突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが? 作:内藤悠月
シュレッダー。主に機密性の高い文章や住所などが書かれたはがき、情報を残しておきたくない資料を粉々に切断することで破棄を行う道具である。
その性質上、事務作業を行う職場では必須だと言える。
構造は至って単純でハンドルを回すとのこぎりのようなブレードがついた2つのローラーが回転し、紙をずたずたに引き裂くことで情報を復元不可能にしているのだ。
今回はそのシュレッダーが出てきた話だ。
そういえば、どうしても動かせないガチャ景品の艤装があったのを思い出した。
今更思い出したとか言っているのは、私の目の前で兄が持ち出してきて
前に試したときはそれで動かなかったというのに、何をしようというのか。
どうにも、艤装に合わせて調整を施した
そのどれもが元の
それに更に大げさな変換コネクタを接続し、それに艤装を接続している。
それによって、ようやくというべきか。
奇っ怪な音を立てながら艤装が起動し……
起動したら重量が増加したようである。
強引にめり込んだ地面から抜け出し、匍匐前進の要領で移動する艤装付き
もはやなんのための装備か全くわからん。
だが兄はご満悦のようである。
一体何を企んでいるんだ……。
兄の企みは置いておいて、なんかすでに異音を発しているガチャを回す。
今日はなんか早くない?
昨日早く引いたせいか?
R・シュレッダー
出現したのはハンドシュレッダーと呼ばれる、シュレッダーの切断部分だけになったものだった。
折りたたみ式のハンドルと、紙を入れて切断する部分とで構成されている。
青いプラスチックがいかにもな文房具感を放っていて、若干チープだ。
なんなら百均でも売ってそうである。
500円くらいで。
シュレッダーである以上、紙を装填してそれを粉々にする道具のはずである。
というわけでチラシを用意してみた。
近くのスーパーのものであり、様々な格安商品が掲載されている。
そのチラシをシュレッダーにセットして、折りたたみ式のハンドルを起こして回転させる。
その回転に合わせて紙がシュレッダーに飲まれていき、切断されたチラシが……あれ、切断されてない。
だが、チラシの印字は切断され、めちゃくちゃにモザイクになっていた。
そこに載っていた写真は明らかに元とは違う色になり、その配置がバラバラに入れ替えられている。
それもシュレッダーの切り屑の紙幅で、だ。
結果、モザイクパターンの紙に変わってしまっているのだ。
なんだこのシュレッダー……。
確かに情報は抹消できてそうだが。
役割はきちんと果たしてはいるだろうが、なんだこのもやもや感は。
後日。兄がシュレッダーでモザイク柄の布を作っていた。
シュレッダーが内部で刃を回している構造ではなかったのに目をつけた兄は、即柄物の布をシュレッダーに突っ込んだのだ。
結果、きれいなモザイク模様の布が出来上がったからいいものの、めちゃくちゃに再配置される関係上、汚い色合いになる可能性だってあったというのに。
なに? ダメだったらもう一度シュレッダーにかけるつもりだった?
こいつ……。
しかもその布をフリマアプリに出品。
あっさり売れてしまったのだ。
こいつ……。