タマミツネが好きでたまらない20代男性がタマミツネになった模様   作:syuya

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20代男性はハンターの恐ろしさを知った模様

 

 

 

 

 

 皆に指示を出した後、即座にザールは弓を展開。そしてホルダーから矢を取り出し、引き絞って放つ。その一連の動作は無駄なく行われ、尚且つ正確にロアルドロスの後ろ足に命中させる。

 バランスを崩して倒れたロアルドロスに、片手剣を抜刀したバンジが素早く詰める。

 

「喰らいな! 」

 

 バンジは刃先をロアルドロスの左側面に突き刺したかと思うと、そのまま高く跳躍しながら切り上げていく。とんでもない脚力と腕力。

 

「リリ姉! 任した! 」

 

 空中で叫んだバンジは一回転しながらロアルドロスを飛び越えていく。バンジが抉った傷口に、いつの間にか詰めていたリリアの双剣が牙を剥く。

 縦横無尽に双剣を振るい、鮮血があちこちから噴き出す。深い傷口からは赤黒い液体が流れ出てくる。

 痛みに悶えながらロアルドロスは尻尾でリリアを吹き飛ばそうとするも。

 

「お見通しよっ! 」

 

 リリアは尻尾が当たる瞬間に跳んで回避。それどころか尻尾に連撃を加え、切り落としてしまう。

 

「はは、リリアはとんでもないね、相変わらず」

 

 先程弓矢を放ったザールは口角を引き攣らせた。僕も彼女が味方でよかったと心底思う。

 おっと、見てる場合じゃなかった。トドメを刺しに行かなくては。3人が作り出した討伐機会を逃す訳にはいかない!

 

「セラ君! 」

「いけぇーセラっち! 」

「もう可哀想になってくるね、はは」

 

 3人の言葉を聞きながら走る。背中に背負った大剣の柄を両手で握る。ロアルドロスの手前で飛び上がり、空中でさらに柄を握り込む。

 全ての力を込めて抜刀すると同時に振り下ろす。遠心力と重力を受けた大剣は、ブォンと音を立ててロアルドロスの傷口をさらに裂いた。奴は声もあげずに絶命する。

 正直オーバーキルにも程がある気がするけど、念には念を入れておかないと、生きていたら襲われる可能性がある。不意打ちは絶対に避けたい。

 

 一息ついて大剣を納刀すると、バンジが叫んだ。

 

「セラっち、あっちにもモンスターがいる!」

 

 指を差した方向に全員が目を向けると、そこには紫と白を基調としたモンスターがいた。緩みかけた空気が、また緊張感に包まれる。

 

「紫色の、もしかしてセラ君が言ってた新種? 」

「恐らくはそうだろうな。俺はあんなモンスター見たことがない。どうする? セラ」

 

 ザールはこちらに指示を仰いだ。迷ってる時間はない。ここで逃がせば情報を得るチャンスが減る。

 

「追おう、みんな! 」

 

 瞬間、みんなは新種モンスターを目掛けて一斉に走り出す。僕も追いかけながら追加で指示を出した。

 

「けど、あくまで情報収集するためだから、戦闘は」

 

 言いかけた時、新種モンスターは振り返った。遠すぎて詳しくは見えないけど、こちらに気づいたのは間違いない。来る! 反射的に大剣の柄を右手で握る。が。

 

「んぁ? おい逃げてくぞ! あはは、さてはオレにビビってるんだ! 」

「なわけないだろう! 」

「速すぎる、追いつけないわ! 」

 

 新種モンスターはなにやら身体を震わせた後、猛スピードで逃げていく。何故だ。少し追ってみたものの、あっという間に見失ってしまった。

 

「バンジ、見えないか? 」

「流石のオレでも、いないものは見えないって」

 

 バンジの目はずば抜けて視力がいい。それでも視認できないなら、もう諦めるしかない。

 

「諦めよう。僕達の目的は果たしたし、深追いしすぎるのも良くない」

「そうだね、姿はしっかりバンジが確認しただろうし、あとはギルドに任せよう」

 

 ザールが言うとバンジとリリアは頷く。

 

「ちっ、つまんねぇ。 うわっ」

 

 バンジは両手を頭の後ろで組み、わざとらしく舌打ちをする。足元にあった石を蹴ろうとすると、勢い余ったのか尻もちをついた。

 

「ふふ」

「もう、なにやってんのよ〜」

「違うって、この辺めちゃくちゃ滑るんだよ! 」

 

 リリアに起こされながらバンジは顔を赤くして弁明していた。けどごめん、ちょっと笑った。

 

「ん、待ってくれ」

 

 ザールはそういうと、さっきバンジが転けた辺りを、なにか確認するように慎重に目を凝らした。

 

「よくみたら、小さな泡がいくつもある。多分これで滑ったんだ」

「確かに、わっ、すごいヌルヌルしてる」

「うわほんとだ、うぅ、ケツが気持ちわりぃ」

 

 リリアの反応を見て、僕も触ってみる。確かにヌルヌルしている。モンスターの体液でも、こんなものは触った事ない。

 

「新種で間違いないみたいだ。泡を利用したから、あんなに速く動けたのかも」

 

 整理する目的で口に出すと、3人は頷く。とにかく帰還するよう促す。詳しいことは飛行船で整理しよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 飛行船は簡素な造りで、風を凌ぐものがほとんど無い。落下防止の柵があるくらいで、そこに体重を乗せた。

 雄大な自然を前に、思い出すのは新種モンスター。何故逃げたんだ。それがみんな気がかりだった。

 

「草食なんじゃない? 」

 

 リリアが発言した。確かにそれなら、ロアルドロスから逃げたとも考えられるが。

 

「1度俺達を見て、逃げる速度を速めていたから」

「オレにビビったんだよ」

「まぁ、僕達を恐れていたのは間違いなさそうだけど」

 

 草食モンスターは温厚で、僕達人間を見ても襲いはしない。逃げるモンスターも少ない。ケルビみたいな小型は逃げ回るけど。

 

「少なくとも、オレは草食のくせにあんな大きくなるとは思わないけどね」

 

 バンジ曰く、新種は大型モンスター。肉を食べなきゃ身体の発達はたかが知れている。遺伝子によってもとから身体の大きな草食モンスターはいるけど、新種は草食にしては大きすぎると言う。そして、鋭い爪や牙も草食では有り得ないと付け加えた。

 

「獲物を狩るために発達した。なら、肉食と考えるのが普通ね」

「肉食だとするなら、あの速さで襲われたら」

「オレなら余裕だけど、並のやつなら即天国だね」

 

 新種モンスターの驚異的なスピード。到底対応できない。なら尚更なんで逃げる必要があったんだ。

 それだけのスペックを持ちながら獲物を前にして逃げる理由。

 

「今は考えるだけ、無駄かもしれない」

 

 3人はこくりと頷く。いつの間にかベルナ村の近くまできていた。とにかくギルドに報告するしかない。あとは商人が出した要請がどうなるか。あの新種モンスター相手なら、たとえ『調査』であっても難しいクエストになる。

 

 これはディノバルドを超える厄介な新種モンスターになりそうだと、頭を搔いた。

 ベルナ村に到着した時には、既に夜になっていた。報告等を済ませて、広場でぼんやり満天の星空を眺めていた。

 すると草を踏む音が聞こえて、そちらに視線を移した。そこにいたのは血相を変えた受付嬢さん。息切れ混じりに受付嬢さんが告げた。

 

「セラさん、新種のモンスターが……」

「どうか、したんですか?」

「ジンオウガを、喰い殺したと。さっき報告が」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 見つかったぁ。脳内で低いボイスが再生される。気分はさながら逃〇中。てってれてれ。

 いつの間にか撒いたみたいで、もうハンターは追って来ていなかった。ふぅ助かった。しかし、あのドーナツを食いっぱぐれた。お腹空いてきたし、早いとこモンスター仕留めなきゃ。

 

 悲しいかな。探しても探しても、小型モンスター1匹すら見つからない。なんて日だ!

 気がつけばすっかり辺りは暗くなっていた。

 

 ぐぅ〜

 

 やばい、お腹ずいだ。けど、歩くのも億劫だ。どうしよう。

 ん? この匂いは、なんだ。匂いを辿るとキツくなってくる。僅かに小型モンスターを食べた時のような香り、いや、微妙に違うか。それよりももっと獣臭いというか。嫌な匂い。辺りを警戒しながら見回した。

 すると、月夜に照らされた、煌めく姿が見えた。

 

 えっ。その美しい姿。

 

 タマミツネ、おるやん……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 







戦闘描写難しい。

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