突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが?   作:内藤悠月

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SR UFO

 UFO。未確認飛行物体の略称で、文字通りその正体が判明していない飛行物のことだ。

 基本的に宇宙人の乗り物とされ、その独特のフォルムからなんらかの超技術によって空を飛んでいると考えられている。

 反重力とか、そういうのである。

 またUFOにもいくつか定番の形が存在していて、円盤型、葉巻型など、どことなく円に近いなめらかな形状だ。

 まあそれらの定番のイメージはほとんど捏造写真が元になっているのだが。

 

 今回はそのUFOが出てきた話だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 兄が黒ずくめの教団がどこに行ったのかの痕跡を発見した。

 第5層にテレポートの魔法陣が描かれていたであろう跡を見つけたのだ。

 ご丁寧に食器棚でその扉を隠し、使用後に魔法陣が風化するように細工を加えてある。

 他のテレポートの魔法陣にそんな細工が施されていないあたり、これはこのダンジョンを放棄するために利用されたと見て間違いない。

 

 だとすれば行き先だが……。

 これが全くわからない。

 風化しているせいで魔法陣の構成を読むことができず、実行して試すこともできないからだ。

 しかもダンジョンのバックアップを前提としているのならば、それを外部から直すというのも不可能である。

 

 だからというか。

 兄が選んだ手段は、ダンジョンの侵食だった。

 機神から慌ただしく侵食用の杭をサメ機巧天使(シャークマシンエンジェル)が運んでいく……。

 仮にも天使の造型だからか神秘的な光景になっている。

 

 5層なら二、三日で終わるだろうな。

 ほっといてガチャでも回そう。

 

 SR・UFO

 

 出現したのはUFOだった。

 1メートルほどの銀色の円盤で、円盤の内側に一人乗りの座席がついている。

 屋根に当たるものはついていないため、操縦席がむき出しでこれは乗って安全な乗り物なのかと疑念を抱く。

 

 屋根があればアダムスキー型のUFOに似ているだろう、と感じる。

 突起部分がスパッと切り取られたような形状である。

 椅子の背もたれだけがその断面から顔を出している。

 

 とりあえず試してみるか、と操縦席を覗き込んで見る。

 そこにあったのは、ベルト付きの椅子、ハンドルらしき二本の棒、差し込まれたままの鍵、あとペダル

 たったそれだけだ。

 

 うん!?

 こんな、こんな簡素な操縦系でUFOを飛ばせると思っているのか。

 車だってそれ用に最適化された操作系である挙動の切り替えのためのレバーと方向の変更のためのハンドルで構成されているのだ。

 こんな、大昔のロボットアニメの操縦桿みたいなハンドルでUFOを飛ばせるか!

 

 飛ぶ乗り物に乗って実験するのは危険なので、もともと空を飛べるサメ妖精のシャチくんに操縦のテストを頼んだ。

 なんの操作を基準にしたのか不明だが浮かび上がるUFO。

 そして、突如物理法則を無視したジグザク飛行をし始める。

 加速、急停止。

 その操縦系からは想像できないほどキレのある動き。

 

 なんなんだよもう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後日。あのあと私も乗ってみたのだが、その操縦系に反して……というか、レバーに触れることなく操作できてしまった。

 操作できてしまったために、逆になんてあるのかわからなくなった操縦レバー。

 操作性自体は非常に良好なのだが……。

 

 UFOで空を飛ぶことは気持ちよかった。

 慣性から完全に解き放たれたUFOは新幹線よりも静かに加速するが、最高速まで一瞬で到達する矛盾じみた動きをする。

 まあそのたびに風圧に晒されるが、それもまた心地いいと言っていいだろう。

 

 が、兄は操縦レバーを見て、すぐさまそれを引き抜いたのだ。

 USBメモリでも引き抜くかのようにあっさりと抜けたレバーを握りしめた兄は。

 UFOに乗らずにそれを操作し始めた。

 

 人も乗せずに飛び回るUFO。

 人というそれを既知に仕立てる要素が失われた結果、怪円盤が飛んでいるようにしか見えなくなる。

 というかなまじ操縦席のようなものが見えているだけに異常な動作をしているように見えるのだ。

 

 あのー、お兄様?

 乗って楽しまないんですか?

 ああっ、カメラは、カメラはおやめください!

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