突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが? 作:内藤悠月
奇跡。それは神やそれに連なる者が引き起こす超常の現象。
そして、そこから転じてごく僅かな可能性を引き寄せた出来事もまた奇跡と呼ぶ。
ありえないからこそ奇跡であり、それが幸運であるからこその奇跡である。
自由にそれを引き起こせるのならもはやそれは奇跡でもなんでもないのだろう。
今回はその奇跡が出てきた話だ。
基本的にガチャの景品を持ち出さないように、持ち出させないようにしているがその中にもいくつか例外がある。
例えば、一つはガチャ石だ。
ガチャが現れた最初期に出現したそれは、その後のガチャ景品から継続的に出現するようになった。
兄によるいくつかの検証を行った結果、瞬間的な重傷、即死をほぼ無効化できる事がわかっているため、お守り代わりに持ち歩くようにしているのだ。
2つ目には、情報を偽装する類のものだ。
というのも、魔法で遊んでいるだけだというのに魔力量が尋常でないほどの量に成長してしまっているのだ。
魔力を制御しない状態で垂れ流しているだけで、東京を覆い尽くせるほどの量である。
もはや日本のどこからでも魔力視で見えるレベルである。
なのでいくつかのガチャ景品を改造して情報隠蔽用に所持しているのだ。
そして3つ目だが……。
いくつかあるが、目立つのは今日引いたこれ、だろう。
N 神の奇跡
指先でつまめるほどの大きさの白い球体である。
神の奇跡とかめちゃくちゃ大層な名前がついているが、まあ
なにかと便利なやつなのである。
魔法を使っていると何かとやらかしがちなのが暴発した結果、呪いのようなものに変化を起こしてしまうことだ。
これがまあ初心者なら二三日多少運が悪くなってソシャゲのガチャでSSRが引けなくなるとかそういうレベルで済むのだが。
私の魔力規模でやらかすと国が滅ぶ。
台風が40個ぐらい来たり、日本全域のプレートが跳ね跳んでものすごい地震が起こったりする。
魔力制御の技術は完璧なのでやらかすことはないが、絶対はない。
そういうときに手っ取り早く解呪できるのがこの神の奇跡なのである。
もはや神としか言いようがない奇跡をいくらでも引き起こせる便利グッズだ。
天変地異も好きなだけ起こせる。
欠点? 使用者が
大変手軽である。
その日の夜。
久々に家族で外食にへと出かけた帰り道。
コンビニに寄ろうと駅前まで一人で出てきたときだった。
あの駅前に不法に置かれたオブジェ。
そのオブジェの中の
冷たい金属の裸体を、オブジェの中に絡ませながら。
違う。
これまでずっと、通る際には見られていたというのに気が付かなかったのだ。
この私が、あの程度の魔法欺瞞で、目くらましをされていたのだ。
言い訳するなら興味がなかったからちゃんと見ていなかったということになるが、それはあのオブジェの持つ欺瞞の方向性と同じである。
結局のところ、私もまたあの程度のものに視線を逸らさせられていたことになる。
ムカついてきた。
私を欺いていい気になっているであろう性根。
異能組織の人間が何人オブジェになろうが知ったことではないが、私の知り合いをこうされて……。
私でもなんでこんな苛ついているのかわからん。
だが、応報は必要だろう。
なので手っ取り早く。
《
神の奇跡を前提とした、即席の神罰魔法を発動する。
オブジェに起こっていた
神の権能とやらをぶっ放した影響か、3個あったはずの神の奇跡のうち一つはひび割れ、一つは砂に帰ってしまったが。
効果はしっかりと発揮したようだ。
オブジェだったものは、数十人の全裸の人間にへと変わっていた。
その中にリナ・バナディールも混ざっている。
うーん。これ以上面倒なことにならないうちに逃げよう。
そう判断した私は、そのままコンビニにへとダッシュするのだった。