突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが? 作:内藤悠月
仮面。それは顔を隠すために使用される装身具だ。
顔を隠すということには様々な役割がある。
一つは、神降ろし。
神の姿を象った仮面を身につけることで、神としての役割を演じる。
一つには、立場を隠すこと。
これによってお互いの立場や権力を気にせずに関わり合うことを可能にする。
顔を隠す、なにかを被る。
これらによって、違う人物を演じる。
これこそが仮面の力である。
今回はその仮面が出てきた話だ。
ほとんど勢いで国際社会に吐き出した魔法だが。
やっぱファンタジーに憧れる人間は多いようで、大ウケしている。
素質こそ少し求められるものの、知識と努力で誰でも使えるようになる魔法。
その可能性には人類文明を次のステージにへと引き上げるほどのインパクトがある。
そういう建前を抜きにしても、ロマンがある。
今は黒い球を作って投げることしか出来ていないが、すでにそれをいじくり回して形を変えることに成功した人が出てきている。
もう数週間もすれば特別な性質を持った魔法を自分で作り出す人すら出てくるはずだ。
そうなってくると社会は魔法の開示を求めてくるだろう。
国家は開示せざるを得なくなる。
私達はもう国際社会に魔法を渡した。
色々まだ秘匿している知識はあるが、そのうち吐き出すつもりでもある。
知識は万人に須らく与えられなければならない。
危険だと言うなら国が管理するべきなのだ。
私や兄がそれを握っていていいものではない。
私が危険に晒されるというのならいくらでも隠し通すが、そうでないならやはり知識は開示されるべきだ。
え、ガチャ?
あれは思いっきり例外ですよ例外。
あんなもん開示したら兄みたいな人間が100人単位で押し寄せてくるじゃん!
さて。
そのガチャを回そう。
R・仮面
出現したのは白い仮面だった。
つるりとした皿のようにも見える陶器製の仮面である。
通し紐があって、それで頭の後ろで留める構造だ。
そして、なにより目につくのは何も書かれておらず、凹凸もない表面だ。
造型もなにも施されていないその表面にはうっすらと透明ななにかがかぶさっているように見える。
二重の素材で表面が作られているのだ。
一体なんなんだろうか。
手触りはつるつるしていて気持ちいいが、何の目的でそんな構造になっているのか。
釉薬って感じの厚さではないし。
とりあえずつけてみるか。
つけてみればわかるだろうし……。
私はそっとその仮面を被ってみた。
まるで当たり前だと言っているかのように開ける視界。
仮面などないかのように周りを見ることが出来ている。
そして……仮面の透明素材部分が発光していた。
スマホのインカメラで見ているかぎりではそうだとしか言いようがない。
液晶画面のように、光っているのだ。
しかもそれの真ん中にピクトグラムが浮かんでいる。
私の感情を示すかのように、呆れを表した絵文字だ。
ああ、うん……。
仮面だから顔が隠れるからね、うん。
だからってそんな赤裸々に人の感情開示しなくてもいいんだよ?
後日。兄はこの仮面を
その見た目はSFっぽいマスクをつけた二人組のバンドかなにかか? と思わざるを得ない。
顔を隠している液晶部分があまりにもそのバンドを連想させるのだ。
それに
読み取ってみると、そこに書かれていたのは「困惑」の二文字。
そりゃ困惑するわな!
あまりにも意味分かんないもん!