突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが?   作:内藤悠月

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R かつら

 かつら。頭部にかぶせることで髪の毛を補ったり別の髪型にしたりするものだ。

 古くは人の毛から作られていた。

 今は化学繊維で作られているものも存在する。

 西洋ではノミやシラミを避けるために髪の毛を短く刈り、代わりにファッションとしてかつらを利用していたらしい。

 

 今回はそのかつらが出てきた話だ。

 

 

 

 

 

 そう言えば、特殊な閉鎖環境だと、変わった文化が醸成されることがあるが、宇宙エレベーター基部でもそれが発生している。

 具合的には屋台街が出現しているのだ。

 

 調査団の人たちはエリートというか、まあ宇宙エレベーターの調査のために来ているのと技術を学びに来ている人たちがほとんどなわけで。

 そうすると飯の問題が発生するのだ。

 最初は軍隊の糧食やら、こちら側で用意した食堂やらを利用するわけだが、当然飽きてくる。

 そうなってくると隣にいる他の国の飯が気になってくるのだ。

 

 だんだんそういう空気が醸成されていった結果、誰かが「じゃあ食べ比べやろうぜ」と発案したようで。

 それが回数を重ねるごとにでかい屋台街を形成しだした。

 

 基本的に軍隊の飯炊き部隊が出してるから味が一定しているのもあって、毎回盛況のようである。

 管理は発案者と機神とでやってるから安全……ではあるし。

 

 屋台側にサメ機巧天使(シャークマシンエンジェル)が混ざってるのはびっくりしたけどね!?

 なにやらせてんの!?

 しかもあんまり売れてない。

 

 まあ基部の文化は置いといて。

 今日の分のガチャを回そう。

 

 R・かつら

 

 出現したのはかつらだった。

 肩ほどまでの長さの頭全部を覆うかつらで、その色は黒。

 質感からしても人の毛のように見える。

 ただ引っ張ってみるとちょっと伸びたので化学繊維製のようだ。

 

 かつらかぁ。

 なんかかぶるのを忌避する感じのある代物だ。

 普通に毛の塊って気持ち悪くない?

 いや、気持ち悪くないようにちゃんと作ってあるんだろうけども。

 

 まあかつらはかぶるものだ。

 かぶるために作られたものだから、かぶることが使用方法である。

 そう思って、私は出現したかつらを被ってみた。

 

 はら、と抜け落ちる髪。

 

 その抜け落ちた髪は、かつらのものの黒ではなく、私の髪色だった。

 長さもそう、私のもの。

 

 んっ、んんー?

 とっさにかつらを外す。

 そして思わず髪の毛を触ってしまった。

 

 どこにも抜け落ちてしまったような跡はない。

 足元には結構バッサリと落ちて……円形ハゲになってもおかしくない量の髪が落ちているというのに。

 

 と、いうことは。

 このかつらから生成されたということ。

 

 このクソジョークグッズがよぉ!

 思わず地面にかつらを叩きつける。

 

 いたずらを仕掛けるにしても、流石にたちが悪すぎる代物だ。

 ましてふざけてかつらを被ったら髪が抜け落ちる、とか悪夢の類だと言える。

 

 ただ……。

 兄はめっちゃ好きそうなんだよなこういうの!

 

 

 

 

 

 

 後日。案の定兄が試しに被って一人大笑いしていた。

 しかも数十分かぶり続けて、恐ろしい量の抜け毛を作り上げるほどである。

 何に使うつもりなんだその大量の毛。

 

 実にお気に召したのか、かぶると毛が抜け落ちるかつらを自作。

 付箋の糊並に弱い糊を作って、それで毛を接着するほどの凝りようだ。

 そしてそんな弱い糊を使っているから、かぶると当然抜け落ちる。

 

 そしてそういうジョークグッズを友人に仕掛けたようで。

 メッセージアプリで私に抗議が来たんですけど?

 こういうのは自分のところで片付けてもらえます?

 

 〆ても反省しないから……って。

 私が兄を〆ても反省はしないよあの人!

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