突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが? 作:内藤悠月
杖。体を支える用途に使われる細くて長い棒状の道具のことだ。
主に歩行の補助に使われるため、足と同じ程度の長さが望ましい。
また権威の象徴としても扱われる側面がありそれぞれの宗教などによってその役割は異なる。
今日はその杖が出てきた話だ。
日常……そう、日常の話である。
私の私室はガチャによって完全に変容し、ただの通路として扱われているのはもはや語るべくもないがそれ以外の日常……つまり人間関係とかなにか。
ガチャの出現やそれ以降の宇宙エレベーターの出現などでそれらが変化したかというと……。
実は何も変化していない。
びっくりするほど変化していない。
凪だよ凪!
ワイドショーがやかましくなったのとゲームのお誘いが来るぐらいだ。
ガチャが出てきてからだいぶ立つが、こういう案件に遭遇したらメン・イン・ブラックみたいな人たちが来たり、世界の影で戦ってるなんちゃらかんちゃらに遭遇したり、そういうことが一度もない。
特に後者なんか存在するのなら間違いなく接触してきているはずの組織とか見たことも出会ったこともない。
現状、私と兄の持つ魔力……まあ
これは多少隠そうとしてもすぐ見つかるレベルの量だ。
私だって探知系の魔法を使えば兄の居場所を常時把握できる。
逆に言えば、そういう組織的なものがあればすぐ見つかってしまうはずなのだ。
つまり少なくとも日本にはそういう異能の組織的なものは存在しないということである。
……ガチャは存在するのにそういう神秘は存在しないんだなぁ。
教わったからと言って異世界の魔法が当たり前に使えるのはそれはそれで変だなぁと思っていたのだが。
……今日の分、回すか。
R・旅人の杖
出現したのは杖だった。
長さは1メートルほど、頭の部分に4つの宝玉がはめられた特徴的なデザインが施されている。
なんというか……ゲームの魔法使いが持っていそうな杖だ。
でも名称は旅人の杖。
魔法使いのものではないようではある。
旅人……旅人ねえ。
手にもつと体が軽くなるとかそういうわけでもない。
この透き通った宝玉もよくわからない。
きれいではあるが。
とりあえず兄に倣って振ってみるが反応なし。
こういうマジックアイテムが出てきたときが微妙に困るんだよな……。
地球の常識で使えない時があるから。
わからん……わからん……。
そう考えながら、杖で地面をコツコツと叩いたときだった。
宝玉の一つの中に周囲の風景が映り込む。
それは今若干イライラしている私の姿を映している。
……カメラ?
もしかしてカメラなのかこれ?
異世界のカメラ?
……不便すぎない!?
後日。兄が旅人の杖を使ってテレポートした。
あの杖、カメラじゃなかった。
あの杖は4つまで座標を記憶し、その地点にへとテレポートする杖だった。
なるほど、だから旅人の杖。
好きな場所まで時間に縛られず移動できる、自由の道具だ。
しかも4つの宝玉はそれぞれ、その場所のリアルタイムの情景を映し出すために実質監視カメラのような使い方もできるという。
……で、兄はどうやってそれに気がついたんだい?
振り回してたらワープした?
とりあえずで景品を振り回すのやめろい!