突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが? 作:内藤悠月
スーパーボール。弾性の高いゴムを材料として作られたボールの玩具である。
跳ね返る力が非常に高いため思わぬ方向に飛び回ったり、強く跳ね返って激しく動いたりするのを楽しめる。
また、様々なレクリエーションに使用でき、スーパーボールすくいや的あてなどの縁日的なもので良く利用されていた。
今回はそのスーパーボールが出てきた話だ。
とりあえず、基部の街にいる組織の人間を抱き込むところから機神は始めるようだった。
組織の崩壊が始まっている今、それが作り出した秩序は壊れざるを得ない。
その秩序に関する情報を手に入れるため、コネを作っておこうという算段である。
まあコネ自体は今までの情報開示や技術交流で出来上がっているのだが。
もっと密にやり取りできるように腹を割る予定だ。
あと一部お偉方も来ているようなので積極的に釘を差しておく。
もしなんかやらかしたら即介入できるようになっとるからな、というアピールである。
非合法存在のくせに世界秩序に寄与してる世界組織とかホント……対処に困るな。
雑に滅ぼすとかするとめちゃくちゃ大変なことになるやつだし……。
首をすげ替えるにしても、理念が死んでいるのではまともな首は座るまい。
結局ことが起こりそうなのをマメに潰していくしかないっぽいなぁ。
ガチャを回してしまったこと、世界を俯瞰できること、それだけで面倒ごとがどんどん舞い込む。
だから……回したくないけど。
今日の分のガチャを回さなければならない。
R・スーパースーパーボール
出現したのは……おわっ!
それは落下と同時に地面を跳ね返り、空の彼方へと飛んでいった。
一瞬軌跡の中に青い球体が見えたのでそれが景品だったのだろう。
いやまさか、ウッドデッキを跳ねて日除けを破壊して空に飛んでいくとは……。
で、その景品は何だったんだ、と紙を広げてみる。
スーパースーパーボール。
はい、そうですか。
それはスーパーなスーパーボールでございますね。
そのまんまじゃねえか!
どうせアレだろう。
反発力を強化した代物とかそういう。
手元にとどまることなく遥か彼方に吹っ飛んでいったので確認も検証もできないが……。
いや、なんかそれだけではないような気がしている。
反発力が強いだけでこうなるか?
テラスの屋根を破壊するだけのパワーを瞬時に蓄えて跳ね返るものか?
テラスの床は反発で破壊されていないのだ。
反発というものは当然触れたものと触れられたものの両方にかかる力なのだ。
天井を貫くには、床も反発力で破壊されていなければならない。
つまりはまあ。
床に触れた瞬間に屋根を破壊するだけのエネルギーをどこからか得て、そのまま空の彼方へぶっ飛んでいったのだ。
予想が正しければ、天井に触れた瞬間に再加速したはずである。
鉄塊のときも思ったが。
あれが地球に落ちなければいいが……。
後日。飛んでいったスーパースーパーボールが地球側の軌道エレベーターを破壊した。
いや、正確にはステーションの側面に増設された枝と呼ばれるブロックにスーパースーパーボールがかすめたのだ。
そのせいでかすめたブロックは大幅に裂け、一時機能不全にへと陥った。
その後自動修復によって5時間で回復したはいいが、直撃していたら目も当てられなかっただろう。
いや……どこでそんだけの運動エネルギー溜めたんだよ!?
というかこんな危険物スーパーボールとして排出するな!?