突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが?   作:内藤悠月

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R 発光エフェクト

 ゲームや映画には場面を盛り上げるために、現実ではありえないような効果演出が行われる。

 基本的にそれは発光する粒子のようなもので行われる。それらを組み合わせることで、魔法的な爆発を表現したり、銃弾の軌跡を描いたりするのだ。

 キャラクターがなにか感動的なことをやってキラキラ消えていくアレである。

 

 今回はそのアレが出た話である。

 なんでこれ景品なんだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 NPCのおじさんが出現してから、村の様子が変化している。

 具体的には、明らかに物の種類が増えているのだ。

 あのサメもどきもNPCに似た存在らしく、特定のプロセスを繰り返す行動を取っている。

 つまりだ。今、あそこでは工業系サンドボックスゲームのようなことが行われているのだ。

 その結果なにが生産されているのかはわからないが、明らかに何かを管理し、生産している様子が見て取れる。

 

 道具屋のおじさんを介して、生産したものを売却し、物品を購入。その物品で次の商品を生産し、再び売却。

 この流れが形成されている。

 

 となると、おそらく買付されているのは銅だ。

 そして銅を粉砕精錬する作業と、ヒヒイロカネと合金する作業が同時に行われ、生産したヒヒイロカネを売却してなんらかの資金を得ている。

 

 もっともそんな資金を手に入れて何をするのかわからない。

 その金は当然外では使えないのだ。

 金貨を鋳潰しても同上。密輸扱いにしかならん。

 

 ということは販売リスト内になにかあるのだろう。

 そこまでして欲しい物とは一体。

 ろくでもない物でなければいいが。

 

 ろくでもない物といえばガチャだ。今日排出したカプセルなのだが、虹色に光り輝いているのである。

 それもいつもの光り輝き方ではなく、いわゆるパーティクル、光る粒子がまとわりついている、といった風体。

 現実にはありえない光り方をしているが、まああのガチャのことだそういうこともあるのだろうと納得……できるか?

 微妙なところだ。

 これまでにない現象が起こっているわけだし。

 

 とりあえず開封。開封と同時に光が消え、ヒヒイロカネ製のカプセルに戻った。

 

 R・発光エフェクト

 

 足元に餅のような物が落ちた。

 いや、それは正しいかわからない。

 なぜならそれは透明で、そもそも実体があるように見えないのだ。

 それは光の集合体、としか言いようがない。

 虹色に光る光の粉の集まり、というべきか。

 何が近いかといえば火だ。

 特に、宇宙空間での蝋燭の火のイメージが近い。

 そして時折、自身の色と同じ光の粉を周囲に飛ばしている。

 

 これは……触っても大丈夫だろうか。

 とりあえず床が燃える、といったことは起こっていないが、これがそうではないとは言い切れない。

 とりあえずつついてみるか。

 

 兄の用意した木材の端材にいい感じの棒があったので、これでつついてみる。

 

 するとその光は、延焼するかのように棒にまとわりついた。

 

 ……、あれ?

 棒全体が虹色の光を放つようになっただけで、棒自体に変化があるようには見えない。

 いや、虹色に光っている時点で玩具めいた不自然さはあるが、ただそれだけだ。

 手に触れている部分が熱いとかそういうこともない。

 

 ……紙にかかれているのは、発光エフェクト、の文字。

 ええー?

 

 

 なお発光エフェクトは棒から掴んで引き剥がせた。

 虚空を掴むような奇妙な感覚で、本当につかめているかわからなかったが、引っ張ってみると餅のような張り付き方をしているだけで、あっさりと剥がれ、一つの球形にまとまった。

 

 なに、この……なに?

 

 

 

 

 

 

 後日、兄が発光エフェクトを砦に貼り付けていた。

 虹色に光り輝き、異常な存在感を放つ砦。

 あの人やっぱバカじゃねーのか。


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