突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが? 作:内藤悠月
肉まん。すっかりコンビニの定番商品となったアレだ。
関東と関西で中身の肉が違うとか、新商品と称してとにかくいろいろなものが詰められる傾向にあるとか、とにかくファストフードとして手軽な食べ物だ。
また調味料をつけるつけない、かけるかけないで地域差があることも有名だ。とくに酢醤油。
やはりパンのように掴んでも手が汚れない作りが人気の秘密だろうか。
日本人はパンに惣菜をひたすら挟む傾向にあるからそのあたりに理由があるかもしれない。
今回はその肉まんを蒸す専用の機材が出た話だ。
せいろじゃなかった……。
気がつくと、ダンジョンが移動していた。そう、兄の砦がだ。
いつの間にやら発掘ダンジョンの上に陣取るように移動していた。
攻略済みのダンジョンなら侵食できることに気がついた、と兄は言っているがそれがどういう意味なのかさっぱりわからない。
そもそもようやく一層を攻略出来たばかりだというのにすぐにそのような仕掛けを使っていく兄の行動力がだいぶわからない。
いやまあ、たしかにこうしなければならない問題はあったのだ。
発掘されたダンジョンからスケルトンがさまよい出してくる可能性があったのだが、ずっと目を背けていたのだ。
最悪埋めればいいだろうぐらいの気持ちでいた。
というか兄にやらせればそれぐらいすぐ埋められるのだ。
それが可能なだけの装備は整っている。なぜか。
ほんとなんで整ってるんだろうなぁ……まあ、理由はこのガチャの引きと、兄の異様な発想力のせいなんだが。
……今日も開けるか。
R・肉まん蒸し器
出現したのはせいろだ。鍋の上に乗せる円筒が重ねられた籠で、鍋に水を、籠に蒸したいものを入れて使う道具だ。
中華店の雑なイメージ図にかかれている円筒状の物を思い浮かべてみればだいたいそれであっている。
しかし、名称が肉まん蒸し器か。いやー、常備してる食料に肉まんあったかな……。
肉まんはなかった。なので代わりにホットケーキミックスを持ってきた。
これを水で練って、カップに入れて蒸すことで蒸しケーキが作れるのだ。
細かい材料も事前に袋に入れておいたので簡単に作れる。とてもお手軽だ。
蒸し器が本格的なやつなので美味しく蒸し上がるのでは?
そう思い、兄がいつの間にやら増設していたレンガ竈に蒸し器をセット。
井戸水を鍋に入れて、蒸しケーキを蒸し上げる!
20分後。無料配信の漫画を読んでいたら若干余計に時間が過ぎていた。
まあ蒸しているだけだから多分長く火にかけていても問題ないだろう。
水が空になってさえいなければ問題ないはず。そして、たっぷり入れておいたので空になっているはずはない。
いざ開帳。
そこにはホカホカになった肉まんが鎮座していた。
は?
肉まん蒸し器なんだから肉まんが出来上がるに決まってんだろ、と言わんばかりに見事な肉まんがそこに鎮座していた。
皮の美しい光沢から、これは美味い肉まんだと主張されているような気すらする。
だが、これは蒸しケーキを作っていたはずのところに出現したものだ。
いつものことだがどうしてそうなったのかわからない。
なのでそっと兄に差し入れすることにした。
兄いわく。なんか粉っぽい食感の肉まんだったそうだ。
食わせてからその肉まんの出自を話すと、その肉まん蒸し器でヒヒイロカネを蒸し始めるから本当に無茶苦茶な人である。
なお、そのヒヒイロカネも無事肉まんになった。