青薔薇のベーシストはヤンデレなのか?   作:ka-主

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前編の続きです。


【1周年記念・お気に入り100突破記念】1人じゃないから(後編)

〜神楽side〜

 

「ブラックコーヒー2つ、お待たせしました。ごゆっくりどうぞ!」

 

俺は今、長野県千曲市の駅前の喫茶店にてさすらいのギターミュージシャンの竜騎さんとお茶をしていた。正直、何も話すことなんてないし、早いところ目的地に赴きたい所だったのだが……竜騎さんの期待の眼差しに押されてしまった。

 

「それで……見ず知らずの俺に、何の話ですか?」

「うん。単刀直入に言うと……神楽君は今、何か悩んでるのかな?」

「……俺には、1人の幼馴染みの彼女がいます。付き合い始めたのは……今年の四月頃。親の事情で長野にいた俺は自分の夢を叶えるために単身で上京してきました。そしてそこで、幼馴染みの彼女と小学校ぶりに再会したんです……ーー」

 

 

 

……コーヒーを飲みながらだが、俺は今回此処へ来た目的を過去を振り返りながら竜騎さんに話した。その時の竜騎さんは何か相槌を打つわけでもなく、ただ黙って俺の話を聞いてくれた。

 

 

 

「ーーなので俺は、もう……誰にも傷ついて欲しくないために、此処へ来ました」

「成程……それはさぞかし……辛かったよね……?」

「そうかも……しれないです。だけど今思い返してみると……自分の自己満足で何の罪のない人まで巻き込んで……最低のクズ野郎だなって、しみじみ思いますよ」

「ん〜……神楽君がそう思うんなら……そうなのかもね……ても、彼女達は違うんじゃないかな?」

 

「……え?」

 

竜騎さんはそう言って、一旦コーヒーを1口飲み話を続けた。

 

「確かに君は恋人との……もっと言えば幼馴染み同士の問題で済ませるはずだった……それが瞬く間に彼女達を巻き込んで……その関係者まで巻き込んで、遂には公までにもその被害はおよんだ。これは一般の人達から見れば悪いのは君かその恋人だ。けど……他の彼女達4人はそうは思ってないと思う」

 

そう言い終えた竜騎さんは、再びコーヒーを1口飲み話を続けた。

 

「そもそも選択した人生は選択した者にしか責任を負えない。何もその結末にした物だけが全ての責任を追う必要はないんだ……」

 

「だからーー」と言って竜騎さんは言葉をとぎらせーーいきなり俺の頭を軽く叩いた。

 

「イタッ……!」

 

「君1人で何もかも全部背負う必要は全くないんだ。今回に限っては彼女達にだって、自分達が選んだ結末に対しての責任を負う義理がある。だから今、君がいなくなったら……君が背負う筈の責任を彼女達が背負わなきゃ行けなくなる。そうなったら彼女達5人の未来は、相当惨い事になってしまう。分かるだろ?」

 

「…………」

 

何も……言い返せなかった。むしろ気づいてしまった……自分がやろうとしていたのは自分の罪の押し付けだと結果的に、リサ達にまた癒えない傷を負わせるだけなんだと……。

 

「神楽君、ブランコ……って、知ってるかい?人生って、未来(・・)って揺れるブランコそのものなんだよ」

「ブランコ……」

 

「そ、不幸な人生を迎えたなら……その分漕ぎ出し前へ出る勇気を持って、未来へ前進して、羽ばたけばいい。それにブランコって1人で漕ぐより複数の人達で漕いで遊んだ方が何倍も楽しいんだ♪」

 

「何倍も…………フッ」

 

「漸く……笑ってくれたね♪」

「久しぶりに……心の底から笑った気がします……」

 

いつからだろうか……俺は笑顔で居ることを忘れてしまっていた。皆を……リサ達Roseliaを救う為に、自分はどうすればいいか悩み悩んでいった結果がそれなんだと、俺は悟った。

 

「竜騎さん。コーヒーご馳走様でした。俺、東京に帰ります。皆が……彼女(リサ)が待ってるので」

「そっか……俺も君と話が出来て良かったよ。だから神楽君……ユキや紗夜、りんりんやあこ、そして……リサを頼むよ」

「!?……どうして彼女達の事を……?」

「さぁ……なんでだろうね……?ほら、早くしないと東京行きの電車がきちゃうよ?」

「……そうですね。改めて、ありがとうございました」

 

色々と気になる事があって竜騎さんに聞きたかったが……リサ達が待ってる事を思い出し、俺はお代を置いて喫茶店を出た。

それにしても……ユキ、か……幼少期のころ友希那のことをよくそう呼んでたな……

 

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〜竜騎side〜

 

「ふぅ……相変わらず、色々と喋りすぎたな……」

 

彼が喫茶店を出ていって暫く物思いに耽っていた俺は、コーヒーを飲みながらそう呟いた。

 

「この世界で俺が果たすべき使命……彼が最後ということか……」

 

そう呟いて俺は会計を済ませ、喫茶店を出た。

 

「そろそろ戻るか……自分()の世界へ」

 

そう言いて俺はバイクに乗り、全速力で飛ばしーー

 

ーー光の中へと消えていった……。

 

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〜リサside〜

 

「そん……な……」

 

アタシは今……羽丘駅の切符売り場の上に掲示されている時間表を見て、そして長野県千曲市行きの電車までの料金を見て絶望していた……。

 

次の電車は、早くてもあと1時間後にしか来ない。そして長野県千曲市までの料金が……今のアタシの手持ちじゃ足りないという事。

 

「早くしなきゃ……神楽が……どぉして……ウウッ!」

 

アタシは遂に耐えきれずその場で泣き崩れてしまった……やっぱり……アタシのせいだ……これはきっと……アタシが神楽や皆にしてきたことに対して、神様が与えた罰なんだ……そう悟らずには居られなかった。

 

「神楽……ごめんなさい……ごめん……なさい……!!」

 

 

「り、リサ!?」

「今井さん!?どうしたんですか!?」

「リサ姉!?大丈夫!?」

「い、今井さん……!?」

 

 

「皆……ッ……うわあああああああああああああんんんんん……ッ!!」

 

 

『!!??』

 

そして……皆の姿を見たアタシはーー遂に涙腺が崩壊し、友希那に抱きついて大声で泣いてしまった。

 

「お、落ちいてリサ!何があったと言うの!?」

「と、とりあえず、此処を離れましょう!」

「リサ姉……大丈夫?」

「今井さん……」

 

アタシは……友希那達に連れられて、一通り泣きじゃくった跡、訳を4人に話した。

 

 

「確かに……これ程のお金……」

「片道ならまだしも……往復ってなると……」

「高速バスも……あまり現実的ではないわね……」

「お母さん達に訳を話して連れてって貰うのは?」

「無理よ……私達の両親は愚か、皆の所だって同じ状態じゃなかったかしら?」

 

そう、友希那の言うように……アタシ達の両親は、あの日の騒動が原因で、双方で距離をとっている。詰まる話……今は別々の場所で生活をしている。

 

「それもこれも……全部……全部アタシのせいだ……ホントに、ごめんなさい……」

 

だからこそ、そう言わずには居られなかった。

 

「ごめんなさい……友希那……皆……神楽……ッ!ウウッ!ホントにごめんなさい……ッ!!」

 

こうして唯ひたすら謝る事しか、今のアタシには出来なかった。

 

ピロリンッ♪

 

そして、アタシ達のこの重たい空気を破るかの様に、アタシの携帯の通知音がなった。

 

ピロリンッ♪

 

そしてもう1回……もう、アタシが悲しんでる時に何なの……?空気ぐらい読んでよ……

そう心の中で愚痴をこぼしながらアタシは送り主を見た。

 

「……え!?」

 

「?……リサ、誰からだったの?」

 

「神楽……から」

 

『!!??』

 

送り主は……何と神楽だった。そして、メッセージは二通に分けてこう送られて来ていた。

 

 

 

『今、羽丘へ帰る所。心配かけてごめん』

 

『着いたらリサとRoseliaの皆んなで話がしたいから、あの公園で待ってて』

 

 

 

「リサ、行きましょ」

「うん……ゔん……ッ!!」

 

涙出そうだったが、今は泣いてる場合じゃない。この涙は……神楽に会った時に存分に流そう。神楽の服が、ずぶ濡れになるくらい……

 

「行こ、皆……!」

 

アタシはそう言って……あの公園……全てが始まった、あの公園へアタシ達は向かった。

 

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〜神楽side〜

 

 

「なんだろ……この感じ……」

 

 

羽丘駅に着いた俺は、目の前に映る景色が全て新鮮な感じで輝いていた。何時も見てる景色の筈なのに……どうして……?

 

結論づけるのはまだ早いが、俺自身が産まれ変わったんだろう。多分。産まれ変わったのは、恐らくは精神(メンタル)……つまりは心だと俺は思った。それによって、目に映るもの全ての見方や価値観等がガラリと変わった。

 

なら何時から……?生まれ変わった時は分からないが、産声(・・)を上げた時なら直ぐに分かった。それこそ正に、竜騎さんのお陰だった。竜騎さんと出会わなければ俺は……『笑顔』という名の 産声を上げることすら叶わず、なんの代わり映えのない景色を死ぬまで、心の中でずっと1人で見ていたのかもしれない。

 

 

「だから俺は……もう逃げない。大切な人を置いて居なくなったりなんか……絶対しない」

 

 

そう俺は心に誓って、皆が待つ約束の場所へと向かった。

 

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〜神楽&リサside〜

 

 

(陽だまり……キレイだな……神楽と初めて出会ったあの日とおなじくらい、綺麗)

 

 

約束場所の公園にて、陽だまりを眺めながら……アタシは心の中でそう呟いた。

 

 

「神楽?きっと……来てくれるよね?信じて……いいんだよね……?」

 

 

そう呟いていると、胸の奥がギュッとなって、苦しくなった。

 

 

(そう言えば、神楽が長野へ引っ越す日……アタシ、神楽の乗る車を泣きながら追いかけたっけ?何だか懐かしい……)

 

 

「もしかしたら……今度は神楽が泣きながらこっちへ来たり……なんてね♪」

 

 

アタシがそう呟いた次の瞬間ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リサーーーー!!!!」

 

 

 

 

遠くから……アタシを呼ぶ声がした。そしてその声の主は、間違えるはずがない。その声はーー

 

 

「か、…………神楽……ッ!!」

 

 

 

ーー約束の公園はもう目前。ここまでくる間に見た景色、今までの思い出……そして、リサ(彼女)の事を思い返し終えた刹那、俺は走りながら彼女の名前を叫んだ。

 

 

そしてーー目の前に俺の最愛の彼女……リサが公園の入口で立っていて、俺は走るのを辞めた。

 

 

「リサ……!」

「神楽……!」

 

 

ーーアタシが立ってる所から距離は大体500mって所で、アタシは神楽の名前を呼んで1歩、1歩と神楽の方へ……大好きな彼氏(神楽)の方へ歩みを進めた。

 

 

「リサ!!」

 

 

ーーリサが歩み始めたと同時に、一度止めた足を再度リサの方へ……愛おしいリサ(彼女)の方へ歩み始めた。

 

 

「神楽!!」

 

 

ーーそして、その歩みは徐々に早くなり……次第に神楽とアタシの距離は縮まっていく。

 

 

「リサッ!!」

 

「神楽ッ!!」

 

 

ーー300、200、100……そして俺とリサの距離は50mを切り……

 

 

「リサ……ッ!!」

「神楽ァ……ッ!!」

 

 

ーー0になったと同時にアタシと神楽は、互いを抱き合った。間違いない。今、アタシが抱きしめてるのは……

 

「神楽!!……神楽ァ……ッ!!」

「リサ……!リサッ!!」

 

ーー俺が抱きしめてるのは、陽だまりに咲く……一輪の赤い薔薇。俺の最愛にして唯一無二の彼女。

 

ーーどんな時でも、どんな事があっても……アタシの為に、アタシを1番に思ってくれた……アタシだけの彼氏。

 

 

「リサ……ホントに……ホントにごめん!お前の目の前から、居なくなったりして……ホントにごめんッ!!」

「神楽……!アタシこそ……神楽にたくさん酷いことして……辛い思いをさせて……ホントに……ごめんなさい……ッ!!」

 

 

ーー俺は、此処に誓う。もう……もう二度と、リサを……最愛の彼女を手放したりしない。こんなにも美しくも愛おしい彼女を。絶対に。

 

ーーもう、神楽を悲しませたりなんかしない。アタシは、此処に誓うよ、神楽。貴方を絶対に……絶対に、この手から離したりなんかしない。

 

「神楽……約束……約束して……?もう、アタシの……アタシ達の目の前から……居なくならないって……1人で何もかも背負わないって……ッ!」

「ああ、約束する……もうお前の目の前から居なくなったりなんかしない。リサ……これからもずっと愛してる」

 

「!!……ッ、ウウッ……神楽……ッ、わああああああああああんんんん……ッ!!」

 

アタシは、神楽にもう一度、『愛してる』って言われて……涙腺が一気に崩壊した。神楽の腕の中で、めいいっぱい泣きじゃくった。

 

「神楽ァ……ッ!!あだじも……ずっどずっど……神楽のごど……ヒグッ……愛してるがらぁ……ッ!!ウウッ、うわあああああああああああああんんんんん……ッ!!」

 

俺の腕の中で、リサはめいいっぱい泣きじゃくっていた。俺はそれを、リサの身体をこれまで以上に抱き締めて受け止めた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜神楽side〜

 

「神楽」

「友希那……皆も……」

 

リサを抱き締めている最中、公園から友希那達が出てきた。友希那達は俺とリサの状態を見て、半ら苦笑いでいた。

 

「全く……あれだけ心配した私達が馬鹿馬鹿しいです」

「でも……神楽さんが無事で……ホントに良かったです……」

「神兄……心配したんだよ〜!!」

「あこのゆう通りよ。全く……昔から世話ばかりかけさせるんだから……」

 

「ごめんって……でも昔から世話焼いたのは……ユキ(・・)の方だろ?」

「!?……神楽、今貴方……」

 

友希那に憎まれ口(?)を言われたお返しとして、俺は友希那を幼いころ呼んだ呼び方で呼んでやった。

 

「懐かしいだろ?昔を思い出してさ、たまにはそうやって呼ぶのも悪くないかもってな?どぉだユキ?」

「か、からかわないで頂戴!」

「アハハッ♪アタシもこれからはユキって呼ぼっかな〜♪?」

「もう……リサまで……!」

 

『アハハハハハハハハハハ……ッ!!』

 

いつぶりだろうな……こうして皆で、笑いあったのは?そう思えるくらい、その景色が眩しくて、儚く思えた。

 

「ふぅ……それじゃあリサ?そろそろ帰ろ?俺達の日常に」

「うん♪……あ!ちょっと待って!」

「……?」

 

日もだいぶ落ちてきたので、俺はそろそろ皆と帰ろうと思った矢先……リサが友希那達の元へいった。そして……

 

 

『おかえりなさい、神楽(大江さん、神楽さん、神楽兄)!!』

 

 

「……ただいま、皆」

 

 

彼女達のお出迎えに、俺は最高の笑顔で答えたのだった……。

 

 

 

〜END〜




改めて、「青薔薇のベーシストはヤンデレなのか?」1周年、お気に入り100突破……ありがとうございます!!ここまで来れたのは読者さんのお陰です!まだまだ続きますが、何卒暖かい目でこれからも見守ってください!
また、今回記念として相棒ことD・MAKERさんとコラボしました!相棒の作品も是非、ご覧ください!

D・MAKERさん→ https://syosetu.org/user/289283/

感想、高評価等お待ちしております!

BADルート完結後のNルートに着いて※特殊設定は無しです尚、メンバーはRoseliaを指します。

  • ヤンデレ具合を抑えた日常編
  • メンバーによる非日常編
  • +メンヘラ化
  • メンバー+メンヘラ化
  • 全部やれ
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