突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが?   作:内藤悠月

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SR 才能の卵

 才能。人に与えられた先天的な物事に対する向き不向きである。

 また特に優れた才気はただそれだけで人の人生を定めてしまうほどの影響力がある。

 才能があることも無いことも、人は必ず振り回されるだろう。

 本質的にそれは人の性格に寄り添わない。

 その人が持つ構造と蓄積の発露でしか無い。

 だからうまく理解して付き合っていくしか無いのだ。

 

 今回はその才能が出てきた話だ。

 困る……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 うーん。

 爆弾が見つかった。

 宇宙エレベーターの基部の端に爆弾が仕掛けられているのが発見されたのだ。

 

 いやまあ、潜在的な敵はかなり多いだろうとは思っていたが。

 神を名乗ったり。

 無差別に技術をばらまいたり。

 無差別に資源をばらまいたり。

 まあ、国際社会上ではヘイトを買いそうな行動ではある。

 

 関わった派閥は成長し、関われなかった派閥は衰退する。

 政治的に見ればそういう災害だとしか言いようがない。

 あまりにも暴力的だ。

 

 国家間の力学においてもそうだ。

 あのダンジョン産の発電する石一つで、すでに原油価格はだいぶ下がっているのだ。

 原油の販売に依存していた国からどう見られているかは、言うまでもない。

 

 しかし、しかしだ。

 財宝の眠る塔として国際社会のあらゆる国々に敵対して略奪される(もちろんそのすべてを返り討ちにして血の海を作ることになるだろうが)よりも、私達と仲良くしたほうが様々な利益がありますよと提示するほうが、平和なのだ。

 平和であることが闘争を呼ばない保証がないが、流れる血の量と頭を悩ます頻度は少なくなる、はずだ。

 

 選択は間違いじゃない。

 放置していれば乗り込まれて迎撃しなければならなかった。

 締め出せばきっと不法占有の誹りによって乗り込まれていた。

 知識を与えなければ……。

 国際社会ははっきり言って蛮族だ。

 あの手この手で収奪しようと掛かってきたに違いない。

 

 いやぁこわーいね。

 機神の未来予測があるからどうにかなってるけども。

 

 まあ先のことは置いといて。

 ガチャを回そう。

 

 SR・才能の卵

 

 出現したのは巨大な像だった。

 青い宝石のような卵型の像で、下部に皿のような装飾が施されている。 

 運ぶにしても抱える必要があるほどの大きさだ。

 卵型の宝石を飾るにしてもでかすぎるような気はする。

 

 とりあえず、これがなにか試さなければ。

 そう思って宝石に触れようとすると。

 腕が宝石にずぼっと突き刺さった。

 

 完全にめり込んでいる。

 温かいゼリーの中にあるような感覚があるが、視覚的には宝石を透過して腕が入っているようにしか見えない。

 動かすのも若干抵抗感があるだけである。

 

 なんだこれ……。

 そっと腕を引き抜く。

 宝石にはなんの穴も開いておらず、引き抜いた腕にはなんの異常も……いや、あるな。

 手の甲にタトゥーのようなものが入っている。

 複雑な文様で火を象ったような形をしたタトゥー。

 

 ……令呪かよ。

 いや、なんだこれは。

 めっちゃ困る。

 こすっても消えないし。

 

 そう思っているとすぅ、とタトゥーが消えた。

 え、と驚いて意識を向けるとまた浮かび上がってくる。

 

 と、とりあえずオンオフは出来るのか。

 変に見咎められなくて良かった、と胸をなでおろす。

 

 ……いや、これなんだよ。

 物の名称は才能の卵、だったが。

 それとタトゥーが勝手に刻まれるのと、なんの関係が!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 後日。兄が身一つでテレポートしだした。

 

 あのあと、色々調べてみたが正体はわからず、とりあえず放置しておくことにしたのだが。

 読書すると恐ろしいほど滑らかに内容が頭に入ってくる。

 軽く走るとどんどんフォームが正しいものに近づいていき、楽に走れるようになっていく。

 難しかったゲームも笑えるほど手に馴染む。

 

 とどのつまり……あの自称卵は人に才能を与える物だったのだ。

 今までの自分と矛盾なくそれがつながっていることに若干の恐怖を覚える。

 

 で、だ。

 こういうものを悪用することに掛けては超一流の兄だ。

 簡単に才能の究極に手を伸ばしてしまう。

 

 才能、個性の究極。

 ある意味でオンリーワンなそれを創作的に表現するのならこう呼ぶのがふさわしいだろう。

 

 異能。

 

 漫画なんかで出てくる超能力とか、そういうものだ。

 そして兄はそれに届くための物を知っている。

 複数種類の魔法を知識として持っている。

 

 結果。

 兄固有の、完全にどういう原理でそれをなしているのかわからない魔法を組み上げた。

 身一つで、好きな位置に転移する兄。

 紙切れを転移させてコンクリートブロックを切断する兄。

 横着してテーブルからリモコンをテレポートさせる兄。

 

 私が真似しようとしても再現出来ないあたり、あれはまさに卵なんだろう。

 望んだものにその中身を開示する。

 目覚めてすらいない状態の余波でほぼ万能に近い才能が手に入っているあたりマジでヤバい。

 

 その事に気がついた兄がサメ機巧天使(シャークマシンエンジェル)に紋章を付与しようとしてるんだけどどう止めればいいんだろうか。

 止めなくてもいいか……。

 諦めと呆れのため息を私は落とした。

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