突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが? 作:内藤悠月
電動工具。電気を動力とした工具である。
人力で行うには少々手間取る作業を非常に簡単に行える工具だ。
その都合、高速で回転したり、釘を高速で打ち出したりするのでその扱いには慎重にならなければならない。
強力な道具ほど、危険が伴うものなのだ。
今回はその電動工具が出てきた話だ。
機械じかけの星の神のコアを取り込んだ結果、機神はまた一段階その能力を向上させた。
人間サイズの精神体であれば数億近い数を分割思考可能とし、その内側にほぼ完璧な世界を構築することすら可能な演算能力。
かつて機械じかけの星が持っていた技術のすべてを完全に取り込み、それを再現して見せる工業力。
複数のダンジョンコアを取り込んだために、侵食能力及び生産能力が大幅に強化。
星ひとつを統べる神に相応しいだけの力を手に入れてしまった。
少し前まではあと数ヶ月でレベルが7桁に到達して、世界を一方的に変えてしまうぐらいの力を手に入れるだろうとは思っていたが。
あっさり超えた。
本当にあっさりと。
レベルこそまだ6桁だが、すでに前に算出した7桁のステータスを大幅に超えている。
ステータスが高ければダンジョンとしての生産能力も跳ね上がる。
それで……今作れる最大のものを言うと、だ。
星間航行戦艦。
星の海を股にかけ、戦う事ができる宇宙戦艦だ。
な、何世代先の技術だよ。
しかもそれを艦隊規模で生産できる。
作る意味はないが、作れてしまう。
くっそやべえやつゥ……。
兄のおもちゃにするにはでかすぎるやつぅ……。
それは置いておいて。
私はガチャを回そう。
戦艦とか作らんやろ、いらんし。
R・電動工具
出現したのは、大きな工具箱だった。
中にはインパクトドライバーをはじめとする電動工具が一式。
ヘッドを交換することで様々な用途に利用できる形式のものが2つほど入っていて、それ用の交換部品がたくさん入っている。
そして大型のバッテリーが3つ。
工具、工具かー。
兄の工具箱に入っているのは手で使うものばかりで、電動の物はあまりない。
なのでテレビで見たことがあるものだとしか言いようがない。
それに、電動工具は危険なものだ。
その危険なものに説明書がついていないのは釈然としないが、ヤバそうなのに触れなければ大丈夫だろう。
そう思って、ドライバーが付けられた電動工具を取り出した。
これならネジを締めるだけである。
テーブルに適当な木材を乗せて、ドライバーにネジをくっつける。
磁石で吸着したネジはまるでドリルのようだ。
それを木材に付け、トリガーを引いた。
その途端、ネジから生まれた渦のような白い衝撃が周囲に撒き散らされ、テーブルを分解したのだ。
丁寧に釘やら接着剤やらを剥がし取り、組み立てられる前の姿に。
そして私の服もその白い衝撃に巻き込まれ、完全に糸くずになった。
布が解ければただの糸。
それを全身で実感するはめになった。
……私が何をしたっていうんだ。
後日。あの電動工具は、使用した物を分解する道具だった。
生き物には効果を発揮しないが、工具や機械などで組み立てられたものを組み立てられる前の形に分解してしまうのだ。
兄がそれをどうしたかというと……、
理由は簡単である。
これに接続されたドリルは、どんな人工物であろうと解体してみせる。
つまり……建築物すらもだ。
それはダンジョンの外壁などにも言える。
手っ取り早く言えば、ダンジョンを解体するための武装にしやがったのだ。
これでどんな障害も粉砕できる、と言ってのける兄。
確かに調査には邪魔なものが多かったが、これまでも力押しで攻略してきておいて。
こんな物を使う必要など、どこにもない。
兄はもう、すぐおもちゃにするー。