突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが?   作:内藤悠月

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SR 魔法拳銃

 魔法拳銃。ファンタジーの作品でたまに登場する、魔法技術によって作られた拳銃のことだ。

 その構造や仕組みははやり作品によって異なり、魔力をそのまま弾丸として射出するもの、専用に作られた魔法を発射するもの、弾丸に封入された魔法を発射するもの、銃の動作が魔法発動のために必要な動作であるもの、魔法によって装填された弾丸を射出するものなど様々だ。

 だがその中で共通する要素があるとすれば、それが魔法的な技術で動いているということだ。

 

 今回はその魔法銃が出てきた話だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 やはりというか、なんというべきか。

 案の定、兄はガチャレクシアで作成した魔導書の販売を始めた。

 予め宗教などを調べて異端と告発されないかなどまで確認した上での行動ではある。

 あるが、危険な行動には変わりないだろう。

 

 なので、領主の娘であるエリスさんを抱き込んでの行動だ。

 ダンジョン探索で潤っているガチャレクシアにとって新しい風となりうる魔導書は歓迎され……いや一悶着あったが歓迎された。

 

 一悶着というのは、とにかくこの魔導書、説明しづらいのだ。

 起動の鍵である力ある言葉は正確に発音出来なければならないために、これの教導をどうするかの問題が発生した。

 販売するには多くの人に説明できなければならない。

 

 どうするか、と兄が思案している……フリをしている。

 ろくでもないことを思いついているが、私にどう説明するか考えているときの顔だ。

 どうせ止めてもやるんだからやらせるに限る。

 

 その方法というのは、サメ機巧天使(シャークマシンエンジェル)による説明。

 結局数による力押しじゃねーか。

 

 機神とのリンクによって人を超えた知能を持つサメ機巧天使(シャークマシンエンジェル)の解説。

 それによってエリスさんの子飼いの冒険者たちに魔導書を持たせることに成功した。

 というか説明が上手すぎてほとんど洗脳みたいであった。

 

 これで兄製の魔導書がガチャレクシアで販売されるようになった。

 昨日今日出来上がったばかりの魔導書とは思えない速度である。

 

 事故とか起こらなければいいが。

 まあこれで定期収入も入るだろうし……。

 

 さて、ガチャを回してしまおう。

 

 SR・魔法拳銃

 

 出現したのは拳銃だった。

 六連装のリボルバーのように見える、小さめの拳銃である。

 そして、それは玩具のようにあちこちに装飾が施されている。

 私の知る拳銃といった感じの造型ではない。

 

 青い金属で作られたフレームに対して、赤い金属を削り出して作られたと思しき銃身がねじ込まれ、さらにはそれには極めて細かい線で魔法陣のようなものが彫り込まれている。

 星型のアイアンサイトは覗き込むと着弾位置と思しき位置に赤い点が浮かび上がって見える。

 

 なにより、シリンダーだ。

 ここには銃弾の代わりに、6色の宝石が詰め込まれているのだ。

 それぞれがなにかの役割を担っているように、それぞれが異なる色の光を反射している。

 

 魔法……拳銃。

 私はシャチくんに命じて、拳銃を構えさせる。

 ハンマーを起こすと本来リボルバーならそのシリンダーを回転させるのだが、この拳銃はそんな動作をしなかった。

 

 そして、引き金を引かせる。

 ターゲットとなった木材が凍てつき、砕け散った。

 反動はなく、そして弾が落ちて着弾地点がブレることなく。

 

 うーん。

 シャチくんに近寄って、そのシリンダーを開けさせる。

 そこに嵌っていたのは青い宝石だった。

 

 そこで私は緑色の宝石にシリンダーを回転させて銃身に合わせた。

 同じように木材をターゲットにしてもう一度撃たせる。

 今度は木材が真っ二つになった。

 

 ああ。

 やはりこの銃は魔法を発射する銃、のようである。

 仕組みは……この宝石に入っている魔法を使うのだろう。

 だからシリンダーは実質魔法の選択機能として使われているようだ。

 

 ……。

 え、こんなの魔導書作って売った日に出る?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後日。兄は宝石に別の魔法を充填する方法を見つけ出した。

 ……なおその宝石は拳銃に嵌っているものを指す言葉ではない。

 単純に、宝石に魔法を込める方法を見つけ出したのだ。

 

 拳銃にびっしりと書き込まれていた魔法陣を機神に読解させた兄はその魔法陣の中に宝石に魔法を込める式が入っていることに気がついたのだ。

 しかもその魔法は条件に従って自動実行が可能。

 拳銃は実行された魔法を弾の形に圧縮して発射するための構造だったのだ。

 

 さて、その仕掛けを見つけた兄はというと。

 早速魔導書の改造に取り掛かった。

 より簡便に扱えるように動作を補助する魔法を組み込むために。

 

 機神をこき使い過ぎではこの兄……。


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