突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが?   作:内藤悠月

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R 墓石(遺伝子組み換えでない)

 墓石。墓の位置を示すために立てられる石作りのことである。

 亡くなった人を弔うために立てられるものであり、残された人が故人を想うために立てられるものでもある。

 人の遺体を埋めた場所を示すためのものであるためか、そのイメージは基本的に暗い。

 創作においてはゾンビが下から出てきたり、なにかと荒らされたり……。

 まあ他人の墓などそんなものである。

 

 今回はその墓石が出てきた話だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ログインボーナス……そう、ログインボーナスである。

 ログインボーナスというのは様々な企画で色んなものを配るのが恒例となっているのだが、このログインボーナスと名乗るトランクケースもそれに漏れず、よくわからない企画を提示してきている。

 

 その企画とは「サービス開始直前キャンペーン」だ。

 何を言っているのかわからない。

 ログインボーナスはソーシャルゲームのサービスが動いているときに配られるボーナスであり、動いていない時に配られるのでは意味がわからなくなる。

 

 でもこのログインボーナスは、まだサービス開始していない、と自己主張しているのだ。

 一体何が始まろうとしているのか。

 

 それに、配られるアイテムもアイテムだ。

 レベルアップクリスタル、というなにかを育成する用の緑色の結晶が1回で10個も出現した。

 これがこぶし大の大きさなので微妙に場所を取る。

 召喚石は手のひらに乗るサイズだったことを考えるとめちゃくちゃでかい。

 

 そしてそのクリスタルを見た兄は……、片手に持ちそれを握りつぶした。

 リンゴよりもあっさりと砕け散ったクリスタルは、はじめから存在しないかのように光の粒にへと変換された。

 そして、兄の体を中心に緑色の光のエフェクトが一瞬生じた。

 それと同時に聞こえる、レベルアップ音。

 

 うーん、マジかぁ。

 兄のレベルがまた上がってしまった。

 しかもこの結晶、これから1ヶ月毎日配られるってマジ?

 週毎で5万円もついてくるあたり、ログインボーナスを取らせ続ける気満々である。

 

 考えたくねえ……。

 

 はー、やめやめ。

 今日の分のガチャを片付けてしまおう。

 

 R・墓石(遺伝子組み換えでない)

 

 遺伝子組み換えでない。

 いきなり何を言っているんだ。

 墓石に遺伝子もなにも無いだろう。

 

 そう思わず言ってしまう。

 だって出現したのは、かなりしっかりとした墓石なのだ。

 石材を一から削り出したであろう、一体造型である。

 碑文が刻まれた本体に、石の棺桶が接続された見たことのない作りではあるが、それでも遺伝子だのなんだのいう余地はない。

 石なのだから。

 

 それに石棺の中にはなにも入っていない。

 はじめから蓋が開いていて、蓋が横に避けられていたのだ。

 だから、中身が遺伝子組み換えされていないとかそういう話でもない。

 

 で……これはどうやって使うのだろうか。

 遺伝子組み換えでない、とはどういう意味だろうか。

 わからん……何もわからん……。

 

 とりあえず石棺の中に、そのへんに生えていた花を入れてみた。

 突如、ゴゴゴゴと音を立てながら石棺の蓋が閉まり始めたのだ。

 思わず腕を引っ込めてしまった。

 

 完全に蓋が閉まってから数分。

 その間、墓石は何やら周囲から紫のオーラのようなものを集めて吸い上げていた。

 一体どこからそんなものを吸い出しているのか。

 というかその吸っているのはなんなのか。

 なんとなく、それがあるのは良くないものだと直感で感じる。

 

 そして、紫のオーラのようなものを吸い上げきった後。

 石棺の蓋が閉まったときと同じようにひとりでに開いていく。

 ゴン、と重いものを落とす音とともに蓋は完全に開ききり、脇にへと落ちた。

 

 中に入っていたのは、植物の塊だった。

 いやより厳密には植物の茎が無数に絡まりあった結果、人骨のような形を形成しているのだ。 

 それのあちこちに花が咲いており、ファンシーな見た目に反してかなり不気味である。

 

 その塊は、起き上がりこちらを見ると、私に向かって傅いた。

 まるで生きているように動き出したのだ。

 それは屍を模したものだというのに、植物の塊でしか無いはずなのに。

 

 そこで、はたと気づく。

 あっ、遺伝子組み換えでないってこいつのこと!?

 いやモンスターの遺伝子とか気にしねえよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後日。あの植物スケルトンは私の命令を聞く事がわかったので、どんなものかと試しに動かしてみた……のだが。

 なんと階段を降りる動作の途中で転んで地面に頭から激突。

 その直後光の粒子となって、ドロップアイテムの小さな花となってしまった。

 

 あまりの弱さに横で見ていた兄は大笑い。

 しかもそこからヒヒイロカネ肉まんを石棺に詰めようとする。

 

 やめろ、肉まん臭くなるだろ!

 しかも大量に用意して詰めれば多分強くなるとか言い出す。

 有り得そうではあるが。

 

 だからってなんで肉まんなんだよ!

 肉まんスケルトンとかネタにもならねえだろうが!

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