突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが? 作:内藤悠月
階段は人類がお手軽に上方向への移動を可能とした設備だ。
その中でも螺旋階段はインテリア性を重視した階段で、リビングから見える位置に配置される事が多い。
構造上、光が抜けやすい形に作ることが可能で、さらにはコンパクトにまとめられることから狭い家でも利用しやすいのだ。
欠点があるとすれば踏み板が三角形の形状になることから足場となる面積が狭くなり、踏み外してしまうリスクがあることと、家具などの大きな荷物を運ぶことが難しくなることだ。
今回はその螺旋階段が出現した話だ。
ツタの生えたサメもどきだが、見間違いじゃなかった。
というのも、ちからのたねの植物塊を新種のモンスターだと勘違いした兄がサメもどきとダンジョンの機能で合成していたのだ。
その結果、ツタの生えたサメもどきは頭から生えたツタを操る能力を獲得した。
そしてときどき花を咲かせてちからのたねをつける。
なおどんくさいのは据え置きのまま、というか前よりどんくさくなったまである。
いやなんでツタを操る能力を獲得したんだ?
サメもどきは植物系モンスターになったってことだろうか。
まあいいか。
そんなことより今日のガチャだ。
今日の景品はカプセルの時点で重量があって困る。
R・螺旋階段
ほらもー。
それは出現したと同時にテラスの屋根を粉砕して直立していた。
いやよく見ると10度ぐらい傾いている。
木製の階段がやや傾きながら床から生えてきて天井を破壊したようにも見える形で、螺旋階段が出現したのだ。
何が嫌って、屋根の上に上がれるように階段が設置されていることだ。
器用に踏み板が屋根の位置に噛み合っている。
また、下も同じようにどこに続いているのかわからない降り階段が出現していてうんざりする。
テラスを破壊するドリルかよ……。
借りてきたサメもどきに思いっきり体当たりさせてみたががたつきすらしない。
テラスの柱にぶちかませば破壊できるだけの威力があるタックルのはずだが。
異様なほどしっかりしている螺旋階段だが、階段の先にあるのは屋根だけだ。
そんな位置に階段が出現されても困る。
とりあえず登るだけ登ってみるか。
正直気乗りしないが、兄に好き勝手されるともっとやばい気がするからな。
登りきった先にあったのは部屋だった。
高級ホテルの一室のように凝ったインテリアの配置された寝室がそこにあった。
いや、屋根の上、え?
後日。兄は螺旋階段の上の部屋を占拠するようになった。
実験室出現からずっとではあるが、そのたびに私の部屋を経由するせいで私のプライベート空間が存在しない。
というか上の部屋は水回りが存在しないためトイレのたびに私の部屋を経由する必要があり、だいぶうっとおしいのだ。
というかトイレなら自分で砦に設置していただろうが、そっちにいけよ、兄ィ!
なお螺旋階段下の階には座敷牢が1つぽつんとあり、そこに得体のしれない人骨が置いてあった。
いや、人型に近いというだけで、角が生えていたり鎖骨が4本あったりと微妙に人間とは思えない特徴が複数あったが、私は見なかったことにした。
兄はその人骨を材料にサメ鬼人を作っていた。
この人もしかして倫理観もないのかな?