突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが? 作:内藤悠月
翼。空を飛ぶタイプの生き物が持つ飛行のための器官である。
その機能も羽ばたくことで空気を蹴って体を持ち上げることや、空気の層に乗って滑空することなど様々な手段で飛ぶことを実現している。
中にはトビヘビという、体全体を平べったくしてS字にまげることによって翼とする生き物もいるのだ。
今回はその翼が出てきた話だ。
大学でも作るかー、と調査団の人たちに
現状、街の形こそしているがそれは強引に整えただけで人が住んでいた結果出来上がったものではない。
そのため、あちこちに不自然な点が大量にあるのだ。
基部外縁部に至っては、仮設の建物が立ち並び、その外側に停泊した客船をホテル代わりにしているような状況である。
そのため区画整備してもっと研究やら、交易やらがしやすい環境を整えようと兄は思ったのだ。
なんなら人が住んでもいいとすら思っている。
人が来すぎてそうしないと対処できなさそうという理由もあるが。
そしてその区画整備の中心として大学を提案したら……まあびっくりするぐらい食いついてきたよね。
確かに客船や仮設の建造物を実験室にするのは無理があったか。
動きが早い国はもう予算まで付けてくる。
まだそういう計画があるって話をしただけなのに、随分と身軽なことで。
ついでと言わんばかりに日本及びアメリカと海底ケーブルを引く計画も出てきている。
まあ……確かに現状衛星通信で無理してるしな。
そちらは優先的に許可を兄が出していた。
なお、宇宙エレベーターとインターネットが海底ケーブルで直結すると、機神は世論をほとんど自由に操作できる模様。
いやしないしさせないけどね?
さて、ガチャを回そう。
R・翼
今回ガチャから出現したのは……したのは……あれ、なにもない。
カプセルの中には紙しか入っておらず、その紙には翼、とだけ書かれている。
翼……?
首を傾げながら、椅子にもたれかかる。
そうするとパサ、となにかふかふかしたものに体が包まれた。
パサ?
そっと首を回すと、私の背中から白い翼が生えている。
絵画に出てくる天使の翼のような、美しい純白のものだ。
手入れが行きどいているように、その白は薄い光沢をまとっているように見える。
腕を上げるように、翼を持ち上げてみる。
それは私の思考に沿って、腕を動かすのと同じように、それが当然だというように。
当たり前に動いた。
生まれたときから翼が生えているかのように動かせる。
……。
うわああああああ!?
ついに直に改造してきたー!?
あんまりすぎて驚くのが遅れてしまった。
根本がどうなっているのか。
腕が届かないし首が回らないから見えない位置という。
どうも内側の肩甲骨あたりから生えているような感じなのだが。
それに、だな……。
ちょっと羽ばたくだけで、それこそ絵画の天使の如く浮ける。
ホバリングしているという感じではない。
本当にふわっとした浮遊感だ。
って、飛んでる場合じゃない。
兄ぃ! ちょっとこの翼見てくれー!
その後。翼は兄が引っ張ったら簡単に外れた。
一人では取れない位置にくっつくのがイヤらしい。
しかも外すときの抵抗感はセロハンテープぐらいの接着力である。
そうやってもいだ翼を兄はじっと見て。
そのまま自分の背中にくっつけた。
直後翼が黒く染まり、悪魔の羽根のように変化する。
そのまま、ものすごい速度でその場を飛び去り、ほとんど豆粒みたいな大きさになる距離まで飛んでいった。
音速の壁に挑戦、とかぽそっとつぶやいていたような気がする。
おーい、かえってこーい。
新しい手段で自由に空が飛べるからってはしゃぐな!