突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが? 作:内藤悠月
モンスターは進化する。
作品によっても異なるが、多くの場合上位種が存在し、レベルが上がるにつれてより上位のモンスターにへと生まれ変わるのだ。
この考え方はおそらく、RPGの色変更モンスターなどから来ているものだろう。
なによりより強い個体に変化していくのにはロマンがある。
進化の果てにどのような能力を得るのか、などワクワクする要素がつまっているのだ。
今回は
兄が、ブラックホールを作り出した。
訂正。兄が進化の秘薬をよりによってダンジョンに使用した。
その結果、ダンジョンが進化に必要なリソースや情報を得るために周囲にいた
ダンジョンの上部にブラックホールのような黒い球体が生じ、周囲のモンスター達を吸い上げていく。
それだけではなく、周囲にある大量のジャンクをも吸い込み、その機能をも取り込んでいっているようなのだ。
なにかを飲み込むたびにその形を変え、どんどん次の形態にへと変化していくダンジョン。
なんなら発掘ダンジョンの内部に出現していたスケルトンたちも吸い出されて飲み込まれていっている。
発掘ダンジョン自体が影響を受けていないのは、ダンジョンの支配関係故だろうか。
兄も発掘ダンジョンに干渉するには侵食が必要だと言っていたしな。
とくにそういう保護やら支配やらを受けていないギルドや錬金術士のアトリエは早々に飲み込まれた。
本当に根こそぎである。
地平線の向こうから地面を巻き上げているのすら見えるのだから恐ろしい。
それが兄と私には影響がないのがあまりにも不自然である。
実験室の扉を中心とした数メートルの範囲には風すら来ない。
なんらかの保護が働いているような気がする。
いや、まさか
生物ですら無いダンジョンに使えるとは思わなかったし、当然ながらまさかそんな風に使うとは思わなかった。
全てを吸い上げた結果、ダンジョンはそれまでとは異なる巨大な機械じかけにへと変貌した。
巨大な四本の脚部で支えられた城のような建造物に、その前部にフィギュアヘッドのように城とほぼ同等の大きさの
一言で言えば城を背負う亀……だろうか。
頭部の代わりに
ああ、あとそれに巨大で機械仕掛けの翼が生えているのだ。
どう見ても飛べる重量じゃねえだろ、と言いたくなる大きさのくせに、だ。
前にガチャで見たドローンの羽に似た形の円盤がついているから、それで重力制御でもするつもりだろうか。
それに私の横で「
びっくりするほどうざい。
いまだかつてこんな興奮をしていたことがあっただろうか。
それに、だ。
最後の仕上げと言わんばかりに、残ったテラスと扉を地面ごと持ち上げて、城の頂上に据えやがった。
見晴らしこそ良くなったものの、それのせいでだいぶ現実離れした状況に変わってしまった。
私の平穏が終わってしまった。
後日。私の前に、機械じかけの天使のような何かが一体、傅いていた。
なんでも兄が執事代わりに寄越したとかなんとか。
大方、ダンジョンの進化で生産できるようになったモンスターだろう。
つまりこいつらが次の兄被害担当だ。
しかも私に傅いているこいつは胸部にお手伝い妖精のシャチくんを格納している。
つまりこいつはシャチくんのパワードスーツとして改造されているのだ。
誕生と同時に、ただのパワードスーツに改造される
早速被害にあっているとしか言いようがない。
南無。