突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが? 作:内藤悠月
シール蓋。それはプラスチック製の専用パック容器の蓋である。
柔らかい素材で出来ており、容器に対して密着することで中身を密封状態にできることが利点だ。
それにより、様々な食品の長期保存が可能になる。
食品を湿気から、乾燥から、雑菌から防ぐことができるのだ。
また素材の関係上透明なものも多く、冷蔵庫などで管理しやすいのも特徴である。
今回はそのシール蓋だけが出てきた話だ。
そういえば呪詛返しが通った。
探査系の魔法も組み込んで、呪詛返しがそのあとどうなったかずっと追跡していたのだが。
数日ばかり抵抗され、なかなか通らなかったのだ。
身代わりを使った防壁が数十。
意識をそらすような結界の類が数百。
いわゆるお守りのような霊的防御を引き上げるものが数千。
そして極めつけは要塞と誤認するレベルの無尽蔵に近い生命力。
おそらくはただあるだけで呪いの類を支配できるレベルの怪物だった。
まあ呪詛返しで食い散らかしたが。
あっちがだいぶ強力なものを使っていたのが悪い。
報復系の魔法とはつまりそういう、相手の出力に合わせて強大化する代物だから。
その結果、山形あたりの山の一部がまるまる金属化するという事件も起こったが……。
組織がなんとかするだろ多分。
もともと彼らの敵だし。
私は今日の分のガチャを回そう。
R・シール蓋
出現したのはシール蓋だった。
あの百均なんかでも食料品を入れるために売っているパック容器の、蓋だけ。
クリアな白色で、どんな棚にも合わせやすい色合いとなっている。
しかし。
蓋だけ出てこられても困る。
しかも、五角形だ。
五角形のパック容器って。
どこで売ってるんだ。
売っているところでは売っているような気もするが、絶対割高のおしゃれ家具系のやつだ。
で。
これはどうやってつかうのか。
相方となる容器の方はなく、合わせられる代わりのものも思い浮かばない。
なにせ五角形だ。
見つけることすら困難だろう。
あまりに思い浮かばなかったために、とりあえずじゃまになるな、と。
手元にあったジュースのコップにかぶせた。
ただの手癖だったのだ。
バコッという音とともに、大きくふらつくコップ。
粉末状になった中身。
ガッチガチに張り付いたシール蓋。
何が起こったのかと蓋を剥がそうとするが、コップのフチとぴっちりくっついてしまっていて剥がれない。
まるで内側から吸い上げているようだ。
コップのフチに強引にナイフを差し込むことでなんとか剥がしたのだが……。
剥がした瞬間、コップが空気を吸ったのだ。
え、えー……。
もしかして、密封状態にするために、中身を真空にするシール蓋……?
一瞬でジュースが粉状に凍りつくレベルに真空にするのはなんというか。
よくコップが割れなかったな。
それなりに有用そうにみえるが。
変な形のせいで不便極まる……!
後日。兄は圧力鍋を使って、このシール蓋を利用し始めた。
圧力鍋なら、シール蓋で排気口を塞ぐだけで中身を真空にできるのだ。
動作原理は真空脱気室と呼ばれる機械に近い。
一瞬で料理に味を染み込ませたりなど、とにかく変な使いみちはいっぱいあるが……。
圧力鍋にシール蓋が乗っている見た目はシュールこの上ない。
しかも蓋を開けるのに結構な力がいる。
結局どうなったかというと。
何度か兄がインスタント麺を試作したあと、開放の力に耐えられずにシール蓋は裂けた。
流石にゼロ気圧に耐えられる素材じゃなかったかー。