突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが? 作:内藤悠月
ミセリコルデ。それは短剣の一種であるスティレットの別名である。
主に相手にとどめを刺すために使われるところから「慈悲の短剣」という意味の別名を持っているのだ。
武器としては多少鋭い程度の短剣なので鎧の隙間を狙って使うのが基本的な使い方である。
今回はそのミセリコルデが出てきた話だ。
うっかり組織を潰したせいで政治系の面倒がたくさん発生してしまったようだ。
結果、兄はそちらの解決に組織の本部に詰めっぱなしになっている。
機神が事前に集めておいた元メンバーや離反者達の情報と人材によって作業そのものは順調に進んでいるようだが……。
特に強硬派の中にもろにテロや犯罪に加担してる人間がたくさんいたため、それの処理も無駄に手間取らせるという。
しかも組織の内規に従うと悪・即・斬で人権もクソもないのでそれに従うわけにもいかない。
誰に任せるかとかも完全に手探り。
世界に放出するとそのまま世界終了もありうる人材に技術に資産……本当にろくでもないな!
まあそんな面倒なことに自分から突っ込んだ兄はおいておいて。
今日のぶんのガチャを回そう。
R・ミセリコルデ
出現したのは短剣だった。
黒い十字架を模した短剣で、刺突に特化した代物である。
創作などではあまり出番がない代物だが……。
特に見た目には特筆するようなこともなく、なんというか普通だ。
飾りっ気のなさが実際に使われていたようなもの、あるいはそれらの複製品といった風体を醸し出している。
短剣……慈悲……。
私はとりあえずなにかをこれでつついてみることにした。
人殺す用の短剣なんだからなにか刺さないとわからない、はず。
そう思って私はテーブルにミセリコルデを突き立てた。
突如、破裂するようにばらばらになるテーブル。
まるで自分は役目を終えた、と言わんばかりに崩壊している。
えー……。
こわ。
試しに椅子や看板やらもつついてみたが、それらも同様に壊れて役目を果たさない状態になった。
えっと、これはつまり。
モノが……即死した?
ミセリコルデに慈悲を与えられて?
ジョークにしては危険すぎる代物である。
万が一、人に向けられたら。
いや、手から滑り落として足に落ちたら。
そこにあるのは死である。
これどうしよ。
危ない……危ない?
破壊力だけなら兄の拳のほうが上ではあるが。
どこにしまっておくかなぁ……。
後日。兄が実験した結果、生物を傷つけられないことが判明した。
目ざとくこの短剣を見つけ出した兄は、即
だが
兄の力で以てナイフを突き刺せば
それでも無傷。
思いっきり振りかぶろうが、鈍器のように叩きつけようが、複合スキルを載せて攻撃を叩き込もうが無傷。
どう頑張っても1ミリも刺さらない。
無生物だけ……殺す短剣……ってこと?
それにしてもこれ使うと残骸にしかならないから使い道もないんだが……。