突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが? 作:内藤悠月
カタパルト。なんらかの物を動力を使って高速で射出する機構を指す言葉である。
中世に於いては、主に岩などを弾力やテコの原理を用いて敵の城を攻撃する兵器であったし、現代では空母から戦闘機を勢いよく射出して発進させるための機構だ。
何らかの物を勢いよく発射させたいという欲求……じゃない、発想は様々な地点で発生する。
例えば宇宙船をより少ないエネルギーで発射させるために極めて長いレールを持ったカタパルトで加速してやる方法が考えられてる。
最もまだ実用段階に至っていないあたり、やはり乱暴な技術なのだろう。
今回はそのカタパルトが出てきた話だ。
兄がニュースの映像とにらめっこしていた。
その映像と現在周囲に見える風景から、現在位置を割り出そうと、そして向かうべき場所を見定めようとしているのだ。
研究用とはいえ、それほど解像度の高くない画像である。
軍事衛星などの国家機密に触れるような性能のものは使えないだろうし、それが表に出てくることもない。
所詮ジャーナリストに見せられる程度の解像度しか無いものだ。
だが兄には
無数に存在し、空を自由に泳ぐ目だ。
鳥よりも速く飛べるために、一日にかなりの距離を移動することが出来る。
そう、偵察用に用意した
それらが今も飛び回り、大陸の地図情報を
兄はそれだけでは足りないと考えているのか、それとも
それで現在出来上がっている地図とニュースの映像とをにらめっこしている。
まあ場所が特定出来たからって、ダンジョンの移動方向が変わるぐらいなのだが。
うーむ。
ガチャでも回そう。
R・カタパルト
出現したのは、半径4メートルほどのトランポリンに似た機械だった。
上部にトランポリンかなにかに似た円形のラバーが張られており、その周囲に円形の機械が組み合わさっている。
そして四方にアンカーとしての機能を持つのだろうか、張り出しが存在する。
形状だけを見るとコマの玩具のスタジアムにも似ている。
そしてその機能は……めちゃくちゃシンプルなように見える。
大きくて丸いボタンが1つだけ存在するのだ。
これを押せば、これはカタパルトとしての機能を発揮する。
見た目から判断するに多分そういう構造だ。
そう思って、私はそのラバーの上に石を転がす。
うまく真ん中に乗らなかったが、まあ良いだろう。
私は、思い切り良く丸いボタンに拳を叩きつけた。
その途端、パン、という音とともに石が射出された。真上に。
あまりの速度で射出されたからか、その石の欠片が霧状になってその軌跡を描いている。
あと、空に見える雲に円形に穴が空いている。
いやー……。
見たまんまだとは思っていたけれど。
まさかこんな勢いで真上に射出するカタパルトだとは。
しかもラバー部分に乗ったものを何の動作もなく真上に飛ばしてしまうのは超技術であると言えよう。
一体どんな力で吹き飛ばしているのやら。
……でも真上にしか射出できないカタパルトってあんまり意味なくない?
ロケットだってある程度傾いた角度で飛んでいくのに……。
後日。兄がカタパルトを使って
カタパルトを見せて、その機能を説明した途端にこれだ。
流れるように
もっと高いところを飛ぶ
確かにより高いところからならより遠くまで見通せるのはごくごく当たり前のことだが。
だからってこんな、どこまで飛んでいくかわからないカタパルトを使わなくても。
それとも使い捨ての利く機械だと思ってる兄が正しいのか?
あんまり考えても答えがでなさそうである。