突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが?   作:内藤悠月

172 / 392
R 組み立て式ペットボトルロケット

 ペットボトルロケット。ガス圧によってペットボトルで作られたロケットを空高く飛ばすおもちゃである。

 非常に簡単に作れる割に勢いよく飛んでいくため、日本各地で競技としてペットボトルロケットの打ち上げも行われている。

 その構造は炭酸のペットボトルに安定のための羽をつけ、圧力に耐える弁とそれに空気を送り込むポンプで構成されていて、弁を開放することで推進剤として入れられた水を放出して空を飛ぶ。

 圧力に耐えられる弁の作成がやや難しいが、今は市販している部品があるので誰でも簡単にペットボトルロケットを作成できる。

 

 今回はそのペットボトルロケットが出てきた話だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 魔導書が案の定厄介事を運んできた。

 小さな屋台を利用した露天商形式で売っていたのだが、そこに因縁をつけてくるチンピラ……というか、多分よその商人の子飼いと思われる男たちがわらわらと集まってきたのだ。

 

 しかも武力をちらつかせて魔導書をどこから仕入れているのかだの、みかじめ料をせびってくるだの、しまいには適当なルールを持ち出して強引に差し押さえしようとしてきたのだ。

 

 なにか、評判の悪い商人がいるということは聞いていたが、まさかここまでするとは。

 大方、暴力で他の商人を押さえつけてアコギな真似をしているのだろうが……。

 その商人の取り巻きは相当な阿呆のようである。

 

 なぜなら。

 彼らの目の前にいる店員は……超絶技巧者であるチャンピオンに、身体能力だけで競り合ったサメ機巧天使(シャークマシンエンジェル)だ。

 大規模な興行だったというのにその情報を知らずに殴り込みにくるのだから阿呆だと言わざるを得ない。

 

 結果はというと、ちぎっては投げ、ちぎっては投げ……、まああっという間にチンピラどもは制圧された。

 さーて、このあとの始末、どうしようか。

 

 まあ兄がなんかいい感じにするだろうから放っておこう。

 私は今日の分のガチャを回してしまうことにする。

 

 R・組み立て式ペットボトルロケット

 

 出現したのはまるででかいプラモかラジコンの箱のようなものだった。

 いわゆる外装が厚紙で出来ているあれである。

 

 中身は……ペットボトル……に似たプラスチック製の製品。

 概ね一リットルペットボトルに似ているが、切れ込みやねじこみなどの造型が表面に造形されている。

 そして、それに組み合わせるであろうプラスチックの翼が3つ。

 先端のコーンとなるプラパーツ。

 あと弁とポンプと発射台だ。

 

 これは……ペットボトルロケットだな。

 いや紙に書いてあったからペットボトルロケットなのははじめから分かっていたが、たまに名前と違うものが入っていることがあるから確認は大事だ。

 

 しかししっかりした箱に入っていることから、これが製品だということがわかるが、たかだかペットボトルロケットを製品にする必要があったのかは微妙なところだ。

 弁が厄介なだけで、羽も先端のコーンも厚紙で作れるし、ポンプは自転車の空気入れでいい。

 ペットボトルはもうジュースを飲んだ空き容器でいいわけだ。

 これは一式揃えて入れてあるあたりまあ、専用に設計はされているのだろう。

 

 とりあえず組み立ててみるか。

 

 ついているペットボトルには飲み口が上下に存在する。

 ここに先端のコーンをねじ込み、下部と思われる部分には羽をねじ込む用の凹みが存在するので羽をねじ込む。

 ついで、弁を飲み口にねじ込んで……なんかねじ込んでばっかりだな。

 あとは弁を発射台に接続して、発射台にポンプを繋いで完成だ。

 

 造型はともかく、ペットボトルロケットを打ち上げるにしてはしっかりしすぎた作りである。

 発射台も重量があり、ペットボトルロケットの発射に振り回されてまっすぐ飛ばない、ということはなかろう。

 で……なんでこのペットボトルロケットは垂直に上をむいているのか。

 中に入れた水の量もこころなしか減っているような気がする。

 

 もう嫌な予感しかしないが、空気を入れていく。

 ある程度入れると空気が漏れ出してこれ以上入らないということを主張しだすのだが、そこまで行くのに数十回もポンプを上下させている時点で相当に変である。

 

 さて、発射させてみるか。

 私はペットボトルロケットの弁を解放した。

 

 その途端、勢いよく私に水を浴びせかけてペットボトルロケットは空に向かって飛んでいった。

 空の彼方、遥か向こうに。

 

 かなり速い速度で飛んでいったため目で追うのが大変だった。

 空の小さな点になるまで数十秒とかからなかった。

 

 どこまで飛んでいくねーん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後日。朝食を食べていた時にニュースで新惑星のことが報道されていた。

 新惑星に存在する超巨大構造体からミサイルのようなものが打ち上げられたとのニュースだ。

 それは成層圏まで飛んで、そこで推進剤が無くなったのか落ちていった、と。

 衛星で監視していることに対しての警告だと考えられる、と偉そうな学者先生がしたり顔で語っていた。

 

 その時飲んでいた味噌汁を吹き出しそうになった。

 あのペットボトルロケット、宇宙まで飛んでいったのかよ。

 

 ただペットボトルロケット飛ばしただけでーす!

 兄が発射台使ってもう一本飛ばしてそっちもすごい勢いで空高く飛んでいったけどただペットボトルロケット飛ばしただけでーす!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。