突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが? 作:内藤悠月
場所を知る、という占いにダウジングがある。
これは主に失せ物探しや地下鉱脈を捜すなど、そのような用途に使われる物だ。
軽く握った物が、ほとんど勝手に動作し、場所を指し示すという挙動をするため超常的な現象を起こしていると考えられ、占いに利用されてきた歴史がある。
実際は人の思考が微細な動きに影響を与えるのが原因だそうだが。
その道具の中でも有名なものが振り子とL字の棒だ。
どちらも、捜し物の上で振れるのでとてもわかりやすい。
今回はそのダウンジング道具である、ダウジングロッドが出た話だ。
そういえば、湧きスポットから出てくるコインだが、NPCおじさんの道具屋で使えなかった。
互換性がないことに驚きすらしない。
ガチャはそもそもそういう物だからだ。
ろくな互換性がない。
だからこそ兄は平気で悪用しているとも言えるが。
さて、今回のガチャだ。
開封と同時に、二本のL字に曲がった棒が足元に落ちる。
一切飾り気のない金属棒だ。
R・ダウジングロッド
なるほど。久々にわかりやすい物が出てきた。
これを持って練り歩けということか。
20年前ならいざ知らず、今どきダウジングロッドをもって練り歩いていたら不審者扱い待ったなしだ。
となると、実験室内で試してみるということになるが。
しかし、実験室は突如出現した特異な空間。
実際に何かが埋まっている、ということが本当にあるのか怪しいところではある。
……いや、一箇所だけ何か埋まっている地点があったな。
景品を試すためとはいえ、掘り返したくはないが。
まあいいか。確認したら埋め戻せばいいだけの話だ。
拳銃を埋めた地点の上まで、ダウジングロッドをゆるく手に持ちながら歩いていく。
ダウジングロッドはたしかに拳銃を埋めた地点で振れ、開いた。
スコップでザクザクと掘り起こす。
すると、機関部が見えた。全く見覚えのない構造の。
慌ててその場を掘り返す。
そこから出てきたのは長銃身のボルトアクションライフルだ。
見かけは第二次世界大戦期に使われていたものと思われる。
いや、いやいや、おかしい。
なんでボルトアクションライフルになっているんだ。
周囲も掘り返してみたが拳銃は出てくることはなかった。
私は何を見つけてしまったんだ。
異常な現象が起こるのはいつものことだが、一度確認したものが化けると流石に焦る。
そっとボルトアクションライフルを埋め戻し、見なかったことにする。
さーて他にも何か埋まってないかな!
後日。現実逃避として余計な行動をしたのが間違いだった。
ダウンジングロッドは、南の端で別の反応を示してしまったのだ。
手持ちのスコップでは発掘できなかったので兄とシャチくんを動員し、掘り起こしたのだが、出てきたのは遺跡と思しき建物の入り口だ。
これに対し兄は探索隊を結成。サメもどき20体にシャチくん3体、兄1体の24体構成の上、これまでガチャで出現した武器になりそうな物で武装を固めていた。
意気揚々と乗り込んでいった兄だったが、なんと積層構造となっていたダンジョンを一層で撤退。
無数にスケルトンが湧き出し、サメもどき20体が全滅したとのこと。
一層をクリアすることには成功したそうだが、湧きスポットを潰せなかったため二層にはいる前にサメもどきがどんどん損耗していき撤退を余儀なくされたそうな。
まさか兄のおもちゃではなくガチのダンジョンが出現してしまうとは。
あの……その……、困る。