突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが? 作:内藤悠月
カツサンド。食パンでカツを挟んだ惣菜で、パン屋などでは間違いなく売っている手軽な食べ物である。
メンチカツを挟んだメンチカツサンド、ヒレカツを挟んだヒレカツサンド、ロースカツを挟んだロースカツサンドなど、カツを変えるだけでも異なる惣菜パンとなるのも手軽であるといえよう。
ただ、家で作ろうとするとカツを揚げる手間がとてもめんどくさいモノでもある。
今回はそのカツサンドのイビル版が出てきた話だ。
……イビル版?
私はそれを見たとき絶句した。
幾人もの人を捻じ曲げて練り上げて作ったような巨大なオブジェ。
それが駅前の噴水広場のど真ん中に置かれていたのだ。
大きさは噴水広場の範囲よりもわずかに小さい程度で、その広場を実質的に利用不可能にしている。
というか、あったベンチを踏み潰してひしゃげさせていることからも突然出現した、ないし不法投棄されたのは誰が見ても明らかだろう。
……そう、本来は誰が見ても。
それだけ異常なものでありながら、駅前という人が集まる場所であるにも関わらず。
誰もそれに注意を払わないのだ。
まるではじめからあったかのように。
最も、ただの魔法による欺瞞だが。
ある物体をはじめからそこにあった、という形に魔法でねじって何かを作り変えただけである。
それはある種、唯魂改竄の術式に似ている。
ガチャから排出されたわけでもないのに驚かせやがって。
私はそのオブジェになにか引っかかるものを感じながら、それを放置することにした。
ガチャを回さないと行けないんだ……。
R・イビルカツサンド
出現したのはカツサンドだった。
カツサンド専門店で売られているような形式の箱にカツサンドが4切れ入っている。
そして、挟まれているカツだが……なにか、禍々しい紫色だ。
イビルカツサンド?
イビルってなんだよ。
この禍々しい色のカツのことか?
悪属性の肉ってなんだよ。
脳裏によぎるツッコミの数々。
そして、それに回答できるような人物も、手段も存在しない。
ただひたすら不可解なだけである。
それに、だ。
尋常じゃないほど魔力を帯びている。
見た目は色がヤバい以外はただのカツだと言うのに。
術式の気配はないから、マジックアイテムというよりは魔力を帯びているだけの肉なのだが。
カツサンドだから食べ……食べ……食べるのこれ?
もう見るからにヤバそうな色してるし、肉のまとう気配も渦巻いているようである。
食べられないってことはなさそうだが。
それ以外の面はとても美味そうではある。匂いとか。
ほっとくとヤバい菌が湧きそうなのも扱いに困る……。
後日。兄が食った。
イビルカツサンドを見つけ出した兄はその胡散臭い見た目に怯まず、そのまま口をつけたのだ。
よくそんなやばめなモノを食えるな……と思っていたが、そこで終わらなかったのが困りもの。
なんと兄は……塊の牛肉を買ってきて、包丁を使ってイビル肉と聖ミートに切り分けたのだ。
……は?
テレポート能力のちょっとした応用?
それで目方の量が2倍に膨れる理由が一ミリもわからないんだが?
イビル肉と聖ミートってなに?
また兄が変な技能を手に入れてしまった……。