突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが?   作:内藤悠月

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R うにの木

 うに。海でとれるトゲトゲした生き物だ。

 中にはトゲに毒を持っている種類もいる。

 食べ物としてはそのトゲの殻の中にある内臓を加工して食べるのが一般的である。

 

 今回はうにの木が出てきた話だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 北限迷宮捜索は代わり映えもしない状況だ。

 5層までの北限迷宮の光景とたいして変わらない景色が続いている。

 つまり、びっしりサメ機巧天使(シャークマシンエンジェル)がダンジョンの地形を埋め尽くし、兄の都合で根こそぎ破壊し続けている。

 

 時々、人形を生産する部屋と修理する部屋が存在し、そこには黒ずくめの教団の衣装や人に擬態するためのマスクなどがちらほらと見つかる。

 ダンジョンの機能で生産したのだろう、どれもピタリと同じ形状をしている。

 サメ機巧天使(シャークマシンエンジェル)の目で見ても全く同じものだと認識されている。

 縫製の細かさや折り返しの長さなどが全く同じなのである。

 

 人形の生産装置も雑においただけで導線もなにもあったものではなく、人の出入りというものを全く考えていない。

 ダンジョンの機能を使って生産された人形を移動させているようである。

 生産装置が邪魔で入れない部屋とか普通にあったから、多分正しい。

 

 そしてそういう装置や衣装をどんどん盗んで機神のダンジョンに転送する兄。

 敵対者だとほんとこういう嫌がらせめいた動きを躊躇しなくなる。

 

 まあここまで来るのに階層を更地にしてきてるから今更か。

 

 北限迷宮のことがだんだんどうでも良くなってきたな。

 次に見たときにはボスとの遭遇かな。

 ガチャでも回そ。

 

 R・うにの木

 

 出現したのは鉢植えだった。

 それもめちゃくちゃでかい鉢に10メートルぐらいある木が植わっているのだ。

 普通ヤシの木とかを鉢植えするのに使われるサイズのものである。

 

 なんの種類かはわからないが、全体のシルエットはヤシの木に似ている。

 だが樹皮の表面や葉の付き方など、あらゆる点がヤシの木ではない。

 というかそんな形の木、あるか?

 と言いたくなる木である。

 あまりにも自分の周囲に無く見たことのない種類の木なのだ。

 多分異世界のものだと思う。

 

 で……これがまたヤシの木のような形で、枝の根元に栗のイガのようなものがなっているのだ。

 

 ……。

 いがぐり。

 まさかこの栗のことを指して、うにと言ってるんじゃなかろうなこの景品は。

 

 ガチャのことだから全く否定できないのが苦しい。

 なんならいがぐりの中から本当にウニが出てきてもおかしくない。

 

 そう思って私は木を軽く揺らす。

 落ちてきたいがぐりを靴で踏んで中身を開くのだ。

 開いた中身に入っていたのは普通の栗……に見えるもの。

 

 い、いや、まさか、そんな。

 これで終わるとは私には……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後日。兄に焼いて食わせた。

 サメもどきによる毒味もすでに終わらせてある。

 兄は味わうように焼き栗を平らげた。

 

 で、味はというと。

 生うに、だそうだ。

 焼いたのに!?

 

 そして兄は実験と称して、焼き栗に醤油をぶっかけた。

 その結果、味がプリンに変わった。

 

 は?

 そうはならんやろ!


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