突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが?   作:内藤悠月

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R おしぼり

 おしぼり。タオル地の布に水分を含ませたもので、主に手を拭くのに使用する道具である。

 また紙のような素材で使い捨ての形で利用する場合もある。

 元より衛生のために使用される道具であるため、使い捨てが可能な素材で作成するのは合理的であると言える。

 現代ではおしぼりをレンタルする商売も存在しており、これは飲食店などがおしぼりの利用によって洗濯が間に合わなくなった為に生まれた商売である。

 これもまた多くの人が必要としているが、実際に行うと手間な作業を代行する商売であり、合理的な商売だと言えよう。

 

 今回はそのおしぼりが出てきた話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 兄が錬金術士のアトリエに入り浸るようになった。

 そして兄が真っ先に始めたのは、素材の同定だった。

 錬金術士のアトリエには大量の本があり、その殆どが何らかの道具や薬を作り出すレシピであるが、当然ながらそのレシピの中には共通する素材が利用されている事が多い。

 

 軟膏であれば油が、薬草が、金属であれば鉱石が、爆弾であれば火薬が。

 当然共通するものには共通する名前がつけられているものだ。

 挿絵が存在するレシピなら同じ形状の物を探して投入すればいいが、そうではないレシピのほうが圧倒的多数。

 それらを読解するためには、まず物の名前を知るところから始めたのだ。

 

 兄に実際出来る作業なのだろうか?

 図鑑が見つかれば話は早く進みそうだが、本の山の中から探すのは骨が折れそうである。

 

 私はサメ妖精のシャチくんに手伝うように指示を出して、火の粉がかぶらないようにしておくのだった。

 

 さてガチャを回そう。

 

 R・おしぼり

 

 出現したのはビニールに包まれたおしぼりだった。

 そう、飲食店で席につくともらえるアレだ。

 今回は普通のタオル布のおしぼりが入っているのが一目で分かる。

 

 だた……もうビニール袋がビッチャビチャなのだ。

 内側に結露が大量についていて、水滴が目に取れるほど……というか、端に溜まってしまっている。

 

 これでは開けると水がぶちまけられ、手が濡れてしまうだろう。

 だが開ける。

 開けるしか無いし、まあおしぼりだし絞れば吸わせられるだろうし……。

 

 当然というべきか出てきたおしぼりもビッチャビチャだった。

 流石にこれでは手を拭う事ができない。

 

 そう思って絞ったのだが。

 ぼたぼたぼた、とそのタオル片からは想像できない量の水が溢れ出した。

 まるで吸水素材のタオルを絞ったかのような量の水が、ハンドタオルサイズの布から溢れ出てきているのだ。

 

 ま、まあそういうこともあるだろう。

 たまたま保水力が高かっただけで……。

 

 そう思って絞ったあとのおしぼりを見ると。

 そこにあったのはびっちゃびちゃのおしぼりだった。

 

 うーん、これは……。

 びっちゃびちゃのおしぼりですね……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後日。兄があの絞っても絞っても水が出てくるおしぼりを、体温を冷やす目的で使用していた。

 頭に乗せて熱を吸わせていたのだ。

 おしぼりの温度は常温の水程度、放置していればどんどん気化して熱を奪っていく。

 そしていくら絞ろうが水が尽きる様子はない。

 

 その上、もっと熱を持つ物を冷やし続けられるはずだ……と、熱を持つものを探し始める始末。

 おしぼりを頭に載せたまま何やってんだこの人……。

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