突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが? 作:内藤悠月
ツインテール。長めの髪を頭の両脇で2つに結んだ髪型のことである。
通常幼い子どもがする髪型であり、そこから創作上に於いてはある種の幼さを表現するために使われたりもする。
ある程度の長さがあれば髪の長さに依存せずにセットすることが出来るのでそこからのアレンジが可能な髪型でもある。
今回はそのツインテールが出た話だ。
兄が発掘ダンジョンの攻略を切り上げた。
25層を超えた先にあったのはなにもない虚空だったのだ。
光すらない完全な闇に閉ざされた、完全に開けた空間。
ダンジョンの攻略を阻む究極の壁とも言える空間そのもの。
人が一度に進める距離には限りがあるために、どのような人間であってもそれ以上進めなくなる。
いかに兄が手段を選ばない人間だからといって、限りなく広い空間に対してやれることは殆どないのだ。
なので、兄はダンジョンによる侵食を進めるために攻略を切り上げたのだ。
ここからはこれまでの層をダンジョンで掌握していく作業である。
最もこれは……時間のかかる作業な上、めちゃくちゃ地味である。
兄がやりきれるかというと……多分無理。
すぐに自動化してしまえる手段を見つけ出してそれに投げ出してしまうだろう。
丁度いい存在である
まあいいか。
ガチャを回して忘れてしまおう。
R・ツインテール
出現したのは、毛の生えたカチューシャだった。
カチューシャの両脇からエクステのようなものが伸びており、房を成している。
もっともその毛は痛みまくっていて、みすぼらしいと言っても良かった。
これは……これはなんだ?
ツインテールと書かれている以上、メイン部分はこのエクステ部分なのだろう。
不自然にピンクピンクしたカチューシャも大概だが、エクステも傷んだピンク色をしている。
というか触ってると気持ち悪くなってくるんだが……。
めちゃくちゃゴワゴワしている。
一体どんな手入れをすればこんなボロボロに出来るんだという気持ちが心の奥底から湧いて出てきて仕方ない。
で、これはどう使うんだ?
いやまあどう見てもカチューシャであるため、頭に嵌めて使うんだろうが、正直使いたくねえ。
さりとて試さないわけにも……ぐぬぬ。
意を決して頭にカチューシャをはめる。
その途端、急に周囲の風を感じるようになった。
なにを感じているのかわからないが、周囲の風の流れを読み取ってあたりにあるものの形まで読み取れる。
え、なにこわ。
そう思って私は……エクステに触れた。
軽く触れただけだと言うのに、私は理解してしまった。
このカチューシャを通して、エクステに感覚が通っている。
虫の触覚や猫のひげのようなものと同じだと考えればだいたいあっているだろう。
どうやってやり取りしているのか不明だが、この髪には触覚が宿っている。
え、こんなボロボロのエクステで?
うわ、気持ち悪。
なんか全身ごわごわした感覚がしてきた。
後日。兄が
もともと優れていた感覚機能が数倍に跳ね上がったらしく、嬉しそうにしていたんだが、そのせいでピンクのツインテールをつけた
だいぶ気持ち悪いぞ!
ゴリマッチョなのにツインテールってなんだよ!
ピンクがあまりにも似合わなさすぎる!