突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが? 作:内藤悠月
毎日のようにこの得体のしれないガチャを回していると、調べたはいいが用途がわからないモノがいくつか出てくる。
見るからに普通の物ならばその用途に沿って使えばいい。
しかしガチャから排出されるこれらはその用途にすら使えない物品であることが多いのだ。
例えば、書いた字を消すと、黒鉛を並べ替えて市松模様を作る消しゴム。
ものすごい勢いでノートが汚れるのでそのままゴミ箱に入れておいた。
他にはこのペンダント。身につけていると事あるごとにテーマソングを流してくる。
しかもどこかで聞いた版権ソングだ。恥ずかしいったりゃありゃしない。
今回はそのガラクタの中からいくつか、まだわかるような気がしてくる物を紹介しようと思う。
R・未だ抜かれぬ選定の剣
これは現在、実験室の扉を入ってすぐの場所に居座っている1mほどの岩だ。
その特徴としては、岩の上に見るからに豪華な長剣が突き刺さっていることだ。
これを開けたときはテラスでだった。
カプセルに重量感がある時は下手すると動かせないものが出現する可能性があるということを理解した案件だった。
……というか名前だ。引き抜こうとしてもびくともしない剣が刺さっているのだ。
もうなにを言いたいかわかろうってものだ。
このガチャはそういう、創作まで理解しているのか?
というかお前、Rなのかよ。なんでだよ。
本当に面倒な筐体である。
剣の切れ味が異常なほど良いため、現在は木材の製材に使われている。
……そのために岩にはステップとなる階段が彫り込まれている。
岩は中心に向かって硬度が高まっているらしく兄が加工に四苦八苦していた。
なお兄はこの剣に対し金属切断用のグラインダーで切断を試みる予定だそうだ。
取り外せたらもっと便利に使えるから、だと。
R・ヒヒイロカネ
お前Rなのかよ第二弾。出現したのは光沢感の強い赤色のインゴットだ。
見るからに金属塊であり、一学生の身分では手も足も出なかった。
いや、これ自体はどうでもいいのだ。
これのせいで実験室内で冶金がはじまってしまったことが問題なのだ。
加工には熱と電気が必要らしく、電気を流しながら鉄の棒で突くと餅のように加工が可能になるという。
電気が流れていない場合熱を加えても形は変わらない。
なんでそんなプロセスを経るのか、もよくわからないが、もっとよくわからないのは銅と合金すると増えることだ。
銅の板を混ぜながらヒヒイロカネを柔らかくすると、目算で2倍ぐらいに増える。
そのおかげで、実験室内でヒヒイロカネのインゴットが絶賛増殖中だ。
作ったら作りっぱなしで何に使うわけでもないのに大量に作るあたり、兄はどうかしている。
N・拳銃
困る。本当に困る。法に触れてしまう。
これが出現した時、どうしようかと本当に悩んだ。
確かに、現代日本で調達可能なものではあるが、それは非合法な手段での話だ。
一学生に過ぎない私が手に入れて良いものではない。
幸い、弾はセットではなかったため、実験室の端に深く穴を掘って埋めることで見なかったことに出来た。よかったよかった。