タマミツネが好きでたまらない20代男性がタマミツネになった模様   作:syuya

2 / 7
20代男性が感覚をものにした模様

 

 

 タマミツネになって1週間くらいだろうか。だいぶこの身体に馴染んできている。攻撃手段もそうだが、走り回ったりジャンプしたり、尻尾も器用に使えるようになった。もう立派なタマミツネだろう俺は。どや。

 

 泡による高速移動も板に付いてきたし、小型モンスターを狩るのも楽になった。うん、肉がうまい! これは是非とも焼いた肉も食べてみたい。お酒欲しくなるなぁ。

 

 にしても、なんもこないなぁ。

 

 いやこなくていいんだけどね? 

 小型モンスターはごろごろ現れるけど、それ以外は全く現れる気配もない。ハンターもみかけないし、なんか、ビクビクしてたのが馬鹿らしい。

 まぁ、現れないなら現れないに越したことはない。食料確保以外の殺生は無駄だし。

 

 最後の小型モンスターをパクっと食べる。すると昼頃だというのにあくびが。

 この身体になってからというもの、度々眠気に襲われる。タマミツネって寝るのが好きなのかな。

 よし、一眠りしよう。俺はいつものように身体から泡を分泌させ、それを纏って丸くなる。この泡がまたいい匂いで、眠気が。

 

 ふぁ〜

 

 またあくびをしたあと顔を伏せて眠りにつく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジャプジャプと、謎の音で目が覚める。耳がいいのは時にデメリットになりかねんな。せっかく気分よく寝てたのに。

 

 音の正体を探るべく重い身体を起こし、ひとつあくびをする。ほんの数メートル先に、ゲームでもみた二足歩行のネコが3匹映る。これはアイルー? 

 

 

 

 

「!?」

 

 

 

 

 え、やばくないか。アイルーがいるってことはハンターも近くにいるんじゃ。え、やばい! 

 

 眠気が一瞬にして覚めた。慌てて周りを確認するが人らしき姿は見えない。というか、アイルー達は防具も武器も装備してない。ただのネコじゃん。へへ。遊んでやるか。

 

 俺は泡を纏ってアイルー達の周りを素早く移動する。襲われると思ったアイルー達はブルブル震えながら構えていた。かわいい。なにこれかわいい。

 

「うにゃー! かかってくるニャー! 」

「ウアアオオウ!」

「「「ヒィ! 」」」

 

 ちょっと吠えるだけですごく怯えてる。やばいかわいい。いじめたくなる。

 尻尾を使ってアイルー達を持ち上げて空中に投げる。やめるニャー! って叫んでるけど、もうちょっと遊ぼう。

 

 3匹をもう一度尻尾で受け止め、表面に泡を分泌させる。アイルー達は滑り台を滑るように尻尾を伝って泡が付着した地面を転がっていく。

 

 泡塗れになったアイルー達は身震いして泡を落としている。ネコってなんでこんなかわいいんだろう。あんまりやるのも可哀想だし、そろそろやめよう。

 

 俺はまたあくびをしてもう一度眠りにつくフリをする。アイルー達は今のうちだニャー! と走り去って行った。ちょっとやりすぎたかな。ごめんな。

 

 だけど、この世界にきて、まさかこんな和むとは思わなかった。ありがとうアイルー達。愛してる。

 アイルー達の小さな背中を見送った俺は、後ろ足で立って前足で合掌する。そして心の中でもう一度謝るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アイルー達と遊んでわかったが、自分の身体を上手くコントロールできている。改めてそう思えた。

 

 小型相手だから上手くいってるけど、これが大型モンスターやハンター相手だとどうなるかは未知数。最悪負けて死ぬ。ひぇっ。

 

 考えるだけでも恐ろしい。もう寝よ。そう思ってお腹辺りに泡を分泌していた時。遠くの茂みから出てくる黄色いモンスターが見えてしまった。

 

 初めてみる自分以外の大型モンスター。名前は忘れたけど、あのポン・〇・リングみたいな形には見覚えがある。

 しかもあいつ、なんかこっちに向かって吠えてない? 

 ほら、こっち来てんじゃん。えぇ、やだぁ、どうしよう。戦うしかないのか。でも俺なら泡の力で逃げ切れるかもしれない。

 迷ってる間にもだいぶ距離を詰められた。ズシンズシンと地響きが鳴る。初めて見る大型モンスターに呆気をとられたのか、動けない。やばい。もうすぐそこに。

 

「っ!」

 

 刹那、奴の左腕が自分の頭上を掠める。ギリギリで姿勢を低くして避けた後、反射的に泡を分泌して長い爪を地面に突き刺し、思い切り右側に避けて距離を取る。

 

 あ、あぶねぇ。あんなん当たったらやばいやん。もうやだこいつ。なんで攻撃仕掛けてくるんだ。縄張り的なアレか?

 

 休憩してる場合かと言わんばかりに奴は口から水玉みたいなものをこちらに吐き出してくる。うわ、汚ぇ、ちょっと濁ってんじゃん。

 それに対抗するように、ため息を、ブレスを吐き出す。水玉を貫いて弾けさせ、ブレスは奴の顔に命中。そして仰け反る。

 

 これはチャンスだ! 追撃すべく素早く相手の懐に潜り込み、下腹部に力を込めて右から左上へ回転しながら勢いよく尻尾を振る。奴は後ずさりながら首を振った。きっと頭がチカチカしてんだろうな。

 

 痛そう。でもお前が悪い。

 

 アッパーするかのようにヒットした尻尾が少し痛むが、ダメージは奴の方が大きそうだ。顎が外れたのか、よだれを垂らしている。

 

 その間にも今度は左側に回り込む。奴は顔だけをこちらに向けると、俺に腹を見せるように大きく身体を揺らす。これは見たことがあるぞ! 

 

 こちらにローリングタックルを仕掛けるが、タイミングを合わせて飛び上がって回避、着地と同時に奴に向き直り鋭い爪で引っ掻く。深々と奴の身体を抉り、痛みで咆哮をあげた。

 

 あれ、俺ってもしかして強いんじゃないか。

 

 無防備な横腹に容赦なく最大威力の水ブレスをお見舞いしてやる。スパンっと体の一部が削られながら、衝撃で吹っ飛んだ。少しウネウネと暴れたあと動かなくなった。

 近くによってツンとつついてみるが動かない。

 

 勝った。圧倒的大勝利だ。

 

(よっしゃー!)

「ガァァァ!」

 

 うお、思ったより大きな声出た。嬉しさのあまり勝利の雄叫びをあげる。これは大きな勝利なのでは。かなり自信に繋がった。回避性能については素晴らしい身体だし、上手く立ち回ればダメージは負わない。

 攻撃もゲームのような固定モーションではなく、思うままに動ける。これはいける! 

 

 よし、せっかく勝ったし、ちょっとだけこいつを味見してみよう。さっき切り裂いた部位を食べてみるがスポンジみたいで美味しくなかった。

 おそらくこの黄色い部位は全部同じ味だろう。器用に爪を駆使して黄色い部分を取り除いて、肉に食らいつく。うん、うまい! やっぱり全部食べよう。日本人たるもの、お残しはあきまへん。

 

 俺はすっかり弱肉強食にのまれたなぁ。そんな呑気なことを考えながら、今日得た大きな獲物を平らげた。うっぷ。今日も生きれたことに感謝。

 

 初めてのモンスターとの戦闘で、自信を手に入れた俺は、ふぁ〜とあくびをして改めて眠りにつく。よく動いたし、食べたし。今日は熟睡だな。

 

 







ずっとルアルドロスって呼んでました

ちなみに私はロアルドロスに3乙した経験がございます。
ヤメテ!下手とか言わないデ!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。