突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが? 作:内藤悠月
シェルター。何らかの災害や危機が迫った際、その中に逃げ込むことでその災害や危機が去るまでその身を守り、安全に生存するための場所のことである。
多くの場合はある程度の生活環境が整えられ、防護壁に囲まれた地下室である。
天変地異や戦争など、長期間に渡って何らかの被害にあう可能性を想定していることから、内部には備蓄食料などを備えているのが当然であり、物によっては内部で数年間過ごすことも可能なほどだ。
今回はそのシェルターが出てきた話だ。
そういえば、魔王の玉座で出現した黒いローブだが。
身につけている状態だと魔法の威力が凄まじいことになった。
影の塊を投げつけるだけのシャドーボールが、ぶつけた場所の周囲を半径1メートルに渡って吹き飛ばす威力になっていたのだ。
もともと野球ボールのほうが威力の有りそうな魔法を破壊的な威力になるまで増幅する黒いローブ。
さすが魔王の一品という印象を受ける。
ということは、これで簡単な防御の魔法を使えばまるで要塞のような防御力が得られる、ということか?
攻防が完璧に揃っていて大変凶悪な魔王であると言えよう。
兄が暴走したときの為にもっと魔法を覚えておくべきか?
いや兄にはあの大量の
まあいいか。
そうなったときに考えよう。
ガチャを回して思考を切り替えよう。
あまり切り替わらないというか、よりろくでもない方向に変わるというか……。
R・シェルター
今回出現したのは、鉄扉だった。
鋼鉄で出来た扉が地面に直接出現したのだ。
地面の面に沿って出現したその扉は、まるで金庫かなにかのように固そうな金属でできている。
ここに扉が出たということは、出現と同時に地下室が出現した?
完全に埋没しているその扉を見て、私は考える。
開けてみればわかることか。
私はその跳ね上げ式の扉のハンドルを引き上げる。
すると内部に油圧式のジャッキでも仕込んであるのか、ゆっくりとその扉が持ち上がっていく。
開ききった先にあったのは階段。
開閉に反応したのか、明かりが順番についていき、奥に部屋があるのが見える。
そして、奥にあった部屋は普通の部屋だった。
そう、普通の部屋。
ワンルームの普通の部屋だ。
手前に台所があり、左手にユニットバスと思しき部屋があり、その先に
そこにはメタルラックで大量の備蓄食料と寝るためのベッド、娯楽としてのテレビ台が置いてある。
シェルターとしてはかなりよく揃った部屋だと言える。
この、壁一面を占拠する窓がなければな!
どこから入ってきているのかさっぱりわからない陽光がこの部屋がシェルターだということを否定しているのだ。
窓自体は完全に嵌め込みで、しかもすりガラスなせいで向こう側が見えない。
何だこの部屋……。
後日。兄がシェルターにあった保存食を開封して食べていた。
この保存食はすごい。
なんたって賞味期限が2405.03.09と書かれている。
2405年。
400年は未来だ。
……、一体いつ作られたものかさっぱりわからない。
案外この普通のワンルームに見えるシェルターも未来で作られたものなのだろうか。
それなら陽光の入ってくる謎の窓にも超技術だとして納得出来なくもないが。
現に陽光を再現する電灯はすでに存在するからな。
なお食べた保存食は美味しいパスタだった。
具材がパスタに練り込まれていることを除けば、調理法も茹でるだけと簡単。
でも得体のしれないものを躊躇なく食べるのやめたほうがいいと思うよ兄よ。