突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが? 作:内藤悠月
指輪。それは装身具の一種であり、指に身につけるものだ。
シンプルな金属の輪っかのようなものから、大きな宝石をつけたり細工を施したものまで、様々なものが存在している。
また、ファンタジーでは手軽に身につけることができることから、魔法が込められたものが多数存在し、火山にまでわざわざ捨てに行く羽目になったりする。
今回はその指輪が出てきた話だ。
ついにあの組織から大規模な離反者が出た。
組織のゴタゴタについていけなくなった構成員や、自由に振る舞うべきだと考える幹部らが一気に組織を脱退したのだ。
引き抜きに引き抜きを重ねた結果、組織はもうスカスカというか、ヤバい状態にある。
組織の看板を使って悪さしたい人間と、組織をなんとか維持したい人間との二極化の状態だ。
本部で抗争を始めるのも近い。
まあほっとくとろくなことにならんと引き抜きやってたのは機神の国も同じではある。
機神はいろんな手段で情報をかき集められるが、人間にしか集められない情報というのもあるからな。
今回の内情とか、だいぶ協力者使って集めたところがある。
その情報を聞き、兄はいつでも突撃できるように部隊を編成し始めた。
野良化する魔法使いやら、抗争の激化やらに対応するための部隊である。
使う羽目にならなければいいが。
そんな面倒なことは置いておいて。
今日の分のガチャを回そう。
R・碧の指輪
出現したのは指輪だった。
大きくて青い宝石のようなものが中央に嵌められた豪華な指輪だ。
まるで夜明けの海のような、複雑な色合いの青。
そして私はそれを見て、一目でろくでもない代物だろうなと直感した。
宝石の留具にとどまらず、指輪全体にびっしりと走っている装飾は見る人が見れば魔術的な代物だと即座にわかるほどに情念がこもっている。
そして、それらは宝石を中心に循環しているのだ。
これは嵌めても大丈夫なやつなのか?
そういう疑いすら浮かんでくる。
こういうときは……そうだ。
私は指を鳴らす。
すると影が立ち上り、大雑把な人型にへと形を変えていく。
実体化した影に行動ルーチンを埋め込んだ、影のゴーレムのようなものを即席で作り出してみた。
普段は大きな腕などを作って兄を押さえつけたりするのだが、こういう使い方もできる便利な魔法である。
概ね人といった風体の黒い影の塊が出来上がる。
普段ならばそこに命令をして、仕事をさせるところだが、今回は景品の実験である。
手を差し出させて、その指に碧の指輪をはめた。
突如、その影が沸き立つように、姿を変え始めた。
沸騰したかのようにその形を激しく歪め、より精緻な形にへと作り変わっていく。
それは少女だった。
深い夜をあつらえたような黒のドレスを身にまとい、暗い霧のようなものが周囲に漂う。
そしてそれに対称的な金の髪に赤い瞳。
それは吸血鬼の少女、のようだった。
お、おう……。
胸元のスカーフに指輪が付いている。
それが影人形だったものであることを示しているが……。
挨拶ついでに手を振ってみる。
それは
なんというか……。
これは。
え!?
影ゴーレムの見た目が変わっただけってこと!?
意識通せば思い通りに動かせる……ってこと!?
後日。兄が手当たり次第に指輪を嵌めさせていた。
指輪を外せば吸血鬼っぽい少女は形が崩れ、元の影にへと戻った。
それを見た兄は追加で他に効果がないかと
特に変化はなく。
というか真っ先に自分の指に嵌めたよね!?
どうも異能や魔法を拡張し、限界突破させて美少女化する指輪のようである。
美少女化している状態の異能は人型としての能力を獲得し、その上とても頑丈になっていた。
なんだその……なんだ。
変なヘキをガチャで出さないでもらいたい。
普通に扱いづらいんだよ!