突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが?   作:内藤悠月

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R 失せ物タンブラー

 タンブラーグラス。飲み物などを入れるために使われるガラス製の食器のことである。

 一般的にシリンダーの形状をしている。

 これはもともと獣の角を加工して作られた器を指す言葉から来ているためである。

 またシリンダー型から想像できるようにその容量にはかなり幅がある。

 

 今回はそのタンブラーグラスが出てきた話だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 兄の立てる露天の屋台も商品が充実してきた。

 数冊の魔導書に回復魔法の魔法陣の描かれたお札がたくさん、魔法が仕込んである帽子、そしてブロック状の食べ物。

 

 ……ブロック状の食べ物。

 いつの間にか私の知らないものが商品に加えられている。

 堅焼きのブロックビスケットのようなもののように見える。

 

 そのことについて、私は兄を問い詰めたのだが。

 なんでも、馴染みの客を作る目的で用意した物だそうなのだ。

 前回のチンピラ襲撃事件の反撃のためにももうすこし冒険者に味方を作っておきたかったとのこと。

 

 領主の娘のエリスさんにも相談した結果だという。

 味方は多ければ多い方がいいのはまあわからなくもないが。

 実力のある冒険者を味方につけられればそれだけガチャレクシアでの地盤が固まる。

 

 で……肝心のこのブロック状の食べ物だが。

 どうも錬金術士のアトリエで作られた食べ物だ。

 噛みごたえのあるビスケットのような食感にかなりの旨味が練り込まれている。

 常食するには微妙な味だが、保存食としてはだいぶ美味い。

 機神に出力してもらったデータを見るに、栄養価も考えられているらしい。

 そして、完全無菌状態なのでかなり日持ちもする、そうだ。

 

 これが錬金術的に合成された食べ物で、元になったのがダンジョン産の鉱石だということを除けば……。

 時々あの錬金釜は得体の知れない変換を行うので油断も隙もない。

 

 うーん、保存食のことを考えるのはやめよう。

 ガチャだガチャ。

 

 R・失せ物タンブラー

 

 出現したのはガラス製のタンブラーグラスだった。

 厚めの透明なガラスでできていて一回り小さいところをみると、プリンの容器のようにも見える。

 そして底が分厚くなっているだけで全く飾り気がない。

 

 で……今回はコップか。

 前回出た水筒を思い出す。

 あれは入れた液体をゼリー状に固めてしまうものだったが……。

 

 どうせこれも似たようなものだろう。

 注いだ液体をなにかに変えるなり味を変えるなり……。

 だからそう思って水を注いでみた。

 

 注げば注ぐほど、入れた端から消えていく水。

 

 こ、今回はコップとしての役割すら果たさないのか……。

 名前にある失せ物とはこのことなのか。

 

 まあおもちゃにしかならないなこのタンブラー。

 池に沈めれば池を干上がらせることぐらいは出来るだろうが、する意味もないわけだし……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後日。兄が井戸から汲み上げた水をタンブラーにひたすら注ぎ続けた結果。

 タンブラーの中に100円玉が出現したのだ。

 

 失せ物タンブラーがなぜ100円玉をとも思ったが。

 同じようにバカみたいに水を注ぎ続けた結果、次に財布が出てきた。

 

 その財布は、兄が随分昔に落として無くした財布だった。

 小学生の時の話である。

 

 えっ、これはつまり水となくしたものを交換するタンブラーグラス……?

 いや、それはこう。

 タンブラーでやるには不便すぎるだろ!

 

 もっとでかい入れ物でやれ!

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