突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが?   作:内藤悠月

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SR プログレスバー その2

 物事にはからくりが存在する。

 一見魔法のように見える物事も、常に何らかの原理の上に存在しているのだ。

 道理に合わないことがあっても、どこか私の見えないところにその法則が存在しているはずなのだ。

 人はその法則を暴いてその知識を積み上げてきたのだ。

 それが胡散臭いガチャに乱されてたまるか……いやコレは関係ない。

 

 今回は、神が出てきた話だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 プログレスバーによって出現した銀色の球体。

 兄が調べた結果、これはあの星の機械生命体のものであると判明した。

 

 いや、あの白い塵を見ればそれを知るのは一目でわかる。

 重要なのはこの球体がどうして現れたかということだ。

 

 そのためにはこの金属球体が何なのかを知る必要があるが。

 結局あの星の機械生命体だってことぐらいしかわかってないんだよなぁ。

 兄の役立たずめ。

 

 金属皮膜に覆われていて、強引にこじ開けて中身を調べるわけにも行かず。

 でかすぎて場所を移すにも手間取りそうであり。

 正体はわからないし邪魔だしで本当にどうしてやろうか。

 

 そう思って軽く手を触れた瞬間である。

 こういうのに触れるのは菌類などの関係でぶっちゃけ良くないのだが、もはやテラスを占拠している時点で言及するのが馬鹿らしい状況だ。

 だから完全にうかつで触ってしまったのだが。

 

 その途端に、溝に光が走って球体が変形し始めたのだ。

 

 いや正確には球体の表面が滑って展開していくという方が正しいだろうか。

 一箇所可動するたびに隙間に詰まっていたであろう埃をぶちまけてくれるのでめちゃくちゃけむい。

 白い塵ではないが、思いっきり土埃をぶちまけてくる。

 

 そしてその装甲を展開し終わったあとに出てきたのは、神々しい球体……また球体かよ!

 コレまでと違い、それは明らかに光を蓄えている。

 中に走る光は何かを考えるように揺らめいている、と思わせる。

 思考を具現化するのならこんな形状だろう、と。

 

 ……もしかしてこれ光コンピュータ!?

 量子コンピュータの究極系とされるそれそのもの。

 

 うわあ、もともと手に余るけど、もっと手に余る物が出てきちゃったぞ。

 明らかになにか計算しているようなチカチカした点滅とか、絶対怪しいやつじゃん。

 

 これが何であれ、絶対困るやつ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 兄は、その球体に対して、ダンジョンの侵食を試みた。

 ダンジョンの一部となることでその機能をダンジョンが取り込む事ができるアレだ。

 氷の星を飲み込み、宇宙エレベーターと同化したアレであるが、今回は危険かもしれないと兄は言っていた。

 

 これが演算装置だった場合、この球体に何らかの意思が宿っている可能性がある。

 そして意思が宿っていたなら、機神が乗っ取られる可能性があるのだ。

 

 その場合は機神の演算能力でゴリ押してどうにかするしかないが、うまくいくかはわからない。

 でも多分大丈夫でしょ、と兄は球体をダンジョンに取り込んだ。

 

 それはあっさりと終わった。

 懸念していた意思が宿っている可能性は問題なかった。

 いや、意思は宿っていたのだが、その意思は眠っていたのだ。

 それも1000万もの数の意思が。

 

 そして、すでに死んでいる意思の残滓が記録として残っていた。

 この球体は、あの機械じかけの星のダンジョンマスターの頭脳体だった。

 人間で言うところの脳である。

 

 そのダンジョンマスターは、ある日出現したガチャから手に入れたダンジョンコアと融合し、脆弱でしかなかった命を機械にへと置換えながら世界をダンジョンで統一したそうだ。

 彼は自身を拡張しながら、世界を発展させていく神として降臨した。

 すべてが機械にへと置き換わっているがゆえに、精神を次の体にへと移し替えるということが常態化した社会。

 その社会に対して、ある日突然攻撃が加えられたのだ。

 

 機械生命体の体に寄生して、その体を乗っ取りその体をすべて置換えてしまうナノマシンという攻撃を。

 その挙動は超強力なインフルエンザのようなものだ。

 

 一度感染したら必ず死ぬ。

 そして、死亡時に爆発してそのウイルスたるナノマシンをばらまく。

 しかもナノマシンであるがゆえに接触感染する。

 

 星はもう地獄絵図となった。

 治療することも出来ない。

 できることは精神を次の体にへと移し替えることしかなかった。

 しかもその体を作る工場はどんどんナノマシンによって失われていく。

 

 ダンジョンマスターが選んだ最後の手段が、この球体だった。

 自身の持つ最大の演算能力のコアに、すべての住人の精神を記録して保存する。

 時が来れば新たな星へと転移して、そこでダンジョンを広げ、機械生命体たちを再生させる。

 まさにノアの箱舟だ。

 

 が……、あまりに長い時だったのだろう。

 ダンジョンマスターの意思はすでに死に絶えていた。

 精神の寿命がどれほどのものかはわからないが……。

 

 転移させるための処理があのプログレスバーだったわけか。

 なんとも壮大な話だ。

 SRだが。

 

 なお兄はそんな話を無視して、その球体に宿る意思たちを躊躇なくリセット。

 情報を吸い上げるだけ吸い上げて、完全に平滑化しやがった。

 巨大な演算装置を手に入れた上に、ダンジョンコアの機能強化まで出来てホクホク顔である。

 

 こ、こいつ……。

 やっていいこととわるいことが……!

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