突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが? 作:内藤悠月
シャワーヘッド。水道から受け取ったお湯を幅広く全身に浴びるために噴出させる器具だ。
圧力を掛けた水が複数開けられた穴から分散して出てくる、というシンプルな構造である。
機能が単純であるということはそのまま付加価値をつけることが簡単であったり、加工が容易であるということであり、当然シャワーヘッドにもそれは言える。
出すお湯の細さを調整することで圧力に変化を起こし、マッサージ効果を期待したものも存在するのだ。
今回はそのシャワーヘッドが出てきた話だ。
霧星側の世界樹の基部、樹海のダンジョンと化した森周辺に建てられた街が稼働を始めた。
元々ダンジョンに潜る冒険者とそれを目当てに集まった商人と政治的な思惑とで、新しい街が作られ始めていたのだがそれがついに完成したというか、街としての体をなし始めたというか。
これまではただの寄り合い所帯か、軍の布陣かと言った感じだったのだ。
お題目こそ突如出現した世界樹の調査だが、こちらとしてもあまり近づかれたくないためダンジョンとしての深度がだいぶ深く、人類に踏破できるものかどうかも怪しい。
それは街側も分かっているようで、お題目はともかく日銭稼ぎの冒険者がダンジョンの構造を調べながらモンスターの素材や宝箱を漁っている状態である。
なお、そこに派遣されている
教師のクラスを獲得したのか、冒険者や軍人の育成に力を入れている状況だ。
ダンジョンや世界樹が世界の敵でないことは分かりきっているため、街を軌道に乗せることを優先させた結果である。
そのおかげか、びっくりするほど順調に進んだようだが……。
まあ七界統率機構がちらちらしているので要警戒というべきか。
世界が良くなるのならいいが、こいつら基本秘密結社だからな……。
……。
ガチャを回すとしよう。
R・シャワーヘッド
出現したのは白いシャワーヘッドだった。
一般的なお風呂用の薄い頭部を持つ安い物で、外見には特に変わった部分はない。
強いて言うならねじ込み部分がちょっと手間そうな構造に見えるぐらいだ。
……訂正。
よく見ると握りのところに薄いボタンのようなものがあった。
この間も風呂のフタが出てきたし、風呂で使うものが続いているような気がする。
水回りの物は用意するのが手間になりがちであるため、試すのが億劫だ。
だがまあ……このシャワーヘッドはそうではなさそうである。
なぜならボタンがあるからだ。
ようはこのボタンで水を止めるとかそういう構造のものだ。
ちょっと高いシャワーヘッドに付属しがちな機能である。
というわけでまずは何も付けずにボタンを押して見ることにした。
カチ、カチと薄い割にクリック感のある押し心地。
そしてものすごい勢いでシャワーヘッドから吹き出す空気。
すごい。
指先に圧力を感じるほどの勢いがある。
エアホッケーの盤面に触れたかのような感触だ。
どこから吸い上げているのかと思わず根本に手をかざしてしまったが、そちらは全くの無風である。
吐き出している以上、吸い上げなければならないはずなのだが。
そう思ってコップの水を根本に付けてみた。
するとシャワーヘッドから水を撒き散らしだす。
ああ……うん……。
まあまとも……か……?
相対的にはまともか。
節水にはなりそうではあるが……。
後日。兄はシャワーヘッドからヒヒイロカネをシャワー状に吐き出させた。
電気を流して帯電させたヒヒイロカネを更に加工することで、一時的に液体寄りに変化するという性質を利用して……シャワーヘッドの根本を突っ込みやがったのだ。
結果、針金のように細いヒヒイロカネが大量に出来上がったのだ。
電気を通すと柔らかくなるため電線などには使えないが……ワイヤーとしてはとても強度が高いため用途はいくらでもある。
なんなら編み込んで服状にすることで鎖帷子代わりにすることすらできる。
いやいやいや……。
なに金属にシャワーヘッドつっこんでんの!
そんな使い方したら詰まって壊れるだろ!?
できそうだからやった、で行動するのまじでやめてくれ!