突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが? 作:内藤悠月
コロコロ。粘着テープでホコリなどをくっつけて取る清掃道具だ。
手軽に使える点や汚れがひと目で分かる点など、利点は多い道具である。
布製品にも使えるので手が空いているときにコロコロして掃除できるのが非常に便利だ。
今回はそのコロコロが出てきた話だ。
組織の技術の中で機神が再現できなかった、というか再現する前に止めた技術がいくつかある。
一つは生きた繊維。
生き物を分解して糸にするというもので……これで服を作るとかなり強力な装備品になる、らしい。
絶対ダメだろ。
兄がやらかすに決まってるだろそれ。
一つは魂の結晶化。
これも生きた繊維と同じで、生き物を素材にする技術だ。
人間を材料にする技術なのでもっとダメ。
人の魂を結晶にして取り出し、魔術の増幅装置にする技術なのだが、組織でも超高コストだったのであまり利用されなかったようだ。
利用されたケースは大体ヤバい能力持ちを封印するためか、死にかけのベテランを保存するためだったようだが……。
当然ダメだろ。
兄がやらかすに決まってるだろそれ。
一つは真銀錬成。
これは機神が再現出来なかった、というかなにか相性が悪くて再現しようがなかったのだ。
真銀という名称の魔術用の特別な金属を作り出すものなのだが……。
まあ出来上がる金属がヒヒイロカネ加工品の劣化なのでいらないといえばいらない。
複数の神格をこき使う術式になっててそりゃ機神には相性が悪い。
これ使ってて大丈夫だったのか? という疑いも立つ。
いやあ……ヤバい技術が目白押しですね、という。
歴史の長い組織なので一時期運用していたとか、回収だけして保存していたとかでヤバい技術が蓄積しがちだというのはある。
でもこれらは運用してたからヤバいなぁ。
まあいいか。
全部終わった話だ。
今日の分のガチャを開けよう。
R・コロコロ
出現したのは粘着テープクリーナーだった。
一般的にはコロコロと呼ばれるあれである。
ロール部分がプラの箱に収められている形状のものが出現した。
セットされているロールも市販のもののように見えるが……。
さて。
とりあえず服にでも試してみようか。
よくわからない景品と比べると手軽に使えるからありがたい。
そう思いながら服にコロコロとしてみた。
ベタと服に張り付き、細かいホコリや汚れが剥がれて……。
うん。
普通だ。
汚れが全部くっついて取れるとかそういう品だと思ったが、そうでもないのか?
うーん。
わからない。
コロコロしたのが服だからか?
そう思ってテーブルの表面をコロコロしてみた。
テーブルの表面のダメージが剥がれて新品同然になる。
あー……そういう。
そりゃ服じゃわからんか。
この服はそれほど傷んでいるわけでもない。
しかし、テーブルの表面ツルツルになったな。
コロコロとしてはこれ正しいのか?
後日。兄がより詳しい条件を見つけ出した。
より正確には表面の汚れや痛みを全てくっつけて剥がし取る代物だったようだ。
しかも、ロール紙は取り替え可能。
市販品でも同様に効果を発揮した。
というか、一度組み替えたロール紙なら効果を発揮した。
一度コロコロにセットしたロール紙を外して、他のコロコロにセットしても同じように汚れや痛みを剥がし取れるし。
なんならロール紙をセットしたコロコロからロール紙を外して新しいロール紙をくっつければ同じように剥がし取れる。
感染……している……。
景品の特性が感染してる……。