突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが? 作:内藤悠月
出入り口。建物が外界との出入りを管理するための扉だ。
大きな建物であればあるほど、人の出入りが多ければ多いほど、より大きな出入り口が必要となる。
そのため、扉の形状が特殊な物になることが多い。
多くは二重の扉となっていて、風除室を作っており、それを自動ドアで開閉する。
大きな扉であればあるほど、外気との交換が行われやすいため風除室が必要になるのだ。
今回は出入り口が出てきた話だ。
どこに出るんだって? わからん。
なんだかんだ、結局兄はチャリオットを乗りこなしてしまった。
普通の馬車のような牽引車両だと考えて乗ると振り回されるのなら、もっと違う発想で乗ればいい。
兄がたどり着いたのは、ドローン装備の
牽引するという動作を行っている場合だけ、そのような挙動をする。
つまり適当に空中に放置することや、投げて空中に静止させるような使い方はできないということだ。
まあその飛んでる姿も大概シュールな動きをしているから、もとからチャリオットっぽくないと言えばぽくはないが。
かくして自由に飛行できる手段を手に入れたのだった……。
いや、サメのきぐるみもあるし元から飛べなくはないっちゃないが。
まあいいか。
ガチャでも回しておこう。
こっちはこっちで気が重いんだよなぁ。
R・出入り口
出現したのは、出入り口だった。
そう、ホテルの入口なんかにありそうなデザインのガラス張りの風除室の部分だけが出現したのだ。
いや正確には内側の壁と思しき張り出しもくっついてきてはいる。
どちらにしても、二重の扉だけが出現しているのだ。
出入り口である以上、なにかを外と内で区切っているのだろうが、ここは実験室。
開けた原っぱでしか無く、建物は……いくつかあるが、このような風除室が必要な場所ではない。
というか、出現した位置では全く外と内を区切れていないのだ。
壁となる出入り口が何もない空間に置いてあるだけ、としか言いようがない。
その壁の端も途切れている関係上、本当に何の意味もない。
ということは……中がヤバい可能性が高い。
絶対ろくでもない。
そっと入ってみようと踏み込んでみるが、自動ドアは開かなかった。
……?
あ、こっちは外側なのか。
外側からは入れないようになっているのか。
おそらくは内側にいると判定されているから?
妙な景品だ。
二重ドアだけ出現している時点で奇妙ではあるのだが、しかも今いる場所を内側だと扱われているのはもっと奇妙だ。
だがなんらかの基準で内側だと認識しているのだろう。
だから、内側の扉から入ってみた。
これは外に出るための扉。
外側から入れないのは、内側に“ある”ものを外に出すための扉だから。
内側にあるものを外から入れることは出来ない。
イマイチ理解の深まらない思考を打ち切って、外への扉を開く。
そこに広がっていたのは、宇宙だった。
いや、それは厳密な言葉ではない。
泡のような形をした
あっ、外ってそういう……。
この扉は世界の内外を区切る、そういう扉、なのか?
そんなもん、Rで出されても困る……。
そっと踵を返し、テープで扉を開けないように警告しておくのだった。
後日。テープを無視した兄が、
見える範囲を飛行させていたにも関わらず、どこかへと飛んでいってしまった。
扉を出ない限りは安全っぽいけれど、出ると外のルールに支配されることだけがわかったために、兄は……。
ガチャから宇宙服でも出ないかな、とかのたまいはじめた。
やめろ!
そういうこというとろくでもないものが出てきちゃうだろ!