突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが? 作:内藤悠月
クリスタル。いわゆる水晶や結晶の構造を持つ鉱石を指す言葉だ。
透き通ったその見た目から、ファンタジーなどでは特別な力を持つアイテムとして登場することが多い。
例えば強い魔力を持つエネルギー資源であったり、世界の環境を司る神のような存在であったり、ダンジョンの仕掛けを解く鍵だったりする。
特に国産大作RPGでは必ずクリスタルが登場し、その存在が重要視……重要視? されている。
少なくともドット絵だったときは重要な存在だったはず。
それ以降は世界観がSFの方に寄っていった関係上目立った存在ではなくなったような気がする。
今回はそのクリスタルが出てきた話だ。
すでにセーブポイントがあるのに……。
そういえば、兄が宝の地図の読解に成功した。
どうも時間と座標が大事だったらしく、23層の特定地点に移動してその場に10時間ほど地図を放置すると、地図が完全な形に変化したそうだ。
地図の指し示す地点には別のダンジョンが存在していた。
兄は今それの攻略のために準備を行っている。
というかダンジョンの中にダンジョンがあるってどういうことなんだろうか。
無駄に広いからそういうこともある、ということだろうか。
それとも、この階層自体別のどこかからコピーでもするかのように写し取って移植している、ということだろうか。
ノーライフキングのリチャードさんに聞いても、話していることの内容が要領を得ない。
本当に自分の事や自分の立場の事になると話があやふやになる人である。
まあどうせ永遠にわかりはしない問題に頭を悩ませていてもしょうがない。
いつもどおりに終わらせられることから終わらせていこう。
というわけでガチャを回す。
どうせまともなものは出ない。
諦めが大事……諦めが……。
SR・ファンタジーなクリスタル
出現したのは青く透き通った光を放つクリスタルだった。
大きさは2mほどの細長い形をしていて、よく磨かれているのかその表面は艷やかだ。
そしてそれは重力に逆らい宙に浮かび上がっている。
膨大な力を蓄えていると言わんばかりに、内側から柔らかな光が溢れ出し、周囲を青く照らしている。
コレに比べると、横に並んでいるセーブポイントが模造品に見えてくる程に、一目で感じられる存在感が違いすぎる。
……いや、違うな。コレを目指して作られたのがセーブポイントなのか?
まあ、同じ世界観のものかどうかも怪しいし、考えるだけ無駄か。
それにしても出現した位置が微妙に悪い。
ちょっとずらすか。
そう思ってクリスタルに触れた瞬間だ。
脳裏に声が響く。
>ジョブ:戦士が開放されました。
>ジョブ:魔法使いが開放されました。
>ジョブ:盗賊が開放されました。
>ジョブ:僧侶が開放されました。
うんっ!?
あ、そういうクリスタルなのこれ!?
というかその
いやアレだと断定していいものかどうかも疑わしいけどさぁ!
というか開放されたジョブどうやって使うんだよ!
後日。兄は、
まさか、ただでさえ強い
いくらなんでも脳筋がすぎる。
スパルタか。