突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが? 作:内藤悠月
遭難。山に登ったり、飛行機事故にあったり、海難事故にあったりした際に発生する人のいない場所にたどり着いてしまって帰ることが出来ない状態のことだ。
そうなってしまった場合、助けが来るまで自力で生き残らなければならない。
その場合、物を言うのは知識だ。
どのような水が安全なのか、何が食べられるのか、どこで眠れば良いのか、どのようにして拠点を維持するのか。
様々な知識が要求され、1つ欠けるごとに救出までの生存確率が下がっていく。
知は力なり。
極限状況であればあるこそ、知識は力を持つと言えよう。
今回は遭難したときのことを想定した景品が出てきた話だ。
案の定というべきか、やっぱりというべきか。
兄が我慢できなくなって
ガチャガチャダンジョンの内部は異様としか言いようがなかった。
なんというか、とにかく単調なのだ。
すべての地形がマス状に区切られているが如く、一定の大きさのフロアで構成されている。
壁は全く同じ形状のものが並んでいるし、分岐路はどこも全く同じ形状で見ていて区別がつかない。
流石に分岐ごとに分かれている廊下の数も違うし、出てくる部屋の大きさも異なるのだが……。
機神の能力の一部としてマッピングが出来なければわずか数分で迷子になっていただろう。
それに出てくるモンスターもだいぶレパートリーが狂っている。
前にも見たコモンサメリンはダンジョンのどこでも見ることが出来、たまにアンコモンサメリンが混ざっている。
それに☆☆キャタピラーとか、N鹿とか……。
出てくるモンスターの種類が種類なだけに、なんというかダンジョン感がない。
見ているだけでいつものあのガチャに翻弄されるあの気持ちが沸き立ってくるのだ。
まあ大陸はガチャ産だし、ダンジョンはガチャガチャだからそりゃガチャのように翻弄してくるだろう。
うんざりである。
そして今日の分のガチャをまだ回していないことに気がついた。
あのガチャは朝起きたときに回す、とか特定の習慣に紐付けると必ず周期がズレて音を立ててその習慣の邪魔をしてくるのでタイミングを決めるのが難しいのだ。
R・無人島防災カバン
無人島。
防災。
カバン。
出現したのは防災カバンだった。
鮮やかなオレンジ色のリュックで、中に色々入っていることが外からも見て取れる。
リュックサックとしてみても生地が相当に分厚く作られているように見える。
とりあえずカバンを開けてみるとだ。
中にはいろいろはいっている。
ナイフにロープ、ろうそく、マッチ、あと奥に入っているのは毛布だろうか。
それと得体のしれないスプレー缶となにかタブレット菓子に似たもの、缶の救急箱のようなもの。
潰してしまえる水筒にコンパスにホイッスル。
そして……この本。
無人島遭難サバイバルガイドだ。
もうタイトルで無人島に遭難した時にどうやってサバイバルするのかが書かれていることがわかる。
とりあえずページをめくってみると、防災カバンの中に入っているものの説明が乗っている。
カバンの奥に入っていた毛布だと思ったものはテントと寝袋だった。
なんでもリユーズ社製のかなりコンパクトに畳めるものだそうだ。
……うん?
で、タブレット菓子に似たものは浄水タブレット。
水に投入すると根こそぎ地形を改善して飲める水にする……とか。
……うん?
救急箱には銀色のペースト状のものが入っていて、これを患部に塗るとナノマシンで治療出来るとかなんとか。
飲むと病気を治療できるとかなんとか。
……うん?
で、極めつけはこのスプレー缶だ。
ガイドブックに描かれている図形を地面にこのスプレー缶で描くと、魔法が使える、以上。
……。
超技術じゃねーか!
超技術で作られたサバイバルグッズを適当に詰め合わせたカバンじゃねーか!
というか最後、魔法って世界観違うじゃねーか!
で、これさぁ。
無人島で遭難したとき用の道具ってお前。
こんなでけえカバン、無人島に遭難したとき持ってるわけねーだろ!
誰向けの商品だよ!
後日。兄が中身を色々ひっくり返して試していた。
テントは地面に投げつけるだけで勝手にポップアップしたし、薬は切断した腕をくっつけるとかいう超性能を発揮したし、浄水タブレットは地面に落とすと飲める水が溜まった池を作り出した。
確認しなかった中にあった乾パンの缶なんかひどく、土を入れると乾パンになる。
なお味は土を焼いて作ったパンのようである。
まじで非常食なのな。
兄的に今回収穫だったのはスプレー缶、というかそれをつかって描く魔法陣の方である。
これは兄がずっと調べていた魔法陣と共通規格のようなのだ。
これにより兄の魔法技術が成長してしまう。
筆記による魔法と音声による魔法とで、なにか企んでいるような気がする。
解析元さえ見つかれば、機神の頭脳を使えばだいたいのものを作ってしまえるために……ろくでもないことをしでかす気がする。
全く別系統の魔法同士の融合で済めば良さそう、と思ってしまうあたり相当兄に毒されている実感がある。
どーにかろくでもないことになりませんように!