突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが? 作:内藤悠月
洗濯機。洋服の汚れを落とすのに使う家電である。
洋服を水の中で回転させながら汚れを洗剤に反応させ分解させることで効率よく汚れを落とすように作られている。
最近はドラム式洗濯機という、製品寿命はともかく非常に使い勝手の良い構造の洗濯機も登場し、まだ発展の余地が存在する家電でもある。
今回はその洗濯機が出てきた話だ。
なんか黒い服装をした胡散臭いやつに会った。
夜のスイーツを買いにコンビニに行った帰りに、その男が待ち構えていたのだ。
夜の闇に溶けてしまいそうな黒のコートを身にまとったその男は、七界統率機構の敵だと名乗る。
特別な力を持つのだから特別な存在にならなければならない、みたいなそういう……異能バトル物の敵組織に多そうな思想を私に滔々と語ってくる。
興味がないのでお帰りくださいと丁寧に断ったのだが、あちらからするとそれは納得がいかないといった様子で、無理やりにでも私を連れて行こうとする。
力づくで私に襲いかかろうとしたその瞬間に、私の影の中に潜んでいたニンジャ(五体セット)によってその男は地面に叩きつけられた。
特別な力とは何だったのか。
一瞬でニンジャに無力化されてるんじゃないよ。
とりあえず無力化した男は、リナ・バナディールを呼び出して押し付けることにした。
連絡先は押し付けられたものだが、役に立ってよかったねぇ。
叩きのめされたその男を見て彼女は驚いていたけど何だったんだろう。
まあいいか。
帰って今日の分のガチャを回そう。
R・洗濯機
出現したのはドラム型洗濯機だった。
高級感のある白の外装が目を引く、まさに新商品! と思わせる洗濯機である。
上部に並んだボタンはぱっと見た感じ一般的な洗濯機よりも少なく思える。
見た目は普通の洗濯機なのだが……、ガチャの景品である。
普通の家電が出てくるとは思えない。
いや、普通の家電が出てきてもそれはそれでどうしようもないが。
洗濯機……ということはまあ洗濯すれば景品としての効果を発揮してくれるだろう。
そう思って……適当な布を用意した。
機神が加工するために使う材料としていくつかストックがあるものを持ってきたのだ。
洗濯するにしても汚れていないが……まあ気にしなくていいだろう。
駄目だったらその時はその時。
その時は適当に兄の服でも入れればいいだろう。
ポチッとボタンを押すと洗濯のモードがいくつか表示されているが、デフォルトのものを選択する。
布を入れてフタを閉じると、洗濯がスタートした。
……まあ、水道にも繋がっていないし、電源も繋がっていないが動き出すのは当然というかなんというか。
景品だしなぁ。
しかもしれっと振動していない。
内部はきちんと動いているが。
やがて回転が止まると……中に入っていた布は泥だらけになっていた。
なんでだよ!
いやおかしい。
なんで泥だらけになっているんだ。
この布は汚れていたことがあったわけがないので、必然的にこの洗濯機によって汚された。
洗濯機だろうがァ!
なんで汚してどうするんだ。
何に使うつもりなんだ。
汚す用洗濯機って本当に……。
後日。兄が洗濯機の汚れから、未知の物質を見つけ出した。
なんというか、魔法的な効果を帯びた汚れである。
触れたものを腐食させ、デロデロに破壊するというだいぶ危険なやつだが。
兄はそれを抽出して固めることにより……切った相手を腐食させる剣を作り出した。
そうはならんやろ……。
そうは……。
というか、得体のしれない汚れまで発生させるのか洗濯機。
なんて使い勝手の悪い……というか用途のない家電だ。
役に立たねえ。