突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが? 作:内藤悠月
ぬいぐるみ。布と綿から作られた人形の一種だ。
布をベースに作られているため、柔らかい曲面を中心とした形となりやすい。
そのため複雑なデザインは丸め込まれ、可愛らしいデザインになりがちだ。
また中身の充填剤や表面の布を変えることで感触を変化させることが簡単に行える。
そのため今はビーズクッションのような素材で作ることでキャラクターのもちもちとした感触を再現しているものも存在するのだ。
今回はぬいぐるみが出てきた話だ。
兄はまだ錬金術士のアトリエで遊んでいる。
すでに作り方がわかっている軟膏を量産するなど、やっていることは奇行のそれなのであるが、それでも錬金術? の経験値を稼いでいっている。
具体的には、新しく丸薬が作れるようになった。
この丸薬は飲み込んだものになんらかの効果をもたらす薬品らしく、最初に作った軟膏を材料にしたときはサメもどきが全身から発火する効果を持っていた。
これは丸薬そのものの効果、というよりは爆発する軟膏を材料にしたためにそのような効果が出たらしく、他の材料から作った丸薬にはサメもどきの腕を増やす効果が出たのだ。
解読が進んでいないから確かなことは言えないがどうにも材料にした薬品の効果を増強して与える効果がある、と兄は言っていた。
え、じゃあその増えた腕はどの薬品の効果で……?
まあいいか。
どうせ自販機から出た謎ポーションが材料だ。
自販機から出てくる謎ポーションの効果を私は把握していないが、兄は全部把握している。
問題を起こさなければいいか……。
さて、ガチャを回そう。
こっちはこっちで問題を起こすからイヤなんだよなぁ。
R・炎のぬいぐるみ
出現したのは、デフォルメされた炎だった。
一見、布と綿で作られたような質感をしているが、その見た目は実際の炎の如く揺らいでいる。
全体が不定形につながって揺らめいているために、見ているだけで不安な感覚に襲われる。
えっと……なんだこれ。
私の前でアニメかなにかの炎の如く揺らめくぬいぐるみ。
これについて、そう言わざるを得ない。
はたしてこれはぬいぐるみか、炎か。
微妙なところである。
だが、どちらかなのか確かめないことにはこれを撤去することも出来ない。
というわけで私は木の棒でつついてみた。
ぬいぐるみのように木の棒がめり込む。
思ったよりも柔らかい素材で出来ている。
……と思っていたら、つついた木の棒から煙が。
だんだん煙が大きくなるにつれて、木に赤く燃えている部分が増えていく。
やっべ。
これ引火するのか。
ただ、木の棒についた火は普通の火だった。
なんだこれ。
ぬいぐるみの火じゃないのかよ。
後日。兄が普通に右手で掴んで持ち歩いていた。
揺らめくぬいぐるみが腕に絡みついて、炎の拳のようになっている。
その燃える見た目に反してそれ自体は特に熱くないようで、可燃物を近づけなければ燃え移ることもないようだ。
だからって自分からそれを掴んで持ち歩くやつがあるか。
というか躊躇しなかったのかこいつ……。