突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが? 作:内藤悠月
眼帯。基本的に目の病や傷を覆い隠し、不衛生にならないようにするための医療具及びそこから派生した装身具である。
外部の光に対して眼球は過敏に反応するため、患部をできるだけ動かさないようにする必要がある怪我の場合視界を塞ぐなどの処理が必要になることがある。
また目に負担をかけないために目を使用しないで済む状態にするなどに使われる。
今回はその眼帯が出てきた話だ。
兄がボールペンから出現するスライムをラジコンにして遊んでいた。
あのあと、4つほど操作可能な文字を見つけ出したのだ。
具体的には数メートル直進させる記号と、数度回転させる記号を見つけ出した。
これがまた既存の文字とは思えない形状をしているのだ。
連なったDに似た文字と、回転する矢印に二本棒を加えたような文字とその関係性がいまいち読めない。
やっぱ異世界の文字なんだろうか。
だとすると探すのは面倒だと言わざるを得ない。
というか兄はあのスライムを操って何をやっているんだ。
ジャイロ操作しか出来ないから操作しづらそうにしているのはわかるが。
そう思っていたら、スライムの通った跡で操作記号を書いていた。
よりによってスライムをリセットする記号をだ。
書き終わると同時に出現する10倍はでかいスライム。
しかもそれが適当にうろつき出すからもう大変なことになった。
壁にぶつかってはその壁をインクまみれにするわ、通った跡はべっとりとインクがついているわ……
なおそのでかいスライムもボールペンをノックするとすぐ消えた。
ええー……。
ええい、忘れよう。
ガチャだガチャ。
こっちを終わらせて、思考を切り替えてしまおう。
R・眼帯
出現したのは、黒い眼帯だった。
あのコミカルに描かれた海賊が身につけているあの紐で縛って片目を覆うアレだ。
見た目古い作りをしていて、きちんと目を覆えるか微妙な構造をしている。
紐が2本しか伸びておらず、それを結んで固定するために、眼帯の下側がカパカパしそうなのだ。
それに表裏があるらしく、表面にはやたら凝った刺繍が入っている。
家紋かなにかだろうか。
ワイバーンに似た生き物があしらわれており、豪華な印象を受ける。
というかその、目の造形が凝りすぎている。
なんだその目、怖。
見ての通り妙な一品だが、おそらく効果も妙な一品な予感がする。
作りが適当なのは基本変だし、作りが凝っているやつも基本変だ。
そして凝っているこれはおそらく変である。
推測としては間違っていないはずだ。
そう思った私は……、眼帯だしとりあえず付けてみるか、と頭にその眼帯を巻きつけた。
その瞬間、眼帯で塞いだはずの左目に、私ではないものの視点からの映像が見えるようになったのだ。
それは眼帯に映像が映し出されているという感じではなく、左目が受け取っている光が違うものになってしまった感じなのだ。
右目と左目で違う視覚からはいる情報に大きな齟齬が発生した結果、私は大きくバランスを崩した。
うっかり椅子から落ちそうになったのだ。
左目はそのバランスを崩したのとは無関係に誰かの視点を……いや、これ兄の視点だ。
ぶちまけたインクの片付けをしている手元が見て取れる。
うええ、酔ってきた。
思ったよりも視覚情報ってバランス感覚に影響与えるんだな……。
後日。兄が眼帯の視覚情報を結びつける方法を見つけ出した。
眼帯についた目の装飾が重要だったらしいのだ。
これをこすりつけた相手の視界を複製して眼帯をつけた目に与えるようで、兄はそれをリンクさせた
というかなんで兄はそれで酔わないの?
わかってたら酔わないとかそういうやつなの?
それとも酔う感覚がないの?