突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが? 作:内藤悠月
証拠品。それは犯罪の痕跡を残した物品を指す言葉である。
犯行に使われた凶器、血のついたボタン、現場に残された毛髪。
いずれもその時間に何が起こったかを指し示す重要な手がかりである。
だからこそ警察や探偵といった職業は証拠となるものがないか探し回るのだ。
今回はその証拠品が出てきた話だ。
わぁ。
私の視線の先で、魔王城が宙に浮いてる。
建物の基礎ごと浮かび上がっており、そのせいで周囲の土もまとめて飛んでいるのだ。
もう誰がやらかしているかというと、兄だ。
突然思いついたかのように、魔女のほうきを持って魔王城の方まで走っていったかと思えばこのざまである。
ちょっと魔法で視力を強化して見ると、片手に魔女のほうきを持った兄が城の頂上で壁に手を触れているのが見える。
大方、どれぐらいの重量を持ち上げられるかと唐突に思いついたから、持ち上げに行ったのだろう。
いや、だからって……その……。
城を持ち上げることから始めるの、なに?
もっとこう、色々あっただろ!
あの倉庫に保存してあるヒヒイロカネ塊とか!
あの木材の山とか!
あそこでじゃまになってる車とか!
とりあえず手元にある最大から試すの本当になんでなんだ……。
その方が派手だからか?
派手だからか?
多分派手だからだな。
思いつきで行動する人だからその動きに全く予想がつかない。
いや、予想できたところでどうにか出来る気はしないが……。
まあいいや。
現在進行系で浮いている魔王城を放置して、ガチャを回そう。
R・証拠品
出現したのはチャック付きのポリ袋と……それに入った血まみれの包丁だ。
出現したときは驚きこそしたが、まあ普通の包丁である。
ポリ袋に入れられているということは犯行からしばらく経っているはずだというのにその血は全く乾いていない。
で……えー?
証拠品?
これが?
全く何に使うのかわからない。
というか、普通に使いみちがない可能性もある。
血まみれだから取り出して試してみようという気にもならない。
なんなら血によって指紋がべったりついている。
というか、見ていると気持ち悪くなってくるのだが……。
まるで自分がそれを使って人を刺したかのような、嫌なイメージが脳裏をよぎるのだ。
それは妙なほどのリアリティを帯びている。
結局なんの証拠かもさっぱりわからない。
物が物だけに、流石に触りたくない。
これはもういいや。
兄も多分ダメだろうし!
後日。兄は証拠品の使い道を見出した。
これを、この包丁の出自がわかっていない相手に渡すことでその相手を冤罪にハメる事ができるのだ。
……うん?!
どうやってその使い方に気がついたんだ!?
なんか気がついたらその使い方を見つけて、説明しだしたので何をやらかしたのかさっぱりわからない。
えっ、こわ。
まじで何をしたんだ兄。
何かをしていたような心当たりも無いのに、なんでわかったんだ。
もしかしてこの景品……、置いとくだけでも人をハメる……?