突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが? 作:内藤悠月
延長コード。それを指す対象は様々だが、ここでは最も一般的なコンセントを延長し、その間口を増やす代物のことだ。
その外見の通り、コンセントから電気を供給して、複数のコンセントに振り分ける事ができる。
出来るのだが、それは一つのコンセントから電力を引っ張ることに他ならず、過剰に電気を消費するものを接続すると火災の原因にもなる。
そのため一つのコンセントから複数の延長コードを利用するのは危険なのでやめよう。
今回はその延長コードが出てきた話だ。
ようやく、本当にようやく。
静止衛星軌道ステーションに、調査団の人たちを招く事ができた。
あのワープする列車の駅の誤魔化しに随分と時間がかかってしまったが、概ね計画通りに順調に準備できたと言えよう。
まあその計画、数回修正されてるんだけどな!
調査、視察と言ってもこっちが用意した順路に沿って観光するだけの簡単なものだ。
向こうもこちらの技術力を見る目的はあるが、そこまで深いものではない。
お互いに協力的なポーズをするための視察のようなものである。
まあ、さかしまのステーション居住区を見て絶句し、他のステーションへの接続ゲートを見て絶句し、とひたすら驚かせ続ける結果となってしまったが。
清掃用ドローンとか動かしまくってるし、光源は謎の力で浮いてるし、なんなら静止衛星軌道上にあるというのに重力が働いているところとか、ワープ航法の列車とか。
これ報告しても信じてもらえないレベルの超技術だよなぁ、とか思わなくもない。
でもまあ、機神にとってはこれぐらい小手先の技術だったりするからどうにかして飲み込んでほしい。
これから共存しようとしている相手はこういう存在……神とその眷属だからな。
さーて。
私はガチャを回そう。
R・延長コード
出現したのは延長コードだった。
コンセントに突っ込むプラグが一つ、コンセントを差し込む端子が一つの、純粋に電源ケーブルを伸ばす用途に使われる延長コードだ。
色は白い。
……。
うん?
長さが2メートルほどあるのだが、手にもつと、変な手応えがある。
不自然に重い、というか。
ケーブルが硬い印象を受けるのだ。
手で曲げてみる感じは柔らかい普通の延長コードなのだが。
なんなんだ?
そう思っていると。
延長コードが、蛇のようにその電線をくねらせはじめたのだ。
私の手の中から逃げ出そうと暴れだす。
その力は思いの外強く、私はうっかり手を離してしまった。
元が延長コードだったとは思えない速度でするするとテラスを駆け抜け、木の枝に身を隠した。
うーん、変な生き物が出てきてしまったぞ……。
後日。なんかもういつの間にか繁殖して増えていた。
複数の延長コードが絡まった巣が木の枝に出来上がっている。
なんでこんな事になったかというと、まあ兄だ。
兄が、餌と称して延長コードやら、AVケーブルやらを与えた結果、それらが延長コードの蛇と同じ性質を得た……。
いや、違うな。
よく見るとデザインが違うので、食べたか取り込んだかして、それを生み直した感じだろうか。
巣にかかったケーブルも半透明で抜け殻で出来ているとわかる。
延長コードの抜け殻、あまりにも理解し難い概念だが……そこにあるから納得するしか無い。
ひどい話だ。
それにさぁ、兄がどこから引っ張り出してきたのかわからない三色ケーブルが、その端子を頭として蛇になってるんだけど。
どうもその頭同士が仲悪いみたいで巣の中で喧嘩してるのが見えてるんだよね。
なんでだよ!
そこは一体の蛇になるんじゃないのかよ!