突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが? 作:内藤悠月
ゲームにおいて、神話はフリー素材である。
登場するモンスターに神話に登場する化け物や神の名を冠するのはごくごく当たり前に行われていることである。
神話はそれだけで様々な能力を持った人、神、モンスター、武具にあふれているため、それらから名前を借りてくることもよくある。
特に有名なRPGでは、名前だけ借りてきて神話に由来する能力を全くもっていないとかいう状態だったりする。
例えばリヴァイアサンとか。
今回はそのゲームの要素だと思われる何かが出てきた話だ。
突然出現した化け物を討伐しても麻薬騒動は収まらない。
案の定というかなんというべきか、あの黒ずくめの教団連中は地下に潜って姿を現さなくなったのだ。
どこの路地を覗いても、怪しい建物を探しても見当たらない。
黒ずくめの衣装、というのがすでに視線誘導の意味合いがあったのかも知れない。
探すにしてもあの格好を目印にしてしまう。
あんな怪しい格好でうろつく人間なんていないというのに。
あ、化け物が出現した倉庫の持ち主だが、あの屋台にチンピラをけしかけてきた評判の悪い商会のものだった。
あそこは廃倉庫で使っていなかったのを勝手に利用されただけだと証言しているが……。
兄は早速
戦闘に特化しているため調査能力は数だよりな
そっちは兄に任せて、だ。
私はガチャを回してしまうことにする。
R・パンドラと不思議な部屋
出現したのは小屋だった。
ギリシャの石造りのような造型の小屋で、パルテノン神殿を小さくしたみたいな形をしている。
最も、その外装は色とりどりに塗装されているのだが……。
で、小屋。
紙を見るに内部は部屋になっているのだろうが、この胡散臭い名前に警戒心が湧く。
まるで同人のゲームに出てきそうな名前だ。
ちょっと凝った作りのゲームシステムが実装されていそうである。
微妙にパロディが入っているように見えるのも同人ゲームのように見える理由の1つだ。
こういうのってだいたい独りよがりな要素になっていて分かりづらいんだよな。
あるいは無視して進めても問題なかったり。
私はそっと中を覗き込む。
そこにあったのは……なにかを改造するような機械じかけのアームが複数本。
そして人を乗せるための台だ。
台の脇に操作パネルと思しき装置も置いてある。
あー……そういう。
パンドラという名前と、ギリシャ風のデザインは偽装か、あるいは素材がなかったんだな。
そう思って見てみると、内装がなんというか……
とても小さくて四角い箱の集まりでできているように見える。
……いややっぱこれどう見ても人体改造系じゃん。
台に乗った人間を改造して能力を付与していくタイプのやつじゃん!
こえーよ!
後日。兄が
いわゆるスキルツリーを操作するタイプのゲームシステムのものだったようで、そこには
そしてスキルの代価として表示されていたのは。
寿命だった。
ゲームを類推するしかないが、寿命をリソースとして消費し、死ぬ前に目的を達成するようなRPGだったのだろうか。
明らかに凝りすぎている。
とりあえず兄が何も考えずに特盛にした
全身から緑色の体液を垂れ流しながら、ガクガクと震えている。
えー。
これ駄目なんじゃないの……。
ゲームのものを景品として現実に引きずり出した結果、バグったみたいな。
こわ……。