつくだけでも痛いのに。あんな武器で切られたらと思うと。うぅ。鱗が震える……。

 

 冷静に考えたら、この世界でモンスターになるってやばいやん……。人外ハンターと別のモンスター達に狙われる挟み撃ち。なにそれやってらんねー。

 

と、とにかく移動だ。なるべくハンターにもモンスターにも見つからない場所。思い立って身体を動かしてみる。なるほど、人間で言えば四つん這いみたいな感じに近い。四肢の感覚はしっかりある。

 

 なんとなく自分が四つん這いしてる姿想像したらキモすぎた。はぁ。

 

何の気なしについたため息だったが。

 

 

 

 ビシャーー!

 

 

 

 え? なん、え? 今俺、水、え?

 目の前には鋭く抉られた地面。今、ため息したつもりなんだけど、ブレス攻撃した? 俺が?

思わず口に手を当てようとして鋭い爪が見えてやめる。刺さったら絶対痛い。

 

 えぇ、俺、タマミツネやん……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それからしばらく身体を動かしてみて、わかったことがいくつかある。まず基本的な動きは四つん這いみたいな感覚でできる。

 

ブレスはため息をする要領で出る。しかも、ため息の深さである程度の威力調整が可能。

 

泡吐き攻撃はゲ〇する感覚。

 

尻尾は下腹部に力を込めてれば操れる。なるほど。なんか楽しいかもしれん。チートキャラを操作する感じ。俺TUEEEEみたいな。

 

これらの感覚をものにしていくために、何度も同じ動きをくりかえした。気づけば夕暮れ時。1日中動いたためか、めちゃくちゃお腹空いた。

 

 空腹状態で眼前には10匹ほどのダチョウみたいな小型モンスター。じゅる。うわ、よだれ出た。

 

 や、まぁ弱肉強食の世界だし、俺も食べなきゃ生きてけない。けど、生で食べて大丈夫? 食中毒とかにならない?

 

 でも俺タマミツネだし大丈夫なんじゃ。ま、まぁ大丈夫。よしいける。

 

 少し可哀想であるが仕方ない。今日散々練習した攻撃を用いて小型モンスターを仕留めていく。名前なんだっけな。まぁいいや、うし、1匹逃したけどこれだけあれば十分だろ。

 

 小型モンスターの1匹をくわえて、少し上を向いて口の中に流し込む。舌で上手く動かして噛んでみると、ぶにゅっとした感触のあとバリバリと硬いものを噛み砕いた。溢れ出るものはおそらく血だろう。グロい。一瞬だけ嗚咽しかけた。だが。

 

 う、うまい。生肉だからちょっと臭いし鉄っぽい味だけど、なんというか、うまい!

 6匹ほど食べたところで胃が膨れてくるのがわかる。

 

 

 って、俺、ガチモンスターじゃん。元人間だよ俺。味覚もモンスター化してるのかな。現実世界のダチョウより大きい生き物を、ひょいパクひょいパクと……。うぅ。自分がこわい。

 

 

 自分に恐怖してる間にも日が暮れて、月の光に身体が照らされる。水面に映る自分の顔は、紛うことなきタマミツネ。花びらのようなヒゲ? 触覚? やらが美しく輝く。

 いまだに実感は湧かない。認めたくないのかもしれない。いくら好きと言えど、自分がタマミツネ(モンスター)になるのは受け入れ難い。

 

(元の世界に戻れないのかな)

 

「フォォウ」

 

 そう呟いたつもりが、少し悲しげなうめき声として聴こえる。その人ならざるうめき声で、やはり自分はタマミツネなんだと痛感させられる。

 これからどうしようか。結局身を隠す場所も探せてない。ハンターに狩られるかもしれない。はたまた他のモンスターに襲われるかもしれない。モンハン知識も浅い俺が、この世界を生き残れるのだろうか。不安ばかりが募って、思わず大きなため息をつく。はぁぁ。

 

 ビィシャーー!

 

 うわ、ブレスの勢い強すぎ?!

 

迂闊にため息もつけないなこの身体。

 

 

 

 

 





ゲームに登場するタマミツネってオスらしい。

私は一向に構わんッ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。