突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが?   作:内藤悠月

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R 柵

 柵。領域を区切り分けるために使われる隙間の空いた板状のもののことだ。

 構造上、柱となる素材とそれに渡す横向きの素材があれば手軽に作ることができる程度のものである。

 そのため、用途に合わせてその素材や構造などを変更する事が可能だ。

 まあ近年は金網状の物を柱に固定する柵が一番多く見かける柵だろう。

 

 今回はその柵が出てきた話だ。

 

 

 

 

 

 

 

 最近ゆっくり漫画を読む時間のなかった兄が漫画を読んでいた。

 いや、読む時間自体はあったのだが、その時間をすべてガチャとダンジョンに熱中していたため、追いかけていたシリーズを後追いしているのだ。

 

 のだが……恐ろしくページ送りが早い。

 1ページ1秒も読んでないように見える。

 目なんかグリングリン動いて気持ち悪い。

 

 なんかおかしいと思ったら高レベル由来の高速機動で漫画を読んでやがった。

 集中すると時間感覚が伸張されて1秒が1分ぐらいに感じることすらできるらしい。

 最もそこまで感覚加速するのは静かな場所でほとんど動かない状況ぐらいだそうだが。

 ……つまり、読書である。

 

 なーんか違わなくない……?

 ゲームで「すばやさ」とか「AGI」とか「反応速度」とか表現される数値ってそういうものではなくない?

 

 いやまあ、実際の人間にレベルを実装したらそうなるのか……?

 兄のあの分かってるからいいやぐらいの対応はそれはそれで怖いのだが。

 

 はー。

 まあいいか。

 問題が起こっても兄が結局どうにかすることだ。

 私はガチャを回す。

 

 R・柵

 

 出現したのは柵だった。

 腰ほどまである金属製の柵で、枠に溶接して作られている。

 また鉄板の支えがついていて、自由な位置に動かせるようになっている。

 バリケードなどに使われる、置いて使う代物だ。

 

 柵……。

 なんか不便そうな物が出てきた。

 どうせ置いておくだけで効果を発揮するものだし、それがろくでもないものだと非常に困るというかなんというか。

 

 とりあえず試してみるか……と柵に手を伸ばす。

 枠の上部を掴んで持ち上げて動かそうと伸ばしたのだ。

 だがその手は、なにか見えない壁に当たって伸ばしきれない。

 

 柵の上方向の延長線上になにか壁が生じている。

 不可視の障壁だ。

 

 えー……。

 その壁があるせいで枠の上部から指を回り込ませて柵を持ち上げることが出来ない。

 横から回り込ませようとしても柵の内側に同様に見えない壁があるせいで枠を掴むことすら出来ない。

 

 ……。

 なんだこれ。

 いや、柵としてはかなり優れたものなのだ。

 柵のある場所を何が何でも通らせない。

 

 だがこれ小さいんだよなぁ!

 同じものを複数個並べることで区切る道具なのだ。

 それが一個だけ出されても扱いに困る。

 

 これどうやって使わせるつもりだったんだろう。

 

 

 

 

 

 後日。兄は力技で柵を振り回し武器の代わりにしていた。

 見えない壁は高さおよそ3メートルほど、幅が柵と同じというもので、その動きは柵に完全に同期している。

 見えない壁は極端なまでの硬さを持っており、何があっても壊れない。

 色々試したから間違いないはずだ。

 

 だから兄は、柵を強引に握りしめて武器代わりに振り回す方法を試し始めたのだ。

 壊れない道具≒強力な武器、という明らかに間違った等式が兄の中に存在しているようにも思える。

 

 頑丈なものは武器代わりにとりあえず振り回してみるのやめてもらえないかな!?

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